異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
戦いの後に
沈黙の灯火の範囲外に出たからだろう。
屋敷の廊下に辿り付くと魔眼スキルが使用できるようになっていた。
ギーシュ・ベルシュタイン
種族:吸血鬼
職業:無職
固有能力:なし
ギーシュの固有能力の欄からは警鐘が消えていた。
今度は逆に自身のステータスを確認。
近衛悠斗
固有能力: 能力略奪 隷属契約 魔眼 透過 警鐘
魔法 : 火魔法 LV3(22/30)
水魔法 LV3(1/30)
風魔法 LV3(12/30)
聖魔法 LV2(5/20)
特性 : 火耐性 LV2(15/20)
水耐性 LV2(15/20)
風耐性 LV2(14/20)
能力略奪のスキルが発動して警鐘が取得できていた。
このことから悠斗はギーシュの命が尽きたことを理解した。
「……慣れない技は使うものではないな」
悠斗はダラリと力なくぶら下がった左腕を押さえていた。
強靭な生命力を誇る吸血鬼にすら致命傷を与えることが可能な《破拳》であるが、その反動は自身の筋繊維をズタズタに傷つけるほど強烈なものがあった。
聖魔法 LV2
使用可能魔法 ヒール
悠斗はそこで習得したばかりの聖魔法を使用する。
直後。
淡い色をした光が左腕を包み込む。
初めて使う魔法だったので不安はあったものの、ヒールの使用後は痛みが和らいだような気がした。
なんとか無事に勝負の決着が着いたことを悟ると悠斗は、ホッと胸を撫で下ろすのであった。
~~~~~~~~~~~~
信じられない光景を目にしてしまった。
悠斗とギーシュの戦いを間近で見ていたシルフィアは、率直にそんなことを思った。
1人の人間が吸血鬼を打倒する。
それは前代未聞の出来事であり、後世に末永く伝えられる伝説に成り得るほどの偉業であった。
悠斗の戦い振りは、今から500年以上前。
魔族たちによって支配されていたトライワイドを窮地から救った伝説の大英雄――《アーク・シュヴァルツ》を彷彿とさせるものであった。
「シルフィア。怪我はなかったか?」
「……かたじけない。貴公に受けた恩は私の生涯を掛けて返していくつもりだ」
「はは。シルフィアは大袈裟だな」
「冗談で言っているつもりはないぞ。私は本気で……貴公に対して我が身の全てを捧げたいと考えているのだ」
シルフィアは悠斗に打ち明けると自身の出生について回想を行う。
~~~~~~~~~~~~
小国ルーメルに存在していたとある騎士の家庭で育ったシルフィアは、幼少の頃より常日頃から疑問に思っていることがあった。
それは、自分が何のために生きているか? である。
もっともそれは思春期の男女であれば誰しもは一度は考えることかもしれない。
けれども、シルフィアは人一倍強くそのことを疑問に思ってきた。
シルフィアは剣術・槍術・馬術・学問などの各領域において卓越した才能を持ってこの世に生を受けていた。
そして自身の才能に溺れることがなく、何に対しても直向き努力することが出来る彼女は、誰もが認める才媛にと成長を遂げていた。
しかし、自分が何のために剣を振るうのか……?
シルフィアはその理由を見出すことが出来ずにいた。
現代日本と比較して、トライワイドにおける女性の地位は格段に低いものである。
どんなに優れた才能を持って生まれたところで女では、国を治める領主になることは出来ないし、家を継ぐことすら出来ない。
そのため。
シルフィアは心の何処かに言いようのない違和感を抱えたまま、これまでの人生を過ごしてきた。
ロードランドとの戦に敗れて、山奥での逃亡生活を送っている最中も彼女の心境は変らない。
与えられた才能を何に活かすでもなく――。
毎日を漫然と生きているだけの空っぽの日常。
けれども、今この瞬間。
悠斗の戦いを目の当りにしたシルフィアはようやく自分の人生における『生きる意味』を見出せたような気がした。
天から受け継いだ自分の才は――。
これまで培ってきた武芸や学問は――。
全て目の前の男に捧げるために得たものだと解釈をすれば、不思議と納得することが出来た。
シルフィアの空虚な心は、たった1人の男の存在によって満たされていたのである。
「ユウト殿。さっそくで悪いのだが……私と隷属契約を結んではくれないだろうか? 私はこれからの生涯を全てユウト殿に捧げると誓った身。それ故に一刻も早く……この忌々しい呪印を貴公のものに上書きしたいのだ」
「ああ。それは別に構わないぞ」
「感謝する。それではこの館から出た後はさっそく奴隷商館に……」
「……いや。その必要はない」
悠斗はそっとシルフィアの手を取る。
「な、な、な。何をするのだ!?」
突如として悠斗に体を触れられたシルフィアは赤面していた。
厳粛な騎士の家庭で生まれ育ったシルフィアは、男に対する免疫が全くと言ってよいほどなかったのである。
「いいから。少しじっとしていてくれ」
悠斗は自らの親指の先を噛み切ると、滲み出た血液をシルフィアの手の甲に垂らす。
直後。
シルフィアの手の甲は眩い光に包まれて、やがてそこには幾何学的な模様の《呪印》が浮かび上がる。
「これは……?」
シルフィアは驚きで目を丸くする。
「ユウト殿……いいや。これからは主君と呼ばせて頂こう。主君は隷属契約のスキルホルダーであったか」
「ん。まあな」
シルフィアの反応はスピカと隷属契約を交わしたときのそれに近いものがあった。
それだけこの世界において《固有能力》というのは貴重な存在なのだろうと悠斗は解釈をする。
「これから一緒に生活するにあたり俺が出す命令は2つ。【俺を裏切るな】、【俺の能力に関する情報を他人に口外するな】。……以上だ」
「承知した。ルーメルの守護精霊、シルフィードに誓って約束しよう。これから先……私の全ては主君のモノだ。主君の命令があれば……私はどのような指示にでも従おう」
シルフィアは片膝を突いて永久なる忠誠を誓う。
その表情はこれまでの人生の中で彼女が見せたどんな笑顔よりも、晴れやかなものであった。
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