異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
仲間と一緒に戦おう
 
それから1時間ほど歩いたところでラグール山脈(初級)に到着した。
悠斗としては結構な速度で歩いていたと思うのだが、スピカは泣き言1つ言わずに付いてきてくれた。
聞けばライカンという種族は、基礎的な体力に優れていて1日に40キロくらいなら子供でも平気で移動できるということらしい。
女の子を冒険に連れまわすことに懸念を覚えていた悠斗であったが、これで肩の荷が一つ降りた。
「そう言えば聞いていなかったな。スピカはこれまで魔物との戦闘経験っていうのはあるのか?」
「いえ。実を言うと特にありません。私は街の外に出た経験ということ自体がほとんどありませんでしたから」
「うーん。そうか……」
スピカは物怖じした表情で悠斗のことを見つめていた。
何故ならば、魔物との戦闘経験がないことを理由に悠斗に愛想を尽かされてしまうのではないかと、不安な気持ちを抱いていたからである。
「えーっと……その。大丈夫です! ご主人さまが命じるのでれば私だって魔物と戦うことくらい出来ますよ! 刺し違える覚悟で臨めば……私だってスライムの1匹くらい!」
「いや。まあそう言ってくれるのは有難いけど……刺し違えて貰っちゃ困るよ。スピカは俺の大切な奴隷だからな」
「はう……」
悠斗がそう言ってスピカの頭を撫でてやると、スピカはいつになく幸せそうな笑みを零す。
元より悠斗が期待していたスピカの役割は見張り役である。 
素材を剥いでいる時はどうしても無防備な姿を晒してしまうため、自分の眼の代わりになってくれる人材を探していたのだ。
そのため。
戦闘経験の有無はさしたる問題ではないだろう。
「あ! ご主人さま! さっそく向こうに魔物がいるみたいですよ!」
スピカは木々の隙間を指差した。
悠斗はスピカの言葉に反応して目を凝らしてみる。
と。
ここから四十メートルほど離れた地点にレッドスライムが1匹だけノソノソと動いているのが見えた。
「偉いぞ。スピカ。それじゃあ、さっそく今日の1匹目を倒してみるか。今から俺がスライムの効率的な倒し方を実演するよ」
「はい。ご主人さま。頑張って下さい!」
悠斗は道端に落ちている石ころを拾うとレッドスライムのいる方向に進んでいく。
「えーっと。ご主人さまは弓を使わないのですか?」
「? どうしてだ?」
「いえ。宿屋で働いている時に冒険者の方に伺ったことがあるのですが……スライムを倒すために最も効率的な武器は『弓』なのだそうです。スライムは視力が低く、本能のみで生きている魔物ですので、遠距離からの攻撃であれば確実に先制攻撃を仕掛けられるとその方は仰っていました」
「なるほど。弓……か」
悠斗は弓という武器が、あまり好きになれなかった。
何故ならば、使用する状況を選ぶものであるし、どんなに腕を磨いてもその威力にあまり変化が見られないからである。
悠斗は決して弓の扱いが苦手という訳ではない。
更に言えば、旧石器時代より現代に至るまで使用されている弓という武器に対して敬意を払っているつもりであった。
だがしかし。
同じ遠距離からの攻撃であれば、手裏剣などの投擲武器の方が、攻撃に入るまでの時間が短いため――。
せっかちな悠斗の性分には合っていた。
「ありがとう。今後の参考にさせて貰うよ。けれど、遠距離からの攻撃という意味ではコイツでも十分だから安心しておいてくれ」
「???」
悠斗の言葉を受けたスピカは首を傾げる。
何故ならば、悠斗が手にしているのは、何処からどう見ても何の変哲もない石コロであったからである。
そんなスピカの疑問を他所に悠斗はレッドスライムに接近してその距離を7メートルにまで縮める。
そして、いつもそうしているようにスリークォーターのフォームから手にした石を投擲する。
ブウォン、と。
凄まじい風切り音が鳴った。
「ぴぎゃ!?」
綺麗なジャイロ回転のかかった石コロはデタラメとも言える速度でレッドスライムの体に命中し、その体液を飛散させる。
レッドスライムは絶命して体を赤黒く染めていく。
「……え?」
スピカは一連の出来事を目の当りにして呆然と立ち尽くしていた。
しかし、それも無理のない話である。
たしかにスライム系の魔物は最弱とされているが、それでも石コロを投げてスライムを倒す冒険者なんて聞いたことがない。
まるで隕石が衝突したかと錯覚してしまうような衝撃。
悠斗の投げた石は素人目に見ても、明らかに異常な速度であることが即座にして理解できた。
「……ご、ご主人さま! 凄いです! 凄すぎます!」
「そうか? でもまあ……確かにスライム1匹倒すのにいちいち石コロを探していたら時間を食うよな。あまり気は進まないけど弓の使用を検討してみるか。あ、でもバッグの中に石コロを入れておくという選択肢もあるのか……迷うな」
未だに底知れない悠斗の潜在能力を目の当りにして――。
悠斗に対するスピカの心情は《尊敬》から《崇拝》に変化していた。
「これからスピカに任せたい仕事は1つだ。俺が魔物の素材を剥ぎ取っている最中、敵が来ないか見張っていてくれ」
鞄の中から購入したばかりの《冒険者のナイフ》を取り出すと悠斗は、素材の剥ぎ取り作業を始めようとする。
「ま、待って下さい!」
寸前のところでスピカは悠斗の手を止める。
主人が素材の剥ぎ取り作業をしている一方で自分は周囲の景色を眺めているというのは、スピカにとって我慢のならないことであったのだ。
「無礼を承知で意見を述べさせて下さい。こういうのは普通、役割が逆だと思うのです! 本来の主従関係から言うと、ご主人さまが魔物を倒している間、私がその素材を剥ぎ取るというのが適任ではないでしょうか」
「うーん。まぁ、たしかにその方が効率的ではあると思うけど、スピカに出来るのか? 結構な重労働だぞ。これ」
「……出来ます! 出来るはずです! 私は4年間も宿屋で働いていたので包丁の扱いには自信があります! ナイフだってたぶん……似たようなものです! 貸して頂けませんか?」
「分かった。そこまで言うならお願いするよ」
スピカは悠斗から冒険者のナイフを借り受けると、レッドスライムの体にスッと刃を通す。
直後。
レッドスライムの体内からは粘着質な液体が噴出する。
普通の女の子であれば悲鳴の1つでも挙げそうなところであるが、スピカの表情は至って冷静であった。
ナイフを使ってスライムの体を解体して行き――。
ついには目的である素材の剥ぎ取りに成功する。
レッドスライムの核@レア度 ☆
(レッドスライムの心臓部。炎の魔石を製造するための原材料として用いられる)
「ご主人さま! 出来ました!」
「ああ。よくやったスピカ。偉いぞ」
頑張ったご褒美にスピカの頭を撫でてやる。
犬耳をピコピコと動かしながらも、幸せそうなスピカの表情を見ていると癒されるものがある。
今後は素材の剥ぎ取り作業はスピカに任せることにしよう。
ナイフの扱いに関しては若干不慣れな部分を感じるが、これから経験を積んで行くことで問題は解決していくだろう。
クエストの効率化に手応えを感じた悠斗は、次なる獲物を探しに山の斜面を登って行くのであった。
それから1時間ほど歩いたところでラグール山脈(初級)に到着した。
悠斗としては結構な速度で歩いていたと思うのだが、スピカは泣き言1つ言わずに付いてきてくれた。
聞けばライカンという種族は、基礎的な体力に優れていて1日に40キロくらいなら子供でも平気で移動できるということらしい。
女の子を冒険に連れまわすことに懸念を覚えていた悠斗であったが、これで肩の荷が一つ降りた。
「そう言えば聞いていなかったな。スピカはこれまで魔物との戦闘経験っていうのはあるのか?」
「いえ。実を言うと特にありません。私は街の外に出た経験ということ自体がほとんどありませんでしたから」
「うーん。そうか……」
スピカは物怖じした表情で悠斗のことを見つめていた。
何故ならば、魔物との戦闘経験がないことを理由に悠斗に愛想を尽かされてしまうのではないかと、不安な気持ちを抱いていたからである。
「えーっと……その。大丈夫です! ご主人さまが命じるのでれば私だって魔物と戦うことくらい出来ますよ! 刺し違える覚悟で臨めば……私だってスライムの1匹くらい!」
「いや。まあそう言ってくれるのは有難いけど……刺し違えて貰っちゃ困るよ。スピカは俺の大切な奴隷だからな」
「はう……」
悠斗がそう言ってスピカの頭を撫でてやると、スピカはいつになく幸せそうな笑みを零す。
元より悠斗が期待していたスピカの役割は見張り役である。 
素材を剥いでいる時はどうしても無防備な姿を晒してしまうため、自分の眼の代わりになってくれる人材を探していたのだ。
そのため。
戦闘経験の有無はさしたる問題ではないだろう。
「あ! ご主人さま! さっそく向こうに魔物がいるみたいですよ!」
スピカは木々の隙間を指差した。
悠斗はスピカの言葉に反応して目を凝らしてみる。
と。
ここから四十メートルほど離れた地点にレッドスライムが1匹だけノソノソと動いているのが見えた。
「偉いぞ。スピカ。それじゃあ、さっそく今日の1匹目を倒してみるか。今から俺がスライムの効率的な倒し方を実演するよ」
「はい。ご主人さま。頑張って下さい!」
悠斗は道端に落ちている石ころを拾うとレッドスライムのいる方向に進んでいく。
「えーっと。ご主人さまは弓を使わないのですか?」
「? どうしてだ?」
「いえ。宿屋で働いている時に冒険者の方に伺ったことがあるのですが……スライムを倒すために最も効率的な武器は『弓』なのだそうです。スライムは視力が低く、本能のみで生きている魔物ですので、遠距離からの攻撃であれば確実に先制攻撃を仕掛けられるとその方は仰っていました」
「なるほど。弓……か」
悠斗は弓という武器が、あまり好きになれなかった。
何故ならば、使用する状況を選ぶものであるし、どんなに腕を磨いてもその威力にあまり変化が見られないからである。
悠斗は決して弓の扱いが苦手という訳ではない。
更に言えば、旧石器時代より現代に至るまで使用されている弓という武器に対して敬意を払っているつもりであった。
だがしかし。
同じ遠距離からの攻撃であれば、手裏剣などの投擲武器の方が、攻撃に入るまでの時間が短いため――。
せっかちな悠斗の性分には合っていた。
「ありがとう。今後の参考にさせて貰うよ。けれど、遠距離からの攻撃という意味ではコイツでも十分だから安心しておいてくれ」
「???」
悠斗の言葉を受けたスピカは首を傾げる。
何故ならば、悠斗が手にしているのは、何処からどう見ても何の変哲もない石コロであったからである。
そんなスピカの疑問を他所に悠斗はレッドスライムに接近してその距離を7メートルにまで縮める。
そして、いつもそうしているようにスリークォーターのフォームから手にした石を投擲する。
ブウォン、と。
凄まじい風切り音が鳴った。
「ぴぎゃ!?」
綺麗なジャイロ回転のかかった石コロはデタラメとも言える速度でレッドスライムの体に命中し、その体液を飛散させる。
レッドスライムは絶命して体を赤黒く染めていく。
「……え?」
スピカは一連の出来事を目の当りにして呆然と立ち尽くしていた。
しかし、それも無理のない話である。
たしかにスライム系の魔物は最弱とされているが、それでも石コロを投げてスライムを倒す冒険者なんて聞いたことがない。
まるで隕石が衝突したかと錯覚してしまうような衝撃。
悠斗の投げた石は素人目に見ても、明らかに異常な速度であることが即座にして理解できた。
「……ご、ご主人さま! 凄いです! 凄すぎます!」
「そうか? でもまあ……確かにスライム1匹倒すのにいちいち石コロを探していたら時間を食うよな。あまり気は進まないけど弓の使用を検討してみるか。あ、でもバッグの中に石コロを入れておくという選択肢もあるのか……迷うな」
未だに底知れない悠斗の潜在能力を目の当りにして――。
悠斗に対するスピカの心情は《尊敬》から《崇拝》に変化していた。
「これからスピカに任せたい仕事は1つだ。俺が魔物の素材を剥ぎ取っている最中、敵が来ないか見張っていてくれ」
鞄の中から購入したばかりの《冒険者のナイフ》を取り出すと悠斗は、素材の剥ぎ取り作業を始めようとする。
「ま、待って下さい!」
寸前のところでスピカは悠斗の手を止める。
主人が素材の剥ぎ取り作業をしている一方で自分は周囲の景色を眺めているというのは、スピカにとって我慢のならないことであったのだ。
「無礼を承知で意見を述べさせて下さい。こういうのは普通、役割が逆だと思うのです! 本来の主従関係から言うと、ご主人さまが魔物を倒している間、私がその素材を剥ぎ取るというのが適任ではないでしょうか」
「うーん。まぁ、たしかにその方が効率的ではあると思うけど、スピカに出来るのか? 結構な重労働だぞ。これ」
「……出来ます! 出来るはずです! 私は4年間も宿屋で働いていたので包丁の扱いには自信があります! ナイフだってたぶん……似たようなものです! 貸して頂けませんか?」
「分かった。そこまで言うならお願いするよ」
スピカは悠斗から冒険者のナイフを借り受けると、レッドスライムの体にスッと刃を通す。
直後。
レッドスライムの体内からは粘着質な液体が噴出する。
普通の女の子であれば悲鳴の1つでも挙げそうなところであるが、スピカの表情は至って冷静であった。
ナイフを使ってスライムの体を解体して行き――。
ついには目的である素材の剥ぎ取りに成功する。
レッドスライムの核@レア度 ☆
(レッドスライムの心臓部。炎の魔石を製造するための原材料として用いられる)
「ご主人さま! 出来ました!」
「ああ。よくやったスピカ。偉いぞ」
頑張ったご褒美にスピカの頭を撫でてやる。
犬耳をピコピコと動かしながらも、幸せそうなスピカの表情を見ていると癒されるものがある。
今後は素材の剥ぎ取り作業はスピカに任せることにしよう。
ナイフの扱いに関しては若干不慣れな部分を感じるが、これから経験を積んで行くことで問題は解決していくだろう。
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