強大すぎる死神は静かに暮らしたい
世界は死神を
「ただいまー」
なんて言ってメルの待つ自室へと戻る。
これは過去の記憶で今起こってる事じゃない。ただの回想で、つまらなくて、……しくて、……な、ただの………だ。
「あれ? メア?」
返事が無かった。おかしいなと思った。
少し探した。見つけたのは僕の寝室で寝ていた。
匂いがしたんだ。あの時の匂いが。僕は満ちていないのに君が満ちていた、あの時の匂いが。
「メア?」
その匂いに気付かなかった僕は、あと少しで気付く。
「ああ…ラト様…おかえりなさい……。早かった、ですね…。ごめんなさい、ラト様。貴方が助けてくれた命。無駄にしてしまって。多分、ラト様は私がいない方が幸せ…なんだと思います……。それが私の十年考えた答えです……私は幸せでした。えへへ、ラト様のベッド使わせてもらいました。最期はすこし我儘してもいいですよね」
僕は一言も返せなかった。喉が乾いて張り付いた声を出したのは少し経ってからだった。
「まってよ、行かないでアリス……」
あの時、僕が見えてたモノは昔の記憶だ。僕は何をしているんだろうか。可笑しくて笑えない。
「ふふふ……私の名前は…メルですよ。ラト様……」
それが彼女が終わる瞬間。
「まって、メル。メル! 僕は! ねえ!聞いてよ!目を開いて!また僕の名前を呼んでよ!」
もう遅い。遅過ぎだよ。僕はずっと遅かった。何をやっても遅かった。全てが遅かった。
なんかどうでもよくなったんだ
「あ、ああ……あああああああ……」
顔をグチャグチャにして泣いた。
泣けた。
アリスが死んだ時ぶりかな。泣いたのは。
僕が今まで積み上げてきたもの、作り上げたもの、全てを消そうと思った。
この世界ごと消そうと思った。
そして魔力を、今まで死んだ者の全てを吐き出した。
そして僕は今、神様の所にいる。あの真っ白い退屈な世界に。
今回もアリスの姿のシエラが僕に言う。
「はぁ…ラト。貴方は何をしようとしていたが分かってるの? たかが一人の命が消えた事に泣いて私の世界を壊そうとしたのよ? 折角作った私の世界を!」
「ねえ、もう…疲れたよ。シエラ、君は凄いよ。何万年もここで存在し続けているんだろ? 僕はもう終わりたい。死にたい。君みたいに僕は神になんてなれない。頼む、殺してよ」
「なによ、それ、なら力も知恵も無くして世界でも彷徨っていなさい! もう! 好きにすればいいじゃない!! 私が凄いみたいなこと言って、勝手に死にたいとか言って! 死にたいってどんな感情なのよ! 教えなさいよ! 貴方は私に感情を教えるって言ったじゃない!!」
そうだ、そんな事を君に言った気がした。あの時は君の事を可哀想な少女だと本気で思っていた。本気で喜怒哀楽を知って欲しかった。
でもそれは人としての感覚だったんだ。
今の僕は感情が無かった君が羨ましい。
でも、感情が無い未来なんて怖くてたまらない。
彼女は少し冷静にこんな提案をしてきた。
「なら、こうしましょう。私も含めて世界を巻き戻しましょう? 貴方が勇者だった頃に」
「ああ、それがいいよ」
もう何でもいいんだ。今が苦しくてどうしようもない。
これで今が変わるならそれでいい。
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