世界の果てまでもあなたを追いかける

お歌詞屋さん

44話


 頂上までの道は整備されていて小学生ぐらいの子もいた。六人は他愛のない話をしながら進む。

 森の何処からか聞こえるセミの声が夏を感じさせる。山登りとあって丈の長い服を着てきたため、とても暑い。裕翔が袖をまくるとそれに続いて、皆が暑さを逃がす。

「そろそろ休憩場所に着くから頑張るぞー」智が掛け声を言うと疲れ混れの声で返事をする。

「ねえねえ。お母さん。」

 早苗が来海の元へと寄り、周りに聞こえないように話しかけた。

「どうしたの?香苗ちゃん達と一緒に歩かないの?」

 来海は運動がそこまで得意ではないため最後尾を歩いていた。夫であるはずの智は上機嫌で先頭を歩いている。彼女はそんな彼を少し睨みつつ、目線を早苗に戻す。

「香苗ちゃんが虫に襲われてメアリーちゃんが今、対処してるところ。」

 2人の前には空飛ぶ虫から逃げる香苗とそれを追いかけるメアリーがいた。右往左往する様子はとても滑稽だ。香苗もそうだが早苗も虫は苦手であった。

「…それでさ。聞きたいことがあるんだ…」

 早苗が何やら重い表情で言う。来海は何も言わず縦に首を振る。

「お兄ちゃんのことなんだけど…初めて会った時と今の様子?というか性格?が変わっている様な気がするの…」

 その言葉を聴いた来海は瞳に戸惑いが映る。すると早苗は慌てた様子で言う。

「な、なんか最近そっけないなと思っただけ。忘れて。」

 彼女は小走りでその場を離れた。

(そろそろ教えないといけないのかもね。)

 来海がそんなことを思っていると最初の休憩所に着いた。

 

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