異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
森の中の出来事
頭の上から猫耳を生やしたケットシーの少女――。
リリナ・フォレスティは迷路のように入り組んだ森林の中を掛けていた。
背後からリリナのことを追いかけるのは、10体は優に超えるであろうウッドヘッドの集団である。
(……クソッ。迂闊だった!)
村の結界の外に1人で出てはならない。
それは幼い頃より村の大人たちから忠告されていた言葉であった。
事の発端はリリナが森の中で山菜を集めている最中に起こった。
結界の中は魔物が寄り付かない故に安全である一方。
食糧となりそうな山菜は村人たちの手によって取りつくされていたのであった。
そのとき。
リリナの視界に入ったのは結界の外の景色――。
まだ村の誰もが手に付けていない豊富な山菜の数々であった。
家に帰れば、育ち盛りの妹がお腹を空かせて待っている。
リリナの妹、サーニャは悠斗が森の中で出会った魔物使いの少女である。
(少しだけ……少しだけなら……)
リリナはそんな甘い誘惑に魅了されて結界の外に飛び出した。
その結果が今の状況である。
リリナが夢中で山菜を取っている最中。
ウッドヘッドたちは水面下で狩りの準備を進めていたのであった。
リリナは思う。
仮に相手が単体であれば、自分の所持する《火魔法》を用いて煙に巻くことが出来たかもしれないが、これだけ数が多いと反撃するだけ無意味だろう。
「……ッ!」
そんなことを考えていた矢先であった。
何かに足を取られたリリナは転倒して体を地に伏せる。
躓いたものの正体が地中から巡らされた『ウッドヘッドの根』であることに気付くまでに、そんなに時間はかからなかった。
ウッドヘッドは別名《森の悪魔》と呼ばれるほど狡猾で危険な魔物であると知られていた。
自分より強い相手には徹底して近づかない反面。
確実に狩れる相手に集団で襲いかかる。
そのため。
1度ウッドヘッドに襲撃されたが最後。
彼らの養分になる以外の運命は残されていない。
先程の転倒で足を挫いてしまったのだろう。
なんとかして逃げ出したいが、立ち上がる力が湧かない。
(ごめんな。サーニャ……)
目の前にいるのは、夥しい数のウッドヘッドの集団である。
リリナが自らの死を悟り目を閉じようとしたそのときであった。
「グフォッ!?」
突如としてウッドヘッドの1体が盛大に吹き飛び周囲の木に激突した。
その飛距離は目算にして20メートル近いだろう。
攻撃を受けたウッドヘッドは一撃で絶命してその場からピクリと動かなくなった。
リリナは目の前の光景を疑わずにはいられなかった。
一体どんな魔法を使えばウッドヘッドを一撃で倒せるのかと思いきや――。
リリナの窮地を救った少年の攻撃手段は、ただの『蹴り』であったからだ。
それはリリナが未だかつて遭遇したことのないほどの――。
黒髪黒眼の少年であった。
「うおおおお! ラッキーだぜ! まさか初めて戦うウッドヘッドと、集団で遭遇できるなんて!」
黒髪の少年は叫びながらもウッドヘッドの集団に神速の武術を叩き込む。
リリナは悠斗の持つ圧倒的な戦闘力に驚愕していた。
通常ウッドヘッドは、強い打撃耐性を所持することで知られていた。
主として用いられる討伐方法は、火魔法か剣を持っての斬撃攻撃である。
それを目の前の少年は、まるでリリナが山菜を引っこ抜くかのような感覚で次々と素手で打ち倒して行ったのである。
たった1人の少年との絶望的な戦力差を悟ったのだろう。
ウッドヘッドたちは黒髪の少年から離れて逃げの体勢に入る。
「主君! 加勢するぞ!」
凛々しい声のした方に目をやるとそこにいたのは金髪碧眼の美しい少女であった。
金髪の少女は、少年が仕留め損ねた逃げ回るウッドヘッドたちを次々に斬り伏せて行った。
その剣捌きは華麗の一言に尽きる。
自分とそう歳の変わらない女性が果敢に魔物を戦闘を行う様子は、リリナに大きな衝撃を与えるものであった。
「あの……大丈夫でしょうか? 見たところ足を怪我しているみたいですが」
そう言ってリリナに話かけたのは、頭から犬耳を生やしたライカンの少女であった。
「えっと。お前たちは一体……?」
唖然として問いかけるリリナ。
「その前にまずは怪我の治療を!」
犬耳の少女はそう前置きをして自身の掌から淡い光を放つ。
直後。
リリナの右足からは徐々に痛みが引いて行く。
その魔法の正体が聖属性の基本魔法である《ヒール》であることは直ぐに分かった。
(なんなんだ。こいつらは……。今までに出会ったことのない……不思議な奴らだな……)
リリナは目の前の3人の少年少女たちをそんな感想を抱いていた。
~~~~~~~~~~~~
「……終わったか。2、3匹、逃がしちまった気がするけど仕方ないか」
黒髪の少年の目覚ましい活躍により、先程までの絶望的な状況が嘘のように――。
ウッドヘッドの集団との戦闘は一瞬で終了した。
戦闘が終了した直後。
少年が見せた笑みは一切の邪気が見えない純粋なものであった。
本来であれば周囲からケットシーの村は、周囲から秘匿とされている存在であるため。
外部の人間を招き入れるのは、原則として禁止とされていた。
けれども。
自らの命を救って貰った手前。
何も恩を返さないというのも不義理である。
(大丈夫。この人たちなら……信用できるはず……)
だからリリナは、自ら受けた恩義に報いるため――。
悠斗たちをケットシーの村に案内することを決意するのであった。
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