異世界転移した少女の自由奔放な物語

ててて

8 修行②


「これがワイバーン…」

およそ6メートルはあると思える大きな体に緑色の鱗、鋭い眼光が卵を持つ私をとらえている。

そして鋭い牙が生える口を大きく開けて向かってきた。

「おい!ぼーっとするな!」

ディルクがすかさず光の魔法でワイバーンの目を潰す。
すると、さっと私の手を掴み大きな岩の陰に隠れた。そこにはいち早く逃げたらしいおじいちゃんもいた。
私たちが来るとサッとおじいちゃんが結界を張る。

「いやー、ワイバーン来るの早かったなぁ。ちょっと前にエサを取りに行ったばかりだったからあと1時間は帰ってこないと思ったんだかな…」

「どーすんだよ、アイツ」

ワイバーンは目を潰された痛みで暴れながらぐるぐる飛び回っている。

「んーよし、リアとディルクで倒してこい。この前ディルクは上級の火龍を倒しただろ?楽勝だな」

「いやいやいや、相変わらず無茶振りを言うな!リアにはまだ難しいだろうが!!」

「大丈夫だってお前がいれば。まぁ、リアに色々教えてやれ。ぺっと倒してこい。ぺっと」

「いやいやいや、そんな私無理ですよ!あんなおっきな魔物倒すの怖いです!!」

ここは自分の気持ちをはっきり言うべきだろう。はっきり言わないとやらされる…

「大丈夫だ!お前らならできる!んじゃ、俺ちょっとギルドに用事思い出したから先に戻るわ。あとは頑張れよ!」

はっきり言った私の言葉は無下に終わり
そう言い残すとおじいちゃんはパッと消えた。

「嘘でしょ…」

そろそろワイバーンの目は治ってきたみたいだ。ワイバーンは空を飛んで私たちを探している。しかも、かなりのご立腹で。

「リア、あのジジイはああ言うやつだ。しょうがねぇから、ぺっと倒すか…」

「あ、私どうすればいい?」

「そうだな…これから俺が雷魔法でアイツを地に落とす。すかさず火の魔法ファイアーボールでアイツを焼いてくれ。そしたら、おれがタイミングを合わせて上級魔法をかける。できるか?無理しなくてもいいぞ?」

ファイアーボール…火の球的なやつかな。あのワイバーンに落とすのなら大きいやつの方がいいよね。

「大丈夫…だと思う。うん、やってみる」

「あぁ、ただ無理そうだったら叫べよ。全力で助けるから」

「うん…!」

そうして結界を解きディルクがワイバーンの方に走る。
そして、ワイバーンがディルクに気づいた瞬間、巨大な雨雲が現れ雷が落ちた。

雷に打たれダメージを食らったワイバーンにすかさず火の球を落とすイメージをする。

『ファイアーボール!』

思いっきり体の魔力に力を込めた。するとワイバーンに無数の火の球が落ちてきてワイバーンを襲う。その瞬間にディルクが仕留めた。

「すげー威力だったな。さすがはAランクって出ただけあるな。あ、疲れたか?大丈夫か?」

「うん、大丈夫だよ。ありがとう」

無事ワイバーンも倒せたのでホッとする。

「ねぇ、ディルク。この卵ってどうすればいいの?」

さっきまで隠れてた岩陰に置いておいた卵を拾う。いくら魔物でも流石にまだ産まれてもない赤ちゃんを殺すのだろうか…

「あぁ、その卵は隣の国アズールに売るんだよ。アズールは魔物でも動物でも子供から飼育していろんな風に使うんだ。このワイバーンなら貿易の交通便としてな。」

「そうなんだ…」

「そんじゃ、残りの卵も回収してとっとと帰るか!」

「あ!待って!!」

思わずディルクを引き止める。ギルドに帰る前に彼には聞きたいことがあった。

「ん?」

「…なんで、私にそんなに優しくしてくれるの?拾ってくれて、名前をつけてくれて、心配してくれて、なんで?」

不思議だった。何故、彼はこんなに親切なのか。

「んー…そうだな。最初出会った時、リアを拾った時にリアと目があったんだ。なんか、それで放って置けなくてさ。まぁ、女の子があの東の草原で倒れてたら誰でも保護すると思うけど」

「東の草原?」

「東の草原は魔物の巣窟だよ。さっきのワイバーンみたいなやつがうじゃうじゃ居るところだ。まぁ、リアには結界が張ってあったけどな。」


「えっ、私そんなとこに居たのか…じゃあ、この前言ってた怖くないの?ってどう言う意味?」


私の質問に対して少し気まずそうに自分の髪の毛に指を指した。


「この髪と目の色だよ。この国に黒髪黒目の人間はいない。俺は悪魔の子だと言われてガキの頃は石投げられたりしたんだ。今住んでる町は昔から居るから多少理解はあるが女の子はやっぱり怖がるんだ。他の町では忌み嫌われてる。だから、普通に接してくれるリアが珍しいって言うか…嬉しいんだ。」 

「そうなんだ…私の母国はみんな黒色が普通なんだけど…私も元黒髪黒目だし。まぁ、この世界に来た時に銀髪銀目になっちゃったけどね。でも、カラフルな髪の色よりはディルクの方が見慣れてるから安心する。」

「そっか…この色が普通の世界もあるんだな。リアが黒髪かぁ…見てみたかったなぁ。
この色のせいで嫌な事もあったけどリアが安心するならまだあって良かったのかもしれないな。」

「そんな風に言ってくれると嬉しい」

彼がどういう人柄なのかすこし分かった。きっと今も喋ってない辛かったこともたくさんあったんだろうけど、彼はそんな自分の生い立ちを笑い飛ばして話してくれた。

私も自分の生い立ちを過去として笑い飛ばせる日が来るだろうか…



「よし!帰るか!!」

「その前に残りの卵を回収しないとね」

「あぁ、そんでギルドに帰ったらジジイを一発殴ろうな。」

「…ほどほどにね。」 

いやね、今回はありえないでしょ。だって私まだあんまり魔法使えてない状態なのに放置して自分だけ帰るとか…
ちょっと痛い目を見てほしいな。

そうして、卵を回収した私たちはギルドに無事帰還した。








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