異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~

柑橘ゆすら

避妊魔法

 それから。
 報酬を受け取った俺は、ロイヤルロードを後にして、自宅に戻ることにした。


(ふう。それにしても昨日は凄い魔法を習得してしまったな……)


 ベッドの上にゴロンと横になった悠斗は、ぼんやりとステータス画面を眺めることにした。


 コントラプション
(対象の生殖能力を一時的に停止する魔法)


 長かった。

 このスキルを手に入れる日をどれだけの間、待ち詫びていただろうか。

 昨日のクエストによって、一気に呪魔法のレベルを上げることができたことにより、悠斗は待ち焦がれていた新魔法の習得に成功していたのだった。


「ご主人さま。起きているでしょうか?」


 ノックの音と共に、聞き覚えのある声が聞こえてくる。

 ガチャリとドアノブを回して、部屋の中に入ってきたのは、セクシーなネグリジェに身を包んだスピカであった。

 下着の色は白。

 セクシーな白色のネグリジェは、スピカの持つ純朴なイメージを、より一層に引き立てるかのようであった。


(おおー。今日はスピカの日だったのか……!)


 同年代の男子と比較をすると性欲が旺盛な自覚のある悠斗であるが、それでも毎日みんなで同じ布団に入ると色々と大変である。 

 最近では悠斗と同衾する女性は、日ごとにローテーション制が採用されていた。

 即ちそれは――。


 1日目、スピカ。
 2日目、シルフィア。
 3日目、リリナ。
 4日目、サーニャ。
 5日目、サクラ。
 6日目、全員。


 と言った感じである。


(初めての相手がスピカというのは無難な感じがするな)


 これは朗報である。

 長年に渡りに問題となっていた『避妊方法』について解決した今、悠斗にとっての大きな問題となっていたのは、果たして『どの女の子で童貞を卒業するか?』ということであった。

 良い意味で気を遣わなくても大丈夫なスピカならば、『童貞卒業の相手』としては、おあつらえ向きだと考えていたのである。


「主君。邪魔をするぞ……!」


 ノックの音と共に、聞き覚えのある声が聞こえてくる。

 次に部屋に入ってきた『彼女』の姿を見るなり、悠斗が頭の中で立てていた計画は早々に瓦解することになる。

 ガチャリとドアノブを回して、部屋の中に入ってきたのは、セクシーなネグリジェに身を包んだシルフィアであった

 下着の色は黒。

 セクシーな黒色のネグリジェは、シルフィアの持つセクシーなイメージを、より一層に引き立てるかのようであった。


(しまっ……! 今日は特殊日の方だったか!?)


 特殊日とは基本ローテーションから外れた、例外パターンの意味である。

 この設定のメリットは『スピカ×サクラ』『シルフィア×リリナ』などなど。

 意外な組み合わせの女の子と同時にプレイすることによって、今まで知らなかった女の子たちの一面を知ることができることであった。


「どうしたのだ。主君。何か考え事か?」

「いや。何でもない。何時みても2人は可愛なって、見惚れていただけだよ」

「主君♡」「ご主人さま♡」


 容姿を褒められたことが嬉しかったのだろうか。

 スピカ&シルフィアは、うっとりとした表情を浮かべていた。

 言えない。

 今まさにどちらの女の子で童貞を卒業するかということを考えていたなんて、言えるはずがない。




(規制回避のため文章カットを行いました)




 悠斗は遊びたい盛りの高校生。

 異世界に召喚されて自由の身になったとはいっても、父親になる覚悟までは持てないでいたのだった。


(ふふふ。今日の俺は一味違うかもしれないぜ……!)


 今日まで苦悩と葛藤は、新しく習得した魔法によって解決することになるかもしれない。

 期待で胸を膨らませた悠斗は覚悟を決めて、新しい魔法を使用してみる。


(コントラプション……!)


 心の中で呪文を唱えた次の瞬間、悠斗の掌から発生した白色の光が、悠斗の全身を包み始める。


(おお……! 成功だ……!)


 説明文章を読んでみたところ、生殖能力と一緒に性欲まで消えてしまうのではないかと危惧をしていたのだが、どうやら完全に杞憂だったらしい。

 ようやくこれで今まで自粛してきたプレイ解禁できるのかと思うと、悠斗の性欲は俄然、増加の一途を辿ることになっていた。


「すまん。2人とも。今日は、触手を使わない。その代わりコッチの方を使おうと思っているんだ」

「なっ!?」「えっ!?」


 悠斗の発言を受けたスピカ&シルフィアは一瞬、自分たちの耳を疑った。

 それというのも悠斗は、今日の今日までスケベな性格からは、想像ができないような鋼の理性によって自らの性欲をコントロールしてきたのである。


「しゅ、主君! 本当にそれでいいのか!?」

「そうですよ! もしかしたら子供ができてしまうかもしれないんですよ!」

「べ、別に私はそれでも構わないが……」

「べ、別に私も気にしないですけど……」


 動揺した2人は、ついつい口々に本音を口走ってしまう。

 同じ屋根の下で暮らす女性メンバーは、気心の知れた仲間であるのと同時にライバル関係でもある。

 他の女子と比べて早く子供を作ることができれば、それだけ悠斗からの寵愛を受けられるかもしれない。

 密かに2人はそんな期待を胸に寄せていたのだった。


「いや。子供ができることは絶対にないぞ。俺には新しく覚えた《避妊魔法》があるからな!」

「「避妊魔法!?」」


 聞き覚えのない単語を耳にしたスピカ&シルフィアは、ますますと驚愕の表情を浮かべていた。

 何故か?

 それというのも現代日本とは違って、文化が未成熟な異世界トライワイドでは、避妊という概念がそこまで広くに浸透していなかったからである。


「ものは試しだ。2人ともそこに寝転がってくれ」

「「…………」」


 不思議そうに首を傾げた2人は、半信半疑の状態でベッドの上で待機する。

 さて。

 首尾よく事を運んだのは良かったのだが、悠斗は今まさに『究極の選択』を突き付けられようとしていた。

 スピカとシルフィア。

 果たしてどちらの女の子で童貞を卒業するのが正解なのだろうか?

 ここで選択を誤れば、一生後悔するような事態に発展しかねない。


(どうする? ここはやはり、出会った順番で決めるべきなのか……)


 僅か数日の違いではあるが、シルフィアと比べて、スピカとの付き合いは長かった。

 普通に考えると、ここは出会った順番で決めていくのが、最も後腐れのない公平な選択肢な気がする。


「主君。私のことは後回しで良い。ここはやはり古株であるスピカ殿から先にするべきだと思う」


 色々と思い悩んでいる悠斗の心情を察したのだろう。

 シルフィアは唐突に意外な提案を口にした。


「え! いいんですか! シルフィアさん!?」

「ああ。考えてみれば、どちらが先で、どちらが後かなんて些細な問題だからな……。私はこんなことでスピカ殿と揉めたくはないのだよ」

「シ、シルフィアさん……!」


 シルフィアの言葉を聞いたウルウルと目を潤ませいるようだった。

 2人の間で結論が出たのであれば、これ以上は悩む必要はないだろう。


「いいんだな。それじゃあ、スピカから……」


 言いかけたところで悠斗ははたと気付く。


 ボインッ♪ バインッ♪

 ツルツル♪ ペターン♪


 もしかすると昨夜のクエストの疲れが取れていないのだろうか?

 2人の美少女の胸から、そんな擬音が聞こえたような気がした。

 無論、スピカの胸のサイズは、決して一般的な女性と比べて小さいというわけではない。

 平均と同じか、むしろ、それよりも少し大きいのかもしれない。

 だがしかし。

 山盛り一杯に盛り上がったシルフィアの胸と比べると、どうしても物足りない部分があるのは事実であった。


「ごめん! やっぱりシルフィアで!」

「きゃっ!?」


 頭ではダメだということが分かっていても、本能の部分でストップをかけることができなかった。

 直前のところでおっぱいの誘惑に屈した悠斗は、そのままおっぱいの海にダイブすることにした。



「な、なんですか! 結局、男の人は胸なんですかっ!?」


 小声でツッコミを入れてはみるが、スピアの声は盛り上がっている2人には届かない。

 独りベッドの隅に取り残されたスピカは、なんとも形容し難いもどかしい気持ち抱くことになった。


(規制回避のために文章のカットを行いました)


(ふう……。凄かった……! こんな気持ちの良いことが、この世に存在していたんだなあ……!)


 悠斗は感動していた。

 これまでの触手を使ったプレイも楽しくはあったのだが、気持ち良くなれるのが女性だけ、という致命的な欠点があったのだ。

 自分の体を使えば、自分も女性も気持ち良くなり、WIN-WINの関係を築くことができる。

 悠斗は今まさに人体の神秘に対して、底知れない敬意を抱くことになった。


「あのう。ご主人さま……私にも……そろそろ……」


 不意に背後から声をかける。

 迂闊だった。

 シルフィアとの行為に夢中になった結果、悠斗はついつい『次にスピカとする』という予定を失念していたのである。


「ああ。次はスピカの番だったな」


 さっそく『次』に取り掛かろうとする悠斗であったが、そこで違和感に気付く。

 いくら頑張ったところで微塵も性欲が沸いてこない。

 どうやらシルフィアとプレイしたことにより、想像以上に体力を搾り取られてしまったようである。


「すまん。スピカ。暫く俺は世界の平和について考えていたい気分なんだ……」

「びえっ! びえええええええええ!?」


 いわゆる、賢者モードというやつなのだろう。

 男の体というものは連続して行為に及ぶ、ということに対して、まったく適していない構造をしていたのである。


(知らなかった……。こんなにも回復できないものなんだな)


 現実は非情である。

 悠斗の知っているエロ漫画の世界では、男性は常に無尽蔵の精力を発揮するものなのだが、今にして思うとアレはフィクションの世界だからできる芸当なのだろう。

 この問題は見過ごすことができない。

 悠斗の目標である『100人の奴隷ハーレム』とは、それ即ち100人の女の子を同時に満足させるだけの精力を身に着けという部分まで含まれているものだった。


(近いうちに何か対策を考える必要がありそうだな……)


 その後も色々な解決策を試してみた悠斗であったが、ハッキリとした効果のあるものを見つけることはできなかった。

 この問題は悠斗が後に入手する《絶倫》の固有能力により、解決することになるのだが――。

 それはまだ暫く先の話である。



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