異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~

柑橘ゆすら

ネコミミ忍者娘の依頼



 ルナ・ホーネック
 種族:ケットシー
 職業:冒険者
 固有能力:隠密

 隠密 レア度@☆☆☆
(自らの気配を遮断するスキル)

 ネコミミの忍者、ルナに連れられて向かった先は荒くれ者の冒険者たちが集う酒場であった。

 店内にはムワッとした男の汗の臭いが立ち込めていた。


「おい。見ろよあれ……」

「あそこにいるのは《武神》ルナじゃねえか?」


 どうやらこのルナという少女は、冒険者としても相当に腕が立つらしい。

 酒場にいた冒険者たちは、ルナの姿を見るなり口々に驚きの言葉を漏らしていた。


「話というのは他でもありません。ダンジョンを単独で攻略したという貴方の実力を見込んで頼みたい仕事があるのです」


 テーブル席に着いてから暫くすると、ルナはマグカップに注いだホットミルクを片手に本題を切り出した。

「仕事……ですか」

「はい。実を言いますと、私の故郷の村が凶暴なグールたちによる人攫いの被害に悩まされているのです。ユートさん。単刀直入に言います。私と一緒にグールの殲滅を手伝ってくれませんか?」

「……どうして俺の力が必要なんですか? そのグールっていう魔物はそこまで強力な魔物なんでしょうか?」

 グールという魔物はゲームの世界では、序盤から中盤に出てくる雑魚モンスターというイメージがある。

「はい。出現するのが通常のグールであればユートさんの力を借りるまでもなかったと思います。しかし、どういうわけか私の故郷に出現するグールたちは不自然なほどに強いらしくて……。並の冒険者では全く歯が立たないのです」

「なるほど。それは妙な話ですね」

 トライワイドにおいてグールという魔物は悠斗のイメージに違わず、それほど強力な種族ではなかった。

 初心者が倒すには骨が折れるが、経験を積んだ冒険者であれば苦戦することはないとされている。

 楽に倒せる割には、生理的嫌悪感を催すルックスから討伐任務に人気がないのも特徴の1つであった。

「しかし、どれだけ強くても所詮グールはグールです。グールを討伐してもギルドは雀の涙ほどの報酬しか出しません。だから誰も……彼らたちの暴走を止めることが出来ないのです」

「…………」

 なかなかに現実味のある問題であった。

 冒険者たちも別に人助けのためにモンスターを倒しているわけではない。

 どんなに困っている人がいようとも、割の合わない仕事は引き受けたくはないのだろう。

「どうでしょう? 手伝っては頂けないでしょうか? もちろんタダでとは言いません。無事にグールの討伐が成功した暁には相応の報酬はお支払いするつもりです」

「……分かりました。その依頼、引き受けましょう」


「本当ですか!?  ありがとうございます!」 


 悩んだ挙句に悠斗は、ルナの依頼を引き受けることにした。

 理由としては大きく分けて二つある。

 1つはグールという魔物が不自然に強化されているルナの話が気になったからである。 

 仮にその原因がレアな固有能力によるものだとしたら――。
あわよくば《能力略奪》を発動させて、そのスキルを入手できるかもしれない。

 もう1つは言うまでもなく、ルナが美少女であったという点である。

 可愛い女の子が困っているのに放っておくという選択肢は悠斗の中になかった。

「流石はご主人さまです! 綺麗な女性に対しては何処までも優しくなるんですねー」

「恐れ入ったぞ! 依頼の詳細も聞かずに快諾してしまうとはな……」

「…………」

 スピカ&シルフィアの視線が痛かった。


「まずはユートさんを私の故郷であるケットシーの村に案内しようと思います。詳しい話はそこで行いましょう」

「ん……? ケットシーの村……?」


 なんだろう。
 前にも同じような展開があったような気がする。

 悠斗はそこでルナの言葉に対して激しいデジャブを覚えるのであった。



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