天樹

暇魔神

状況

それから俺とカグヤは爺さん婆さんの元で育てられた。


俺は自分の事を確認した。
歳はおそらく5歳前後。髪は黒く、目は青い。そして勿論男だ。ここはど田舎だ。森の中で自由に生きた。

そして妹のカグヤも順調に成長していった。最初はずっとゴロゴロしてたけど、段々と這うようになりそして立った時は嬉しかったなー。これが親の気持ちかと思った。

そしてカグヤはワンパクに育っていった。森を走り、川に飛び込み。本当に自由に育った。そんな彼女はまだ幼いが何処かに美しさが見えた。髪は金髪、透き通る碧眼、白い肌。そして動物に懐かれやすい。森を歩けば肩に鳥が止まる。

成長するにつれて美しさに磨きがかかってゆく。それはやがて噂となり、町から町へ広がり。見物人がくるレベル。それでも妹は御構いなしに泥んこになる。そして疲れるまで遊んで俺がおんぶして帰る。俺はおんぶすると何処か懐かしさを感じていた。


「ただいま〜。」
「その娘だな。捕らえろ。」
「「はっ!」」

軍服を着た複数の大人がいきなり家に押しかけ、背中の妹を引き剥がそうとする。

「ちょっ、ちょっと待て。お前は何もんだ。」
「憲兵の浦島 小太郎という者です。大人しくその娘を渡してください。」
「憲兵さんがどうして家の妹を?」
「彼女は立ち入り禁止区域に侵入した。よって連行させてもらいます。」
「立ち入り禁止区域ってそんなのどこにあるんだよ!こんな田舎に!」
「それを貴方らが知ってはいけないから禁止区域なのです。」

村の連中も流石に横暴だ。と抗議したが。相手は国家権力。

「貴方たちもついて来ますか?」

一言の脅しで黙ってしまう。争ったけど12歲と年寄りじゃあどうしようもなかった。
そして妹はこの村から出て行った。

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