異世界転移した少女の自由奔放な物語

ててて

5 優しさ



「は!そんな所に隠れてたやつに言われたかないよ!」

「ギクッ」

黒髪黒目の男の子は図星をつかれたらしく静かになった。

「それで、お嬢ちゃんの名前は?」

話が戻る

(…一応、西園寺華香という名前があったけど…もう、この名前を名乗りたくない。)

女神様も名前を捨ててって言ってたし…

「…名前はありません。」

「名前がない?どういうことかい?よければ聞かしておくれよ、お嬢ちゃんの事を」

そうして、私は自分の話をした。ある日突然、女神様に会って気づいたらこちらの世界に来ていたことを。

「・・・なるほど。てことは、さっき言ってた異世界人の話も本当っていうわけかい。」

「そして、あの東の草原で倒れていたと言うことも納得がいくわけか…」
 
メアリーさんとギルドマスターさんは納得したように話をしている。

「でも、名前がないのも不便だな…」

黒髪黒目の男の子は復活したらしく話に参加した。

「だったら言い出しっぺのディルクが決めな」

メアリーさんの言葉にディルクと呼ばれた男の子はギョッとする

「はぁ!?俺が決めるのか?!?!
…え、そーだな………」

男の子は驚いた割には乗り気らしく真面目に考え始めた。その間、ギルドマスターさんがこの世界について説明をしてくれる。

「この世界はな、嬢ちゃんが暮らしてた世界とは大きく違うだろうな。この国はフロンティア。
主に人族が住んでる、が魔法があるし使えるやつは使える。ランクは弱い奴から強い奴までF~SSSまで。あと、属性って言ってな魔法の使える種類がある。水属性なら水系統の魔法が使えるんだ。まぁ、属性は1人1.2個持ってるくらいか。
あと、このギルドってのは冒険者とかが所属する所謂組織だ。魔物討伐から人助けまで様々なことをする。
あと、お嬢ちゃんは何歳だ?この国は16-19まで義務教育なんだが…」

「いま、17歳です」

「ならディルクと同い年だな!良かったな、ディルク!」

ギルドマスターさんはガッハッハと笑いながらディルクと呼ばれる男の子の背中をバシバシ叩く。

「…フリージア?…いや、違うな…なんだろう、こう、もっと馴染みやすい…」

だが、本人はまだ名前を考えてるらしくお構い無しにブツブツ言っている。

「でも、私学校通えないです。住む家もないし、お金もないし…」

義務教育だと言われてもお金がなければ通えない。住む場所も食事も服や家具も…これからどうやって生きていくか

「は?このギルドに入れば寮に住めるぞ?メアリーが作る飯もうまいし依頼も受ければ金になる。何も困らないぞ?」

「え!でも、そこまでしてもらう理由もないし、メリットもないですしご迷惑です。それに、私に魔法が使えるか分かりませんし…」

私の言葉を聞くにギルドマスターさんはまたガッハッハと大笑いをした。

「理由ならあるだろう!俺の孫、ディルクが拾ってきた子だ!しかも、身よりもなく金もねぇってんだ、面倒くらい見てやるよ!困ってる時は助け合うもんだ!今日からお嬢ちゃんもうちの子だ!それに、魔法はこれから調べるとして、使えなくても受付嬢とかやればいい!」

(………え?)

「…本当に?いいんですか…?私、何か手伝い…料理とか掃除くらいしか…」

「それは助かるねぇ!私1人じゃあの寮の仕事は大変なんだ!手伝っておくれよ!」

「ほら、メアリーもこう言ってんだ。うちの子になれ。」

知らない世界に来てこれからどうすればいいか本当に分からなく困っていた。
そんな私を助けようとしてくれる、手を差し伸べてくれる人がいる。西園寺家の名前も気にせず、ただただ困ってる私を助けるために。
人ってこんなにも優しくなれるものなのか。
その温かさに触れて少し涙が出た。

「おいおい、泣くんじゃねぇよ!可愛い顔が台無しじゃねぇか!笑ってくれ!!」

ギルドマスターさんが少し乱暴に涙を拭いてくれる。

乱暴だったけれどその優しさに笑がこぼれた。

「…ふふ、ありがとうございます」

「会ってから初めて笑ったね」
「お!可愛いじゃねぇか!」

「あ!!!!!」

いい話っぽい雰囲気のところでディルクと呼ばれる男の子が声を上げた。

「リナリア…リアでどうだ?!」

何の話かと思っていたら名前のことらしい。

「リアか…いいんじゃないか?」

「あぁ、ディルクにしてはいい名前を考えたもんだ。お嬢さんもそれでいいかい?」

「え?はい、大丈夫です」

一生懸命考えてくれた名前だ。
リアという名前に愛おしさを感じた。

「えと、ありがとうございました。名前とか…あと、草原で拾っていただきましたし。」

「あ、ディルクでいいよ。俺もリアって呼ぶから。あと、敬語もいらねぇから。喋りやすいように喋ってくれ」

ディルクは耳まで真っ赤にして言う。

(そこまで照れられるとこっちも照れる)

「なに、恥ずかしがってんだいアンタ達。青いねぇ」

「しょうがないだろ、女の子に慣れてないんだよ……ていうか、今更だけどリアは俺が怖くないのか?」

「え?怖くないですよ…怖くないよ?」

どこに怖がるのだろうか?草原で助けてくれて、名前まで考えてくれた彼に。

「そ、そうか」

「うん、よろしくねディルク。あと、メアリーさんとギルドマスターさんもよろしくお願いします。」

「リア。今日から家族だ。
あとな、慣れてからでいいからおじいちゃんって呼んでくれ…頼む…俺は可愛い孫がほしいんだ…」

「あ、はい。」

ギルドマスターさんことおじいちゃんはディルクにおじいちゃんと呼ばれなくて悲しいらしい…











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