異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~

柑橘ゆすら

ロイヤルロード


 それから。
 ラッセンに連れられて向かった先は、王都の中心部に繋がる通りであった。


「ラッセンさん。この先はたしか、行き止まりでは?」

「まあまあ、ユート君。まずは何を言わずにアタシの後ろに着いてきて欲しい」

「…………」


 素直に従うことにした悠斗は、要望通りにラッセンの後を追うようにして歩くことにした。

 ショートパンツからはみ出したラッセンの持つプリプリとした尻は、時間を潰すのに最適である。


「ううう。ご主人さまがラッセンさんのお尻を食い入るように見つめています……」

「恐れ入ったぞ。ラッセン殿が気付いていないのを良いことに、これほどまでに至近距離で……。主君の辞書には『恥』や『外聞』といった言葉が存在しないのだな……」


 スピカとシルフィアは白昼堂々、ラッセンの尻を盗み見る悠斗に対して、嫉妬を通り越して、呆れの感情が籠った眼差しを送っていた。

 やがて、暫く歩いたところで、ラッセンの足はピタリと止まる。
 そこは今まで悠斗が『行き止まり』だと思っていた城門の前であった。


「シルバーランク冒険者のラッセン・シガーレットだ。王女殿下の命により、ここ、ロイヤルロードに馳せ参じた」

「ラッセン様ですか。クルル王女から話は伺っています。ただいま、城門を開きますので、暫くお待ちください」


 門番が依頼を引き受けて暫くすると、竜の紋章をあしらえた大きな扉を開く。

 そこには今まで見たことのなかった光景が目の前に広がっていた。


「びえっ! びええええええええ!」

「恐れ入ったぞ! まさか王都の中心部にこれほどまでの絶景が隠されていたとはな!」


 城門から一歩踏み出したその先には、今までの王都とは一線を画す『別世界』と形容すべき場所であった。

 辺り一面に咲き誇る花々はよく手入れが行き届いており、まるで天上の世界に迷い込んだのではないかと錯覚をさせるほどのものであ。

 動物の形を模った純金の像からは絶え間なく水が流れ落ちており、美しい水路が形成されていた。


「驚いたかい? 王都特別区画。通称、ロイヤルロード。一部のVIPのみしか立ち入ることができない、特別な場所さ」


 大きな胸を張って、得意気な表情でラッセンは語る。

 高位の冒険者たちの中には、ギルドから直接依頼を受けず、独自に入手したコネクションによって仕事を得ているものもいた。

 ラッセンもその1人である。
 中でもラッセンは王族たちと太いパイプで繋がっており、ギルドから与えられる仕事では考えられないような高収入のクエストを独占して任せられる立場にあった。


「ラッセンさん。もしかして今回の仕事の依頼主って……?」

「ふふふ。よくぞ聞いてくれたね。王女クルル。正真正銘、この国の第一王女が我々の雇い主さ!」

「――――ッ!?」


 ラッセンの言葉を受けた悠斗は、頭を鐘で打ち付けられるかのような衝撃を受けていた。

 まさかこんなところで子供の時から抱いていた叶えるチャンスが巡ってくるとは、思ってもみなかった。

 悠斗にとって異世界に召喚されて、その国の王女様とお近づきになることは、何にも代え難いロマンだったのだ。


(うおおおおお! テンションが上がってきたぜえええ!) 


 果たして王女クルルは、どんな女の子なのだろうか。

 妄想を膨らませた悠斗は、瞳の奥にヤル気の炎を灯らせるのだった。


コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品