転移先での国取り合戦

てんとう虫

第二章5話 連合軍

  ――コンコン

次の日の朝、起きて早々にノックの音が聞こえる。宿の扉は木製で中が空洞になっているため、音が響きやすくなるように設計されている。結局初日から宿は混雑しており、今日も相部屋だったため、どっちがノックに返答するか話したら俺になった。

「入るぞ! 」

何も言ってないのに扉を開けられ。一瞬緊張感が漂った。だが、部屋に入ってきたのは、ロベルトだった。

「ロベルトさんがわざわざ何の用できたんですか。」

「重要なことを知らせにきたのだが、今お前を見て一つ言いたくなった。」

「なんですか?」

「鎧とか装備しないのか? いつまでも白衣じゃ限度ってものがある。」

「大介さんは白衣が好きなんですよ。」

アリアが横から話に入ってきた。

「まぁ、そういうことです。白衣って見た目以上に着心地がよくて、動きやすいんです。」

「まぁよい。では本題に入るぞ。もうすぐ霊の国と戦争をすると言ったのを覚えているか? 実はあれが変更になった。」

「変更? じゃあ戦争しないんですか?」

「いや、しないわけではない。ただ相手が変わるだけだ。」

「何かあったんですか?」

「うむ。昨日霊の国から謝罪の手紙が届いたのだ。さらに、神、蟲、人、霊の4つの国で同盟を結び、竜の国を壊滅させようとも記されていた。」

「で、でもそれは罠かもしれませんよ!」

アリアがいろんな可能性を考えている。

「私もそう考えた。だが、他の国に確認したところ、本気でする気らしい。」

「じゃあ、その連合軍に参加して竜の国を滅ぼすっていうことですか。」

「その通りだ。決行は明日! 王城で兵士の徴収があるから来い。以上だ。」

ロベルトは帰っていった。

急な展開だが分かりやすい。遂に国が一つ滅ぶかもしれない。統一への第一歩だ。

「アリア、明日頑張ろうな!」

「なんか嫌な予感がします……。何もなけれればいいのですが。」

アリアはときどき勘が鋭い。天才と呼ばれる俺でも気づかないことを発見したりする。この数日だけでも実感できる場面があった。

「おい、そんな怖いこと言うなよ。そんなこと言ったら本当にそうなるぞ。フラグって奴だ。」

「なんですかそれ?」

「なんでもない。そういえばアリア、出会ったときより口数減ってないか? 随分おとなしくなった気がするが……」

「最初がおかしかっただけです。子供扱いしないで下さい。」

「もしかして、竜と戦うのが怖いからとか!」

「ふざけないで下さい! でも、ちょっとだけ近いです……。」

近いの? ふざけ半分で行ったのに……

「なんだよ、気になるんだけど……」

「実は私、竜の国に親友がいます。」

――え、お前竜と友達なの!?





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