異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
ルーシーの勧誘
それから。
王女様から報酬を受け取った悠斗は、帰り道を歩いていた。
(結局、サーニャの占い通りの結果になっちまったな)
報酬としては満足だったのだが、期待をしていた可愛い王女様と知り合いになれなかったのは、残念な限りである。
(ん? この気配?)
交差点を曲がったところで、不意に悠斗の足が止まる。
ロイヤルロードを出たあたりから、何者かに後を付けられている感覚があった。
かなりの手練れである。
誰かに付けられている、という感覚は随分と前からあったのだが、具体的な居場所を突き止めるまでには時間がかかってしまった。
「いるんだろ。出てこいよ」
振り返った悠斗が挑発すると、先程までは何もなかった景色の中から小柄な少女が現れる。
ルーシー・ルウ
種族:ヒューマ
職業:エンジニア
固有能力:アナライズ 瞬間記憶
アナライズ@レア度 ☆☆☆☆
(様々なアイテムの性能を鑑定するスキル)
瞬間記憶@レア度 ☆☆☆☆☆
(過去に見た映像を完全に記憶するスキル)
「へえ。流石だなあ。ボクの尾行に気付いていたんだね」
その身長は大体150センチを少し超えるくらいだろうか
クリクリとした二重の眼と元気な印象を与えるポニーテールを併せ持った美少女であった。
スキルを使って姿を消していたような気配はない。
何らかの未知の技術を使って、姿を暗ませていたことは明らかであった。
‘(バ、バカな……。ボクッ娘だと……!?)
だがしかし。
悠斗にとって何より衝撃的だったのは、ルーシーの使用する一人称にあった。
アニメやゲームならいざ知らず、現実で一人称がボクの美少女に遭遇するのは、悠斗にとって初めてのことであった。
「やあ。ボクの名前はルーシー。それともナンバーズの一員と言った方がキミにとっては話が早いかな」
「…………!?」
ナンバーズという言葉を聞いた途端、浮かれムードだった悠斗も流石に警戒レベルを増していく。
悠斗がナンバーズという組織について知っていることは少ない。
ただ、それぞれが超人的な力を持ち、好戦的に絡んでくる厄介な存在ということだけは薄々と気付いていた。
「で、ナンバーズの人間が俺に何の用ですか?」
「生憎とボクは回りくどいのが苦手でね。単刀直入に言うよ。ユートくん。キミをナンバーズにスカウトしに来たんだ」
この時、悠斗にとって知る由もないことであったが、ナンバーズという組織は、メンバーの誰かが倒されると、勝利した人間が次のメンバーとなる『入れ替わり制』が取られていた。
悠斗は、以前のルーメル遠征の際にグレゴリー・スキャナーを倒したことにより、知らず知らずのうちに【NO.08】の称号を獲得する権利を入手していたのである。
「でもまあ、もちろん無理にとは言わないよ。元々キミの台頭はボクたちにとっても想定外だったんだ。キミだって急にこんなこと言われても困惑するだけだろうし……」
「分かりました! 入ります!」
「うんうん。賢明な判断だよ。正直に言うと今更、新しいメンバーが入ることになっても、トラブルになるだけだから……。え、今なんて?」
「ナンバーズ、入ります! 喜んで!」
「は、はい……?」
想定外の返答を受けたルーシーは動揺していた。
ルーシーにとって今回の勧誘は、ルール上、仕方なく行ったものであり、まさか本人からOKが出るとは思ってもいなかったのである。
「い、一体どうしてなんだい?」
「ふふふ。そりゃそうですよ。お嬢さん。貴方のような美しい女性に誘われて、断るようでは男が廃りますからね」
キリッとした涼しい表情で悠斗は言った。
「えええ……」
ルーシーはドン引きしていた。
この時、悠斗にとって知る由もないことであったが、《転生の魔石》によって魂を呼び寄せられたルーシーの精神は、ブラック企業に勤めてデスマーチの日々を送っていた中年のサラリーマンだったのである。
「ま、まあ、良いや。この手紙の中にボクたちナンバーズのアジトの場所を書いておいたから。詳しいことは後で話すことにするよ」
同性から口説かれることほど、居心地の悪いことはない。
自分の仕事を済ませたルーシーは、逃げるようにして悠斗の前から立ち去っていく。
(ふう。これは色々と手間が省けることになったな)
実のところ、今回ルーシーの提案を引き受けたのは、美少女からの依頼、というのが理由ではなかった。
相手のことを知るには、その懐に飛び込んでしまうのが最も効率の良い方法である。
回りくどいのが嫌いなのは、悠斗の方も同じだったのだ。
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