話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~

柑橘ゆすら

王女の屋敷


 それから。
 ロイヤルロードを歩くこと10分後。


「着いたぞ。我々に与えられた仕事は、この屋敷に住み着いたモンスターを退治することにある」


 そう言ってラッセンが指さした先にあったのは、ロイヤルロードの中でも一際、立派な屋敷であった。

 流石に敷地面積は悠斗の住んでいる屋敷には劣っているが、ロイヤルロードの地価を考えると破格の大きさを誇っていた。

 この建物は王女クルルが愛用していた別荘であり、中にモンスターが住み着くまでは頻繁に人間の出入りがあったらしい。


「えっ。この中にモンスターがいるんですか?」

「ああ。アタシも詳しい話を聞いたわけではないが、たしかな情報らしい」

「……それって、大問題じゃないんですか?」


 異世界で生活するようになってから悠斗であったが、流石に街の中でモンスターと戦ったことはなかった。

 もしもこの情報が外部に漏れたとしたら?

 王都の住人たちに与える不安は大きなものになるだろう。


「その通り。だから王女殿下はアタシのようなフリーの冒険者に依頼をして、内々に問題を処理したかったのだろうね」


 白昼堂々、王都の中心部に、出現するモンスターとは果たして、どんな種類のものなのだろうか。

 そこまで聞いたところで悠斗は、今回の任務の難易度がハードなものになると確信していた。


「ちなみに今回のクエストの報酬なのだがな。クルル王女の話によると……」

「えええ!? そんなにもらえるんですか!?」


 ラッセンから伝え聞かされた金額は、悠斗が予想していたものよりも遥かに高額なものであった。


「ご主人さま。い、一体、今回の仕事はどれくらいの報酬がもらえるんですか?」

「うーん。具体的な金額は伏せるが、スピカ200人分くらいの値段だな」

「びえ! びええええええええええええ!」


 実際に奴隷として売られていたわけではないのだが、借金の形として悠斗がスピカを引き取るのに要した価格は5万コルであった。

 異世界トライワイドにおける1リアとは現代日本における10円ほど価値にある。

 つまりは今回の仕事で与えられる報酬は、1億円相当の額が見込まれていた。


「さて! それじゃあ、さっそく調査の方を……」

「む。主君。ちょっと待って欲しい」


 悠斗が歩き始めようとした時、不意にシルフィアに呼び止められる。


「その靴ヒモ、切れているのではないか?」

「あれ。本当だ……」

 竜皮の靴@レア度 ☆☆☆☆☆
(竜の皮を鞣して作成したブーツ。火、風耐性に優れている)


 悠斗の使っていた竜皮の靴は、高い金額を支払って購入した上級装備である。


「ふうむ。その皮靴、《竜皮の靴》だろう? 珍しいな。竜のヒゲで作られた靴ヒモが切れるとは……」


 ラッセン曰く。
 街の職人に依頼すれば、簡単に修理することはできるらしいのだが、耐久性に優れた竜のヒゲが切れるのは非情に稀なケースらしい。


(う~ん。何か不吉なことが起きないと良いのだが……)


 その時、悠斗が思い出していたのは、今朝から気になっていたサーニャに占いの結果である。

 基本的には占いを信じるタイプではない悠斗であったが、朝から続いて不吉なイベントが続くと気が滅入るというものである。

 なんとなく空を見上げると、どんよりとした雲が浮かび、今にも降り出しそうな雰囲気が漂っていた。


「異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く