異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育成しています ~
ハウスキーパー
合成が終わった後は、夕食の時間である。
俺は屋敷に戻って軽く汗を流すと、他メンバーのいる大広間に合流することにした。
「ちょっとキャロ! これは一体どういうことかしら?」
広間の中にアフロディーテの怒号が鳴り響く。
「アタシたちお腹ペコペコなんですけど? こんな手抜きの料理では満足できないわよ!」
アフロディーテの主張にも一理ある。
俺たちが食べる料理は何時もキャロライナが作ってくれるのだが、今日の料理は昨日の残り物が中心で味気のないものであった。
そもそも途中で歩き疲れてボールの中で寝ていたアフロディーテが言う台詞ではない気はするが。
「たしかに今日の夕食は少しボリュームが足りない気がするかな」
「……申し訳ございません。自分でも分かってはいたのですが、流石に今日は時間を作るのが難しくて」
冷静に考えるとキャロライナは何も悪いことはしていない。
そもそも冒険時に1番働いていくれているキャロライナが屋敷に戻って、料理までするのが酷い話なのである。
どうしたものか。
このままだとキャロライナにばかり負担が行き過ぎてしまう。
キャロライナに過労で倒れられたらウチのパーティーは半壊滅状態になるだろう。
「なぁ。料理の仕事をユウコに割り当てることは出来ないのか?」
「ぐぬっ。そ、それがじゃな……」
「難しいと思います。ユウコのようなメイド見習いは厨房に入ることすら許されていませんでしたから」
そんな事情があったのか。
昔働いていた職場では、キャロライナがメイド長でユウコは雑用係こなしていたらしい。
それにしても厨房に入ることすら出来ないって……2人は凄く厳しい職場にいたんだな。
「シエルはどうだろう?」
「申し訳ないッス……。自分は鍛治は出来ても家事は全くダメで……」
「そうだったか」
これはなんとなく予想通りである。
趣味のことになると周りが見えなくなるタイプの人間は、家事が苦手なイメージがあった。
「となるとウチのメンバーにはキャロライナの他には誰も料理が出来ないか……」
これは由々しき問題である。
4人も女の子がいるのに料理が出来るのが1人だけかよ。
お前たちの女子力はどうなっているんだ?
「ちょっと! ソータ! どうしてアタシにだけ質問しないのよ!? 女の子に対して凄く失礼な態度をしているという自覚はあるのかしら?」
「えっ。ディーって料理が出来たのか?」
「まぁ、当然できないんですけどね! 美の女神であるアタシが料理のスキルなんて必要ないわけだし!」
「うん。だから質問しなかったんだけどな」
期待通りの回答をありがとう!
アフロディーテに構っていると時間が勿体ないので議論を先に進めることにしよう。
「だとすると現実的なところでは……人を雇うっていうのはどうだろう?」
いわゆるハウスキーパーというやつである。
幸いなことに俺たちは鉱石探索クエストで儲けたカネが1000万コル以上残っている。
これだけの金額があるなら家事を代行してもらうことも出来るだろう。
「流石にそれはリスクが大きいと思われます。私たちには秘密にしておかなければならないことが多すぎます。部外者を招き入れることは情報の漏洩を招きますから」
「……たしかに。信頼できる人間を探すのが難しいのかな」
「奴隷を買ってみてはどうじゃろう?」
「えっ」
お前は今なんと……!?
俺の聞き間違いだろうか。
凄く素敵なワードが聞こえた気がするんですけど!
「何を驚いておる。妾たちの情報を外に漏らさないよう働かせるのならば1番先に出るアイデアじゃろうが」
「たしかに奴隷ならば何かとリスクを減らせそうですね。家事を手伝って頂けるのであれば私としては大助かりです」
反対する理由が1つも見つからない。
どうしてもっと早く気付かなかったのだろう?
異世界で奴隷を購入することは何にも代え難い男のロマン!
この世界での俺の目標は、異世界の美少女をゲットして現代にお持ち帰りすることである。
奴隷システムを上手く利用すれば目標達成の近道になるに違いない。
ユウコから奴隷購入のアイデアを聞かされた俺は、ウキウキ気分で夜を過ごすのであった。
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