何もない俺が異世界転移

響夜

7.真実の打ち明け

俺はあの後農場の近くの家(おそらくテジモフさんの家)へ連れられて向かった。
そこでまずはこの世界の地図を見せられた、この瞬間確信したこの世界は
俺のいた世界ではないのだと。

しかしまずは、全体の話を聞く。その後俺は喋りかける。

「テジモフさん...こんなことを言ったら信じてはくれるでしょうか?」

俺は恐る恐るテジモフさんへ語りかける。

「信じるか信じないかは聞いてから考えるわい。まぁ、まずは言ってみなさい。」

「分かりました」

そして俺は口を開く。

「僕はこの世界の住人ではありません」

その言葉を発した瞬間テジモフさんは驚愕の表情を浮かべた。

そしてしばらくの沈黙の後、

「そんなことが在りうるのか...否、実際に起こっているのだから信じるしかない、か」

テジモフさんは難しい顔をしている。

「僕はこれからどうしたらいいと思いますか。」

ふむ、とテジモフさんは考え込む。

「ユーイチ君、私と一緒にヴェラス王国へ来てくれ。」

ヴェラス王国、4大国の一つだ。
そこへ行って何をするのだろうか。

「ヴェラス王国へ行って何をするのですか?」

「異世界から来たという君の事を紹介したい人がいる。」

「紹介したい人ですか?」

紹介したい人、いったいどんな人なのだろう。


「あぁ、私の古い友人でね。必ず君の力になってくれるだろう。」


「何だかすみません、初めて会ってからあまり時間もたっていないのにそんなことまでしてもらって」


「いいんじゃよ、困った人がいたら手を差し伸べるのは当たり前じゃろう」


「ありがとうございます!」


この世界にもテジモフさんのような、
優しい人が居たんだなと思った。


「今日はここへ泊って行きなさい、丁度夕飯時だし料理もご馳走するよ。」


「そんな、悪いですよッ!?」


「遠慮せずにほれ、そこの椅子に座って」


遠慮するも、流れに押し切られ椅子に座らされる。

そしてしばらくたった後

「出来たぞ!」


テジモフさんが料理を持って来た。
それは美味しそうなスープと肉野菜炒めとパンであった。

「いただきます!」


「おかわりもあるから、どんどん食べなさい。」


そして、スープを木のスプーンで掬すくい口へ運ぶ。

「美味しい...」

元の世界でも親の作った汁物(スープ等)は美味しかったが、
それと同等またはそれ以上なのだ。
テジモフさんは優しいし料理も出来る。
俺のいた世界だったら絶対モテてたな(若いころとかイケメンそうだから)

食事の途中棚の上にある写真立てに目が行った。


「あの写真はなんですか?」

「ああそれか、冒険者をして居った時のワシの昔の写真じゃよ。その時の仲間たちが映っておる。」

「テジモフさん冒険者だったんですか!」

写真内には、中心に金髪の男性その周りにかっこいい装備などを身に着けた
冒険者らしき人達が数十人いる。
気になったのは金髪の男性と隣にいる女性が手を組んでいる事だ。

「中心の金髪の男がワシじゃ。」


「ええっ!?そうなんですか。」


はい思った通り、イケメンでした。


「ああそうじゃよ、今じゃ年を取って金髪も白髪に変わってしまったがの、はっはっは。」


「では、隣の女性は?」


「ああワシの妻じゃよ、キーラというんだ。」


きれいな人だなぁ...


「奥さんは今どちらに?」


「隣村まで買い出しに行ってるよ、遅くなってきたしそろそろ帰ってくるはずなんだが」


「おひとりで行かせて大丈夫だったのですか?魔物も出るとの話ですが。」


「そんなやわな奴じゃないよあいつは」

と話をしていると入り口の方から声が聞こえた。

「今帰りましたよ」


「おお、お帰りキーラ。」


先ほど話をしていたテジモフさんの奥さんが帰ってきた。


「あら?そちらの人は?」

俺の方を向いて疑問を抱いている、それもそうか。

「私の名前は清水雄一と言います。わけあってテジモフさんにお世話になっています。」

「そうなんじゃよ、説明をするから席についてくれないか?」

そういうとテジモフさんはキーラさんが買ってきたであろう荷物の入った手提げを受け取り
家の奥へ向かって行った。

そして、全員が席へつき今俺がここヘ居る理由などを説明する。



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