異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
裏切りものの行く末
それから。
アパートに戻った悠斗たちは、先程の出来事をサクラに報告することにした。
「そうですか。リズベルの屋敷でそんなことが……」
どんな叱責を受けることかと胃をキリキリさせていた悠斗であったが、意外なことサクラは2人の独断行動に対して、不満をぶつけるようなことはしなかった。
もしかしたらサクラもまた、何処かでこうなることを予想していたのかもしれない
悠斗と同じようにサクラもまた、シルフィアの行動パターンを知り尽くしているのである。
「しかし、今回のことは我々にとっては好都合。考えようによっては、明日の面談は戦争を止める最後のチャンスとなるかもしれません」
「最後のチャンス……だと……!?」
「はい。本日の会議で部下から、報告を受けました。現在ルーメル反乱軍はロードランドに向けて進行中。既に10万を超える兵たちが国境付近に集結しているようです」
「「…………!?」」
想定していたよりもあまりに早すぎる。
通常であればロードランドからルーエルまでの移動時間は、優に3日を超えると言われていた。
少数精鋭の部隊ならばともかくとして、10万人の軍勢が1日2日で国境付近にまで移動することなど、普通に考えれば不可能なことなのである。
「その情報はたしかなのか……?」
「はい。どうやらルーメル反乱軍は、ロードランドに向けて不眠不休で進行しているようです。このままいくと明日中には両軍の衝突は避けられないでしょう」
「なっ。不眠不休だと……!」
シルフィアは驚愕していた。
選抜された少数精鋭の軍というのならばいざ知らず、10万を超える兵たちが不眠不休で動くことなど考えられないことであった。
「……援軍として駆け付けた彼らの何処に、それほどの士気が宿っていたというのだ!?」
「さぁ。詳しい事情はワタシにも分かりません。けれども、これは政府の諜報部隊から得た確かな情報です」
そこまで聞いたところで悠斗は、今回の問題について大まかな仮説を立てていた。
おそらく反乱軍のメンバーが不眠不休で活動することができているのは、彼らの背後に取り憑いている『人形使い』の影響なのだろう。
他人のスキルによって精神を操作されているのであれば、限界を超えて肉体を酷使させることができるのかもしれない。
「なあ。2人とも。ちょっと良いかな」
もしも戦争を止める方法があるのだとしたらそれは、反乱軍のメンバーの精神を操作している黒幕を叩く以外の方法は考えられない。
自らの推理に確信を抱いた悠斗は、サクラ&シルフィアに対して、『人形使い』の存在を説明することにした。
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一方、その頃。
ここはエクスペインの街の地下に作られた《邪神対策本部》である。
やがて訪れるであろう《災厄》に備えて作られたこの施設は、異世界トライワイドの技術では絶対に作れないであろうオーバーテクノロジーな電子機材が揃っている。
邪神の復活に備えて、それぞれが物語の《主人公級》の力を持った《ナンバーズ》が水面下で動き始めていた。
「性別も種族も国籍もバラバラ。よくもまぁ、短期間でこれだけの兵隊を集められたものだな……」
電子モニターの映った無数の軍勢を目にして溜息を吐く男の名前は、アーク・シュヴァルツ。
500年前に伝説的な活躍を以て魔王軍を打ち破った英雄である。
転生@レア度 詳細不明
(命を落とした時、別の生物に生まれ変わる力。転生後もこのスキルは引き継がれる)
悠斗と同じように過去に日本から召喚されたアークの固有能力は――《転生》。
肉体が死んでも魂を別の器に映すことで蘇ることのできるスキルを持ったアークは、実に1000年以上も昔からトライワイドで生活を送っていた。
「敵の数は分かるか? ルーシー」
「ううーん。ちょっと待って。今計算中」
キーボードを叩きながらも冷静に返事をする少女の名前は、ルーシー・ルゥ。
組織がルーシーに与えたナンバーは【06】。
外見だけで判断するならば、元気にポニーテールを揺らす美少女なのだが、ルーシーの前世はブラック企業のSEの仕事をしていた中年のサラリーマンであった。
何の因果か異世界で美少女に転生を遂げたルーシーは、前世の知識を活かして邪神対策本部のシステム部門を担当していたのである。
「ザッと15万~16万人っていうところかな。途中で村を襲って、補給ついでに洗脳兵を増やしているみたい。王都に到着する頃には、更に戦力は増えているだろうね」
「そうか……」
グレゴリーのスキル《拡散する人形遊び》の無二の長所は、他人を洗脳するのと同時に精神操作系スキル《人形遊び》を付与できる点にあった。
不眠不休でロードランドに進軍させた結果、大勢の兵士が命を落とすことになったが、それ以上に新規に増えた兵の数が勝っていたのである。
モニターの画面はやがて切り替わり、ナルビアに泊められた黒船の映像を流すことになる。
「それよりさー。この船を作るのに必要な部品。用意したのはキミだろ。ビヨンド」
「ほえ~。何のことだい?」
袋の中のポテトチップスを鷲掴みにして、モシャモシャと頬張りながらも返事をする男の名前はビヨンド・クーガー。
組織がビヨンドに与えたナンバーは【10】。
2メートルを超える長身とブクブクに太った肥満体型が特徴的な男である。
「いやいや。とぼけても無駄だよ。どう見てもあの船に積まれた機材は、この世界ではオーバーテクノロジー。キミのスキルによるものだとしか考えられない」
「うっぷ。そうは言ってもねぇ~。誰に何を渡したかなんて、いちいち覚えていられないよ~」
ゴクゴクとダイエットコーラをラッパ飲みしたばかりのビヨンドは、大きなゲップの音を漏らしていた。
ネット通販@レア度 詳細不明
(ポイントと引き換えにネット通販サイトから物資を取り寄せるスキル)
異世界召喚の際にビヨンドが獲得したのは《ネット通販》のスキルである。
アジトの設備が現代日本と遜色ないほどにハイクオリティなのは、ビヨンドのスキルの恩恵を受けてのものだった。
電子モニターの映像もビヨンドが取り寄せたドローンを使って撮影しているものだったのである。
「あのさ~。前にも言ったよね? 誰に、何時、何を渡したかは、逐一メモに取れと言っているじゃないか。キミはキミの持つスキルの影響力を甘く見過ぎているよ」
ナンバーズのメンバーの中でも誰より、無気力、無責任、無鉄砲なビヨンドは、後先のことを考えず、気分次第で物資をバラ巻く悪癖があった。
事実、ビヨンドのスキルによって滅茶苦茶にされた、異世界(トライワイド)の文化、生態系は枚挙に暇がない。
「ほえ~。そんなに怒らないでよ~。ほらほら。ルーシーたんの大好物の、ドーナツあげるからさ」
スキルを使って、取り寄せたばかりのチョコリングのドーナッツを手渡しながらもビヨンドは笑う。
グレゴリー・スキャナーという男が、『純粋な悪』なのだとしたら、ビヨンド・クーガーという男は『自覚のない悪』である。
ビヨンドの性格と無尽蔵に別世界の物資をバラ巻くことのできる《ネット通販》のスキルは、考え得る限り最悪の組み合わせであるとも言えた。
「ねぇ。アーク。ボクを組織に誘った時に言った約束、覚えている?」
ルーシーの質問を受けたアークは無言のまま首を縦に振る。
それぞれが物語の《主人公級》の力を持った《ナンバーズ》のメンバー同士が衝突すれば、たちまち地上は戦火の炎に包まれかねない。
ナンバーズの中には、メンバー同士の争いごとを禁ずる鉄の掟が存在していたのである。
「あのルールだけど……。もしもボクたちの中で裏切りものが現れたらさ。その時はどうしたらいいんだい?」
秘密裏に他国で兵力を蓄えたグレゴリーの矛先が、組織に対して向いていることは明らかである。
遅かれ早かれ何処かでこういうことが起きるような気はしていた。
こうしている間にも反乱軍の部隊は、足並みを揃えて王都に向かっている。
決断の時は刻一刻と迫っていた。
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