異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
VS 吸血鬼3
「クハハハハ! どうした! キミの実力はそんなものか!」
悠斗とギーシュの剣戟は、素人目には何が行われているか見当が付かないほどのスピードで行われていた。
(ユウト殿……!!)
シルフィアの目からは、勝負の形勢は制空権を有するギーシュの方が優位であるように映った。
流石の悠斗も自由に空を飛び回る相手から、剣撃の嵐を浴びせらてしまえば防戦一方である。
「感謝するよ! キミの体を奪えば僕は……魔王にすらなれるかもしれない!」
固有能力と魔術を封じられ……純粋な身体能力のみで吸血鬼と戦うことの出来る人間が果たして過去に存在しただろうか?
これから先。
悠斗の肉体を自らのものにした後のことを考えると、ギーシュは胸の内より湧き上がる笑いを堪えることが出来なかった。
バキンッと。
突如としていう金属音が屋敷の中に響き渡る。
悠斗の手にしたロングソードは、ギーシュの脅威的な剣圧に押され真っ二つに折れることになった。
「ふふ。どうやら勝負はこれまでのようだね」
勝負の決着が付いたことを悟るとギーシュは、地面に足を付けて穏やかな口調でそう述べる。
「ああ。そろそろ決着を付けようか。魔族が使う剣術に興味があったのだが……とんだ期待外れだったみたいだな」
「……なに?」
ギーシュは怪訝な表情を浮かべる。
何故ならば――。
手にしていた唯一の武器を失ったにもかかわらず、悠斗の表情からは動揺が見られなかったからである。
そして彼の態度が決して強がりである訳ではないということをギーシュは、警鐘の固有能力で理解していた。
「お前を相手にするには折れた刀で十分だ」
悠斗は折れたロングソードを向けてギーシュを挑発する。
「抜かせっ!」
この男は一体どこまで魔族をバカにすれば気が済むのか?
激昂したギーシュは、吸血鬼の身体能力をフルに活かして地面を蹴る。
~~~~~~~~~~~~
実のところ。
戦いの最中に悠斗は――ずっと落胆をしていたのであった。
何故ならば悠斗は、可能であればギーシュの剣術を盗んで自分のものにしたいと考えていたからである
けれども。
ギーシュが見せる剣撃は自らの身体能力に頼っただけの粗雑なものであり、剣術と呼ぶには烏滸がましいものであった。
「ハアアアァァァ!」
ギーシュは叫声を上げながら手にした《簒奪王の太刀》を振りかざす。
悠斗は折れたロングソードの鍔でその攻撃を受け止める。
その直後。
悠斗が見せたのは長きに渡る《近衛流體術》の中でも自分1人だけが体得している究極奥義であった。
~~~~~~~~~~~~
古来より《近衛流體術》には《剛拳》と《柔拳》という二種類の拳術が存在していた。
空手の《正拳突き》などに代表されるような相手の体を外側から破壊する攻撃を《剛拳》。
中国武術の《浸透勁》を代表する相手の体を内側から破壊する攻撃を《柔拳》と呼んでいた。
戦況に合わせて《剛拳》と《柔拳》を巧みに扱うことが《近衛流體術》に求められる技術であった。
けれども。
悠斗は幼少の頃より疑問に思っていた。
どうして人体を破壊するのに《内側》と《外側》を分ける必要があるのだろうか?
同時に壊してしまった方が効率的なのではないだろうか?
その疑問は歳を重ねる毎に大きくなる一方であり――。
やがては自分だけのオリジナルの拳技を開発するまでに至っていた。
破拳。
人体の《内》と《外》を同時に破壊することをコンセプトに作ったこの技を悠斗は、そう呼ぶことにしていた。
高速で拳を打ち出しながらも、インパクトの瞬間に腕全体に対してスクリューのように回転を加えるこの技は、悠斗にとっての《奥義》とも呼べる存在であった。
標的の体内にその衝撃を拡散させるこの技は、生物の骨格・臓器・筋肉の全てを同時に破壊することを可能にしていた。
左腕から放たれた悠斗の《破拳》がギーシュの脇腹を捉える。
「グガアアアアァァァ!?」
屋敷の中に吸血鬼の男の叫喚が響き渡る。
刹那。
ギーシュの全身には、意識が飛ぶような激痛が走った。
ギーシュの体は部屋の壁を突き破り、屋敷の廊下に投げ出された。
全身の骨が砕け、内臓に突き刺さり、人間が生きていくための機能がことごとく停止していた。
悠斗の放った一撃により、ギーシュはその全身を血ダルマに変えていた。
ギーシュにとっての失敗は、本来の力を発揮するために人の姿を捨て、吸血鬼と成り替わったことにあるだろう。
もし仮に――。
ギーシュが人間の姿のまま戦闘を行っていれば、悠斗も人の姿をした相手に全力をぶつけるのを躊躇したことだろう。
悠斗はそこでギーシュの傍に歩みより彼の生死を確認する。
「……きッ。ぎざまはッ」
何か言葉を口にしようとするものの吐血が激しくギーシュは、上手く言葉を紡ぐことが出来ないでいた。
「驚いた。まだ生きてやがったのか」
流石は吸血鬼と言ったところだろうか。
利き腕を使用しなかったとはいえ《破拳》を用いても一撃で倒せない生物が存在することは、悠斗にとって些かショックなことであった。
けれども、相手は既に虫の息。
これならば《破拳》を使用しなくても止めを刺すことは可能だろう。
「ぎざまは……一体……何者だ?」
満身創痍のギーシュとは対照的な余裕の笑みで悠斗は告げる。
「俺の名前は近衛悠斗。何処にでもいる極々普通の男子高校生だ」
ギーシュが「お前は一体……何を言っているんだ?」という疑問の言葉を口にしようとした時には、既に彼の喉は悠斗の貫手によって潰されていた。
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