異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
意外な報酬
それから数日後。
想定外の強敵を打ち倒してグールの討伐依頼を済ませた悠斗はケットシーの村に戻っていた。
「ユウトくん。詳しい話はルナから聞いている。重ね重ね……キミには本当に感謝をしている。今この村にこうして平和があるのは、全てキミの活躍があってこそと言うものだろう」
「いえいえ。オリヴィアさんはお気になさらず。俺としてもお役に立てたみたいで嬉しいです」
不死王タナトスを封印していた洞穴の奥には、ケットシーのみならず様々な種族の人間たちが生け捕りにされていた。
その数は、総勢50人を超えている。
中には衰弱をして命の危機に瀕しているものもいたが、結果として悠斗の行動は多くの人間の命を救うことになった。
「ところでユウトくん。村を救ってくれた英雄であるキミに対して……こういうことは非常に言いにくのだが……」
オリヴィアは申し訳なさそうにして金貨の入った袋をテーブルの上に置く。
袋の中には金貨が20枚ほど入れられていた。
「生憎と私たちの村には伝説のネームドモンスターを倒したキミの活躍に見合う報酬を用意するだけの余裕はなくてね。村の中をかき集めてもこれっぽっちの資金しか用意することが出来なかったのだよ」
金貨20枚という額は、決して裕福とは言えないケットシーの村が悠斗払えるギリギリのものであった。
「あ。いえ。お金を受け取るつもりはありません。色々と事情があってお金には全く困っていないんです」
「な……。し、しかしキミ!? そういうわけにはいかないだろう」
悠斗の言葉を受けたオリヴィアは動揺していた。
幼少の頃よりオリヴィアは祖父から『武勲を立てた者に対しては、十分な対価を支払らわなければならない』という教えを受けてきた。
カネの切れ目は、縁の切れ目。
相手の厚意に甘えて報酬を惜しんでしまうと、人の心は知らない間に離れていくのである。
「大丈夫です。報酬なら既に受け取っていますから」
「……? それは一体どういう……?」
悠斗の言葉を聞いたオリヴィアは不思議そうに小首を傾げる。
「しかし、意外でした。オリヴィアさんが男とキスもしたことがない生娘だったなんて……」
「~~~~っ!?」
言葉の意味を理解したオリヴィアはカァァァァッと頬を赤らめていく。
たしかに自分はある意味、カネよりも大切なものを悠斗に対して差し出した。
だがしかし。
真剣な交渉の場でその話題を切り出すことは、オリヴィアにとって不意打ち以外の何物でもなかった。
「そ、そういうことなら遠慮はせぬぞ。たしかにキミは、私が27年も守ってきた大切なもの奪って行ったのだからな!」
半ば開き直った態度でオリヴィアは答える。
まさか恋焦がれた相手が、行き遅れた自分の体にそれほどの価値を付けてくれるとは思わなかった。
オリヴィアの胸は今までの人生で味わったことのない多幸感で満たされていく。
「それでキミ……。本当に明日にでも村を出るつもりなのだな?」
「ええ。家の中ではリリナとサーニャが待ってくれているので。ずっとこのまま滞在するわけにはいきません」
「……ならばこれを受け取っていくがいい。そのアイテムこそが今回のキミの働きに対する報酬に相応しいものだろう」
オリヴィアはそう前置きをした上で悠斗に対して小さな石を投げ渡す。
解封の魔石@レア度 ☆☆
(結界の内側に入るために必要な魔石。石に特定の文字を刻むことで鍵としての役割を果たす)
「これは……?」
「その石があれば何時でも村の結界を抜けて私に会いにくることが出来る。……よ、夜伽の相手なら何時でも受けてやろう! 私のことは気兼ねく現地妻のように扱ってくれて構わないからな!」
「…………」
伝説のネームドモンスター討伐と引き換えに美人の現地妻を手に入れてしまった。
この村で手に入る報酬としては最も価値のある品だろう。
オリヴィアの一言により――。
悠斗は時間を見つけて定期的にケットシーの村を訪れようと心に決めるのであった。
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