異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~

柑橘ゆすら

大胆なスピカ

 

 チュンチュンチュン。
 窓の外から小鳥たちの囀る声が聞こえてくる。

 エクスペインの街の中でも随一の敷地面積を誇るこの家は、様々な野鳥が集まる場所だった。


「グガァ……。グガァ……」


 そんな大豪邸の寝室で気持ち良さそうに寝息を立てる男がいた。

 少年の名前は近衛悠斗。
 何処にでもいるごくごく普通の高校生である。

 唯一、普通の高校生と違う点を上げるのであれば彼が幼少の頃より、《近衛流體術》という特殊な武芸を身に付けていたところであろう。

 突如として異世界に召喚された悠斗は、持ち前の武術を用いて八面六臂の活躍を見せており、若くして大豪邸を保有するほどの成功者となっていた。


(んん……? なんだろう。この違和感……?)


 不意に違和感を覚えた悠斗は、ゆっくりと瞼を開く。
 嫌な予感を胸に布団を引きはがしてみると、そこに待っていたのは意外過ぎる光景だった。


「あっ。おはようございます。ご主人さま」


 上目遣いで奉仕を続ける1人の少女と視線がぶつかった。 

 少女の名前は、スピカ・ブルーネル。
 頭から犬耳を生やしたライカンという種族の彼女は、悠斗の家に住んでいる奴隷の女の子たちの中でも最古参メンバーだった。


「えっ。えええっ! ス、スピカ!? な、何やっているんだよ!?」

「ごめんなさい。出過ぎた真似をしたでしょうか? 夜だけではなく朝にもご主人さまのことを喜ばせたいと思いまして」


 スピカが1人の冒険者として自立をしたいと言い出したのは、つい先日のことである。

 結果、冒険者として自立することは叶わなかったが、『ご主人さまの所有物として生きていきたい』という自分の本当の気持ちに気付くことができた。


 ――戦闘面ではあまり役に立てない分、せめて他の部分では役に立ちたい。


 そんな想いを抱いたスピカの『ご奉仕』は、日に日に積極的なものになっていたのである。


「いや。何も問題ないよ。うん。いきなりのことで驚いただけだ」


 戸惑いこそはしたが、目を開けたら女の子が奉仕してくれている、というシチュエーションは男心をくすぐるものがある。

 的確に状況を分析した悠斗はスピカに自分の体を預けてみることにした。


「嬉しいです。それでは不肖、スピカ・ブルーネル。ご主人さまのためにご奉仕させて頂きますね!」


 悠斗のお墨付きをもらったスピカはピコンと犬耳を垂直に立てる。
 今までは起こさないよう気を使っていたのだが、許可が下りたからには遠慮をする必要はない。


(……私が1番ご主人さまを喜ばせることができるのです! 他の方々には負けませんよ!)


 屋敷の女性メンバーに対して強いライバル意識を燃やしているスピカのテクニックは目に見えて上達していた。

 結局、その日の悠斗は朝からたっぷりとスピカに体力を搾り取られることなるのだった。

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