異世界転移した少女の自由奔放な物語
7 修行①
*フランクside
「やっべぇ!!本当に連れて行きやがった!どこに行ったんだ!?火龍の谷か?水神の湖か?あ、魔物の洞窟か?」
「ちょっ、落ち着けディルク!どうしたってんだ?マスターが一緒なんだ大丈夫だろ?」
らしくねぇな、いつも真面目で優等生でどこか余裕のあるコイツが焦ってやがる。
「アホか!フランクは知らねぇんだよ。あのジジイの修行を!
あのジジイはな、13歳だった俺をある日急に連れ出して魔物の洞窟に放り込み、そのまま中の魔物を全部狩るまで出てくんなって結界まではったんだそ!!
あのジジイのせいで元はAランクだったのにSに上がったんだ!」
ディルクの話を聞きギルドメンバーは息をのむ。
この国でSランクの実力者はディルクだけ。Sランクなんて目指してもなれない。それは規格外で才の溢れた者。所謂、天才もしくわ英雄と呼ぶものしかなれないと言われていた。
だから、Sランクになれたディルクを皆が驚き、注目した。
「まじか…ということは、マスターに修行してもらえば強くなるんだな!!」
「あぁ、強くなるさ。だがな、あのジジイは容赦って言葉を知らねぇ。やめたいなんて言えないしやめられない。ある意味地獄だ」
俺のやる気は一瞬にして散りになった。
そして、他のギルドメンバーが青ざめた顔でボソボソと言う。
「だったら…リアちゃんも、ヤバイんじゃぁ…」
「っっあ!そうだった!!追いかけねぇと!!」
「つっても、どこに行ったか…あ!そういや最近、火龍の谷に新しく中級のワイバーンが住み着いたって聞いたぞ!」
今まで住んでいた上級の火龍はどこかの誰かさんが10分で討伐したからな。
「そこだ!!!!」
そして、そのどこかの誰かさんは無詠唱魔法でパッと消えて行った。
*リアside
「えーっと…どうしようかな」
~10分前~
「さて、ここは火龍の谷だ!まぁ、修行って言っても魔法使えるようになって自力で制御できて、目的果たせたらおしまいだから!そんな難しくねぇよ!!」
ギルドマスターさんに連れられてきたのは岩がゴツゴツしている所だった。ここで修行?をやるらしい
「んじゃ、ちょっと手を貸してみ」
ギルドマスターさん、もうおじいちゃんでいいや!おじいちゃんが右手を持つ。すると何か温かいものが流れてきた。
「これが魔力ってんだ。わかるか?それに合わせて自分も流すぞーってイメージしてみ」
「はい。」
なんとなーく何か自分の体にも流れているものをおじいちゃんに送る。
「おっ!上手いな!よし、いま感じた自分の魔力に力を入れて魔法を使うんだ。あとは、自分がしたい事をイメージして唱えれば大体使える。うーん、こんなに上達が早いならいいか…リア、あそこの山頂わかるか?」
「え、はい」
おじいちゃんが指をさした先にだいぶ険しい山の山頂があった。
「あそこに卵みたいなでっかい石があるからそれ持ってまた戻ってこい」
「え、はい。はい!?」
「大丈夫大丈夫。リアならできるって。」
なんかすっごい無茶振りを言われる。が、なんかやらなきゃいけない感がある…
やるだけやってみるかな…
ここまで来るときにおじいちゃんが使った魔法をイメージする。
『テレポート』
「え、別に上級転移魔法のテレポートじゃなくても初級魔法のフライで良かったのに。
ま、いっか。教えてねぇし」
*****
無事魔法が使えたみたいだ。
「えっと、卵みたいな石っと…」
なにか大きい鳥の巣みたいな所に卵みたいなものが5つ並んではいるが
「これって石なの?普通に卵じゃない?」
だが、おじいちゃんに言われた卵みたいな石と思われるものは他にはない。
「これだよね…」
そして卵を抱えてまた飛ぶイメージをして
『テレポート』
*****
「お!成功したな!よくやった!」
おじいちゃんに頭をぐりぐりされる。
こんな風に褒められるのも久しぶりだな…
「あの、それでこの卵みたいな石ってなんですか?」
「ん?それは…「おい!ジジイ!!!!」」
何故かディルクが現れた。
「ディルク?なんでお前来たんだ?」
「なんでって、そりゃあリアが心配だからだろうが!・・リア、大丈夫か?何かされたか?魔物の洞窟に入れられなかったか?湖に突っ込まれなかったか?何かの囮にされなかったか?」
「大丈夫だよ。魔法も教えてもらったし、何もされてないよ?」
言う事ごとが妙に具体的なんだけど、なにがあったんでしょうね。
「そうか…ってリア?なに持ってんの?」
「え?卵みたいな石…?」
「いや、それ卵みたいな石じゃなくて卵だよ?しかもワイバーンの卵だよ?」
「え???」
ワイバーンってなに??
二人しておじいちゃんの方を見る。
「あぁ、今リアにテレポートで取ってきてもらったんだ」
「へぇー!上級転移魔法のテレポートが使えたのか!すごいな!!」
ディルクにも頭をぐりぐりされる。流石に同い年の男の子にやられると照れるんだけど…
「っって!じゃなくて!!ここにワイバーンの卵があるってことはっ」
すると、バッサバッサと大きな翼を広げとてつもなく大きな体で威嚇する魔物が空を飛んできた。
「ワイバーンが来るに決まってんだろうが!」
ディルクの悲痛の叫び声が聞こえた。
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