ソラの巫女
第六話 夜明けの森
夜明けだ。
空には薄白い明るみが広がり、白く煙る霧が森を覆う。爽やかな朝を知らせる風が木の葉を1枚空へ躍らせる。
ひらり、ひらりと舞うその葉は導かれるように少女の鼻に舞い降りて。
マミ「ん?んんっ…ふ、ぶえっくしょん!…あれ?」
よもや乙女とは思えない目覚め方だ。
木の葉はマミの目を覚ますと役目を果たしたかのように地面に落ちて他の落ち葉と混ざり合った。
マミは自分がいつのまにか眠っていたことを理解したらしい。何故外で寝ているのかとか知りたいことは多々あるが、とりあえずは凝り固まった身体を伸ばそうと体を起こした。
マミ「なにこれ!?」
マミの下半身が落ち葉に覆われていた。いや這い上がってくるような冷たさを感じることから土にも覆われているのだろう。よく見ると今起こした上半身も土や落ち葉がついていた。つまり、マミは頭だけを地表に出して埋まっていたのだ。石子詰めの横向きバージョンのようだ。
マミ「ちょっとサラ!これはうちも怒るよ!お気に入りの服だったのに!」
すぐさま犯人に目星がつきどこかで見ているであろう犯人に向けて声を荒げたが、帰ってくるのは静寂のみ。
マミ「サラ!…サラ?いるんでしょ?出てきてよ」
おかしい。基本的にサラの悪戯は本人が見ている前で行われる。もちろん隠れてだが、注意深く探せば見つかる位置にいるのだ。
マミは昔、いつも悪戯後に見つかって怒られるサラにちゃんと隠れれば怒られないのにと言ったことがある。それにサラは「そんなことしたら一番笑えるところが見えなくなるだろ。それにもし狙ってるやつじゃないのが引っかかったら危ないだろ?」と答えた。危ないのが分かっているならやめればいいのにとマミは思ったが、実際標的ではない人物が引っかかりそうになったところをサラが飛び出して回避したという例がある。
これがサラの悪戯であればサラは近くにいるはずなのだ。
マミ「サラ…?ねぇサラったら!……ホントに、いないの?」
怒気を含んでいた声がしぼんでいく。
彼女は理解した。理解してしまった。今この状況で、自分一人しかいない事を。
マミ「…っ!」
途端に恐怖が押し寄せる。
生まれ育った島の中であっても薄暗い森の中、12歳の女の子一人ではとても心細く恐ろしかった。
マミ「聞こえないだけかも、しれないし…」
自分に言い聞かせるその声はなんともか細く頼りない。
足を動かし地面から掘り上げた。服についた土はそのままにマミは走り出そうとしたその時。
「--い!マミ!どこだー!」
マミ「サラ!?サラー!うちはここだよー!!」
力の限り大声で叫んだ。恐怖や心細さなどとうに吹っ飛んでいる。
音が大きくなる。それは重い物を叩きつける音だったり、木がへし折れる音だったり…。そうそれは--。
サラ「マミ!!」
マミ「サラ!助けに来てくれたん」
サラ「頼む!助けてくれ!」
マミ「…………え?」
5メートル以上ある巨大な化け物が、獲物を追いかけている音のようだった。
空には薄白い明るみが広がり、白く煙る霧が森を覆う。爽やかな朝を知らせる風が木の葉を1枚空へ躍らせる。
ひらり、ひらりと舞うその葉は導かれるように少女の鼻に舞い降りて。
マミ「ん?んんっ…ふ、ぶえっくしょん!…あれ?」
よもや乙女とは思えない目覚め方だ。
木の葉はマミの目を覚ますと役目を果たしたかのように地面に落ちて他の落ち葉と混ざり合った。
マミは自分がいつのまにか眠っていたことを理解したらしい。何故外で寝ているのかとか知りたいことは多々あるが、とりあえずは凝り固まった身体を伸ばそうと体を起こした。
マミ「なにこれ!?」
マミの下半身が落ち葉に覆われていた。いや這い上がってくるような冷たさを感じることから土にも覆われているのだろう。よく見ると今起こした上半身も土や落ち葉がついていた。つまり、マミは頭だけを地表に出して埋まっていたのだ。石子詰めの横向きバージョンのようだ。
マミ「ちょっとサラ!これはうちも怒るよ!お気に入りの服だったのに!」
すぐさま犯人に目星がつきどこかで見ているであろう犯人に向けて声を荒げたが、帰ってくるのは静寂のみ。
マミ「サラ!…サラ?いるんでしょ?出てきてよ」
おかしい。基本的にサラの悪戯は本人が見ている前で行われる。もちろん隠れてだが、注意深く探せば見つかる位置にいるのだ。
マミは昔、いつも悪戯後に見つかって怒られるサラにちゃんと隠れれば怒られないのにと言ったことがある。それにサラは「そんなことしたら一番笑えるところが見えなくなるだろ。それにもし狙ってるやつじゃないのが引っかかったら危ないだろ?」と答えた。危ないのが分かっているならやめればいいのにとマミは思ったが、実際標的ではない人物が引っかかりそうになったところをサラが飛び出して回避したという例がある。
これがサラの悪戯であればサラは近くにいるはずなのだ。
マミ「サラ…?ねぇサラったら!……ホントに、いないの?」
怒気を含んでいた声がしぼんでいく。
彼女は理解した。理解してしまった。今この状況で、自分一人しかいない事を。
マミ「…っ!」
途端に恐怖が押し寄せる。
生まれ育った島の中であっても薄暗い森の中、12歳の女の子一人ではとても心細く恐ろしかった。
マミ「聞こえないだけかも、しれないし…」
自分に言い聞かせるその声はなんともか細く頼りない。
足を動かし地面から掘り上げた。服についた土はそのままにマミは走り出そうとしたその時。
「--い!マミ!どこだー!」
マミ「サラ!?サラー!うちはここだよー!!」
力の限り大声で叫んだ。恐怖や心細さなどとうに吹っ飛んでいる。
音が大きくなる。それは重い物を叩きつける音だったり、木がへし折れる音だったり…。そうそれは--。
サラ「マミ!!」
マミ「サラ!助けに来てくれたん」
サラ「頼む!助けてくれ!」
マミ「…………え?」
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