異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~

柑橘ゆすら

ダンジョン出現



「ダンジョンだ」

 天高くに聳え立つ建築物を目の当たりにしたシルフィアはおもむろに呟いた。

「えーっと。ダンジョンっていうとあのダンジョンだよな? 中には魔物とかお宝がわんさかあるという……」 

「ああ。主君の認識に間違いはない。実を言うと私も実際に見るのは初めてなのだが……。このサイズの建物が突然現れるということはそれくらいしか考えられないからな」

「……なるほど。そういうものなのか」

 昨日からの地震は悠斗にとって不可解な点が多かったが、それがダンジョンの出現の予兆であったと仮定すると納得の行く部分があった。

「あのさ。ということは俺たちって、もしかして凄い発見をしたことになるんじゃないか?」

「ご主人さま。もしかしてまた危険なことを考えているのでは……?」

「失礼な。俺はちょっくら先にダンジョンに潜入して、中のお宝を独り占めしようと思っただけだ!」

「やっぱりです!?」

 誰よりも主人に振り回されることの多いスピカは、段々と悠斗の思考パターンを把握しつつあった。


「そいつは止めておいた方がいい」 

 ラッセン・シガーレット
 種族:ヒューマ
 職業:冒険者
 固有能力:読心

 読心@レア度 ☆☆☆☆☆☆
(対象の心の状態を視覚で捉えることを可能にするスキル)


 声のした方に目をやると、1人の女性がそこにいた。

 歳の頃は18歳くらい。
 オシャレな皮ジャケットとお尻が見えそうになるくらい短いパンツを履いたワイルド系の美人であった。


 神秘の火銃 レア度@☆☆☆☆☆
(大気中の魔力を吸収して火属性の魔法を射出する武器)


 ラッセンの腰に巻き付けられたホルスターには、何やら高価な武器が入っていた。

(あのおっぱい……シルフィアとどっちが大きいだろう)

「「…………」」

 悠斗がラッセンの胸元に視線を送っていると、隣にいたスピカとシルフィアの眼差しが険しくなる。

「……自己紹介が遅れてしまったね。アタシの名前はラッセン。ラッセン・シガーレット。情報屋だ。肩書きは一応キミと同じ冒険者ということになっているが、こっちはオマケくらいに思ってくれて構わない」

 ラッセンはそう前置きすると、胸の谷間に挟んでいたギルドカードを取り出した。

 カードに銅の塗装が施されていることから、ラッセンがブロンズランクの冒険者であることが分かった 

 本職は情報屋で冒険者はオマケという話であったが、冒険者としての高い実力を有しているらしい。

「これは御丁寧にありがとうございます。俺の名前は……」

「知っているよ。コノエ・ユウトくんだろう」

 ラッセンはニヤリと笑って悠斗の名前を言い当てる。

「ああ。これは失礼。しかし、キミはアタシたちの業界では既にちょっとした有名人だからね。わざわざ名乗ってもらうのも申し訳ないと思ったのさ」

「えーっと。俺ってそんなに有名人だったんですか?」

 なるべく悪目立ちをしないように努めてきた悠斗にとって、ラッセンの言葉は些かショクなものがあった。

「ああ。なんと言ってもキミは、冒険者ギルドに登録してからたったの1週間足らずでブロンズランクに昇格した期待のルーキーだからね。今では同業者たちの間でキミの名前を知らない人間はそうはいないよ」

「そうだったんですか」

 悠斗としては目立ってしまうのは不本意なことであったが、美人から褒められるのは悪い気はしない。

「さて。自己紹介も済んだところで本題に移ろうか。キミは先程、ダンジョンに入ろうとしたね?」

「……もしかすると禁止されていることだったんでしょうか?」

「いいや。別に禁止されているわけではないのだが、ギルドの依頼を受けずに勝手にダンジョンに入ることは推奨はされていない。
 実を言うとアタシはローナス平原に出現するダンジョンを報告するクエストをギルドから任されていてね。明日にはブロンズランク以上の冒険者に対して『ダンジョン攻略クエスト』の依頼が来るだろう。クエストを受注してからでないと、ダンジョンを攻略しても報酬は出ないから、もう1日ほど時間を置いてから挑んでみてはどうだろう?」

「……分かりました。そういうことでしたら日を改めることにします」

 目の前にあるダンジョンに入れないのは残念であるが、せっかくの美人の忠告なので此処は素直に従っておくことにしよう。

 推奨されていないということは、出現したばかりダンジョンを攻略してしまうことは、他の冒険者の恨みを買ってしまう行為なのかもしれない。

「そう言ってくれると嬉しいよ。アタシはこう見えてキミのことを高く買っているんだ。1人でダンジョンに入って死なれるとこちらとしても寝覚めが悪い」

 ラッセンはそれだけ告げると、踵を返して悠斗の元から立ち去った。


「情報屋ラッセン。只者ではなさそうだな……」


 神妙な台詞を呟きながらも悠斗は、ショートパンツに食い込んだラッセンの尻肉を凝視する。

「そうですねー。おっぱいが大きかったですからねー」

「……恐れ入ったぞ! これだけの女性を囲っていて尚、他の女性に目移りをするとはな!」

 スピカとシルフィアは主人に対して、とことん冷めた眼差しを送っていた。



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