皇女伝説

天月 ゆめの

私は村娘セレーネ

私はセレーネ。
白銀の髪に翡翠色の瞳を持っている。

アルテミス王国の小さな村にルーネおばさん達と住んでいる。
ルーネおばさんと、ジールおじさん夫婦は私のお母さんに頼まれて私の面倒をみてくれているらしい。
お母さんが誰だかは知らない。
以前、ルーネおばさんにお母さんの事を聞いたら困った顔をされてしまってから聞けなくなってしまった。

私はいつも幼馴染みのカイとリリアン兄妹と一緒にいる。


今はいつもの羊の放牧中。カイとリリアンと話しながら羊を監視する。

「カイもリリアンも将来は何になりたい?」
「俺は父様みたいな立派な領主!」
「私は兄様を支えながら結婚して旦那様と仲良く暮らせればいいなぁ…」
「ごめん、聞いた私が間違ってた…」

実は2人はこの地域の領主の子供なのだ。
たまたまこの村に視察しに来た領主様に着いていた2人と仲良くなって遊ぶ事を許されているけど、本当は私なんかが一緒に遊ぶことなんか許されないような身分なのだ。

だから、もちろん将来の事も決まってる。村の他の友達がしているように将来の夢とかを語り合いたかったけど、出来ない事をすっかり忘れていた。

「ねぇ、セレーネ。そろそろ日が沈んできたよ。戻ろう」
「そうだね。」

私達は馬に乗って羊を追い立てて村へ戻った。

村へ戻ると何やら立派な馬車が止まっていた。

「ねぇ!何これ!?こんなの私の家にもないよ!」
「確かに…家にあるのはもっとシンプルなやつだな」
「領主様じゃないのなら、一体誰がこんな馬車を!?」

「おぉ!セレーネ!カイ様にリリアン様も…」
村長が私達の声を聞いたのだろう私達に向かって走ってきた。

ちなみに、カイとリリアンの事を私以外はみんな様付けで呼んでる。まぁ、領主様の子供だから当たり前だけどね…私が特例なだけで。

「早くこっちへ来なさい。カイ様もリリアン様も来て下され。」

そう言って村長は私達を村役場の応接室に連れてきた。
応接室の中にはルーネおばさんとジールおじさん。領主様に村長。そして、私と同じ白銀の髪に翡翠色の瞳をした青年と1人の女性がいた。
誰だろうこの人…?

私が不思議に思っていると
彼はとんでもない爆弾発言をした。

「初めまして。私はシエル・ルーン・リン・アルテミス。この国の第一皇子にして君の兄だよ。ようやく会えたね、セレーネ。」

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