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妹の気持ち
<桜狐視点>
(最低、最低、最低!!)
今私は兄から逃げている。
聞き覚えのある声を頼りにし、見つけたと思った時はとてもうれしかった。
なのに、あんなことをしているなんて……
(最低、最低、最低!!)
四人の美人や可愛い女性達に囲まれ、抱き合っていた兄。
兄はとてもうれしそうな顔をしていた。
(私が、私が一番になるはずだったのに……)
兄はもともとそこまで社交的ではなかった。
お世辞にも、あんな女性たちに囲まれて平気でいられるような男ではない。
(兄様は確かにとても優しいし、なれてさえしまえば誰とでも仲良くなれる人だったけど……)
それでも、あんな破廉恥な状態でへらへらしているような人ではなかった。
(このゲームでは、私が一番兄様に近いはずだったのに……)
ゲームが始まったばかりの頃、兄様の行動に興味を持って近づいてくる人たちはそれなりにいた。
とても仲良くなった人たちもいたし、その中には当然女性もいた。
(でも、あんな顔は見せなかった! あの顔は私だけに向けてくれていたはずだった!!)
現実での負い目からか、兄様はどこか心の中で一線を引いていた。
うわべだけの関係というわけではないが、心の底から親しくしていたのは私だけなはずだった。
(あの女性たちはいったい兄様の何!? 私は……私はっ!!)
自然と走っていた足が止まる。
悲しみで心が張り裂けそうになり、思わずその場でうずくまる。
「私は、私は兄様の……「桜狐っ!!」」
思わず泣き出しそうになる私の耳に、兄様の声が聞こえた気がした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
<主人公視点>
「失敗した、失敗した、失敗した!!」
俺は今、全速力で走っていた。
目的は妹を捜すためであり、捜して……
(何をすればいいんだ……?)
ヒカリたちと抱き合っているところを見られ、破廉恥だと言われた。
(そもそもなんで逃げたんだ? いつものあいつなら、その場で俺を叩くぐらいはしそうなもんだが……?)
分からない、解らない、判らない。
俺の知っているあいつは、俺と誰かと抱き合っているくらいで逃げたりはしないはずだ。
ふと冷静になった俺は、走りながら原因を考える。
(……くそっ! 全然わからねぇ!! )
以前まだ攻略組がこの始まりの街にいた時に、似たような状況にあったが、その時は今回のようにはならなかった。
さすがに今日みたいに激しくはなかったが、その時は笑いながら怒るという器用なまねをしていた。
(とりあえずは見つけないと……何かあってからじゃ遅いからな!!)
桜狐の実力が未知数な以上、誰か厄介な相手に絡まれたりしていたらことである。
「桜狐! どこにいるんだ桜狐!?」
声を出すのは逆効果だろうか? とも思うが、俺が捜しているという事実を手っ取り早く伝えるには良い方法だとも思う。
とにもかくにも、桜狐を見つけて話をしなければ。
「桜狐! 桜狐!!」
街中なので、人が多い。
特に今はリセットのせいで攻略組全員がこの街にいるはずであり、予想以上に人が多い。
(方向は合っているはずなんだが……、どこまで行ったんだよ? あいつスピード速すぎだろ)
桜狐が逃げてから俺が追いかけるまでに、それほどタイムラグはなかったはずなのに、直ぐに姿を見失ってしまった。
無意識のうちに隠蔽系の能力でも発動させているのだろうか?
「ってそうだ! 俺は索敵能力持ってたじゃんか!!」
今まで気にしていなかったが、隠密索敵はパッシブだったはずだ。
ということは、俺は常に半径100メートルを感知できるはずなのだが……。
「意識を集中して……って多すぎてわからねぇ!? なんか方法はないのか!?」
俺は改めて隠密索敵を確認してみる。
「なになに……、おっ! 検索機能があるじゃんか! んじゃ早速使ってみるか!」
俺は説明通りにスキルを発動する。
「えーっと、『検索発動』……でいいんだよな? ってうぉ!?」
俺がキーワードを発すると、名前を入力してくださいという画面が現れる。
「それじゃ早速入力してっと……」
俺はその画面内に桜狐と入力し、検索をかける。
「これは……薬屋のあたりか? やっぱり方向は合ってたんだな。場所さえ分かればこっちのもんだ」
後は追いつくだけである。
俺は人混みを抜けるのが面倒くさくなったので、屋根に飛び移る。
「このまま真っ直ぐ一直線だ! 待ってろよ、桜狐!!」
俺は桜狐目指して屋根の上を走りだした。
(最低、最低、最低!!)
今私は兄から逃げている。
聞き覚えのある声を頼りにし、見つけたと思った時はとてもうれしかった。
なのに、あんなことをしているなんて……
(最低、最低、最低!!)
四人の美人や可愛い女性達に囲まれ、抱き合っていた兄。
兄はとてもうれしそうな顔をしていた。
(私が、私が一番になるはずだったのに……)
兄はもともとそこまで社交的ではなかった。
お世辞にも、あんな女性たちに囲まれて平気でいられるような男ではない。
(兄様は確かにとても優しいし、なれてさえしまえば誰とでも仲良くなれる人だったけど……)
それでも、あんな破廉恥な状態でへらへらしているような人ではなかった。
(このゲームでは、私が一番兄様に近いはずだったのに……)
ゲームが始まったばかりの頃、兄様の行動に興味を持って近づいてくる人たちはそれなりにいた。
とても仲良くなった人たちもいたし、その中には当然女性もいた。
(でも、あんな顔は見せなかった! あの顔は私だけに向けてくれていたはずだった!!)
現実での負い目からか、兄様はどこか心の中で一線を引いていた。
うわべだけの関係というわけではないが、心の底から親しくしていたのは私だけなはずだった。
(あの女性たちはいったい兄様の何!? 私は……私はっ!!)
自然と走っていた足が止まる。
悲しみで心が張り裂けそうになり、思わずその場でうずくまる。
「私は、私は兄様の……「桜狐っ!!」」
思わず泣き出しそうになる私の耳に、兄様の声が聞こえた気がした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
<主人公視点>
「失敗した、失敗した、失敗した!!」
俺は今、全速力で走っていた。
目的は妹を捜すためであり、捜して……
(何をすればいいんだ……?)
ヒカリたちと抱き合っているところを見られ、破廉恥だと言われた。
(そもそもなんで逃げたんだ? いつものあいつなら、その場で俺を叩くぐらいはしそうなもんだが……?)
分からない、解らない、判らない。
俺の知っているあいつは、俺と誰かと抱き合っているくらいで逃げたりはしないはずだ。
ふと冷静になった俺は、走りながら原因を考える。
(……くそっ! 全然わからねぇ!! )
以前まだ攻略組がこの始まりの街にいた時に、似たような状況にあったが、その時は今回のようにはならなかった。
さすがに今日みたいに激しくはなかったが、その時は笑いながら怒るという器用なまねをしていた。
(とりあえずは見つけないと……何かあってからじゃ遅いからな!!)
桜狐の実力が未知数な以上、誰か厄介な相手に絡まれたりしていたらことである。
「桜狐! どこにいるんだ桜狐!?」
声を出すのは逆効果だろうか? とも思うが、俺が捜しているという事実を手っ取り早く伝えるには良い方法だとも思う。
とにもかくにも、桜狐を見つけて話をしなければ。
「桜狐! 桜狐!!」
街中なので、人が多い。
特に今はリセットのせいで攻略組全員がこの街にいるはずであり、予想以上に人が多い。
(方向は合っているはずなんだが……、どこまで行ったんだよ? あいつスピード速すぎだろ)
桜狐が逃げてから俺が追いかけるまでに、それほどタイムラグはなかったはずなのに、直ぐに姿を見失ってしまった。
無意識のうちに隠蔽系の能力でも発動させているのだろうか?
「ってそうだ! 俺は索敵能力持ってたじゃんか!!」
今まで気にしていなかったが、隠密索敵はパッシブだったはずだ。
ということは、俺は常に半径100メートルを感知できるはずなのだが……。
「意識を集中して……って多すぎてわからねぇ!? なんか方法はないのか!?」
俺は改めて隠密索敵を確認してみる。
「なになに……、おっ! 検索機能があるじゃんか! んじゃ早速使ってみるか!」
俺は説明通りにスキルを発動する。
「えーっと、『検索発動』……でいいんだよな? ってうぉ!?」
俺がキーワードを発すると、名前を入力してくださいという画面が現れる。
「それじゃ早速入力してっと……」
俺はその画面内に桜狐と入力し、検索をかける。
「これは……薬屋のあたりか? やっぱり方向は合ってたんだな。場所さえ分かればこっちのもんだ」
後は追いつくだけである。
俺は人混みを抜けるのが面倒くさくなったので、屋根に飛び移る。
「このまま真っ直ぐ一直線だ! 待ってろよ、桜狐!!」
俺は桜狐目指して屋根の上を走りだした。
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