何もない俺が異世界転移

響夜

3.初めての遭遇


歩き始めて少し経った後、ポケットに重みがあるのを感じた。

「こんなことがあってすっかりある事忘れてた。」

入っていたのはスマホだった、すぐに電源を入れて電波を確認すると、

「圏外...」

電波は無かったものの、充電は十分にあった。
学校であまりいじることも他人との交流も無かったためだ。

本当にここはどこなんだと心の底から思った。
スマホも頼りにならないことが分かり、再び歩き出す。

しばらくすると遠くに農場らしきものがあるので、もしかしたら
人がいるかもしれないと走って向かった。

思った通りここは農場だと思うが、柵の奥に広がる農場には
見たことも無い生き物が飼われていた。

「牛じゃない...」

普通農場にいる動物と言えば『牛』だろうが、ここにいる動物は
全身水色のもこもこの毛が生えた動物だった。

「羊なのか...?」

羊はもこもこした毛こそ合っているが、色は『白』なのだ、
じっと見ていると、その動物がこっちを向いた。

「か、可愛い...」

何と愛くるしいことか、間近に行けたら絶対にもふってると思う。

そう思っていたら、近くから声がした。

「お主は誰じゃ!怪しい服を着ておるのぉ!」

声の方を向いてみると白髪混じりの髪をしたお爺さんがいた。
腕もがっちりしていて本当に老人かと思うほど元気そうだ。

「すみません、めずらしい動物がいたもので勝手に敷地内に入って
 しまいました。」

「ほう、『ブルーシープ』が珍しいとな?この動物は全国各地に
 おるのじゃぞ?それを見たことがないか?」

「はい...それにここの場所も分からないんです。初対面で厚かま
しいのですが、よければ教えては頂けませんか?」

「よいけど、お主はどこから来たんじゃ?」

「私は、日本という所から来ました。」

「日本?はて、聞いたことない国じゃな。」

日本を聞いたことがない?流石におかしいぞ...



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