強大すぎる死神は静かに暮らしたい
死神は怒らない
「メル、学園長が許可してくれたよ、私が案内するから行こうよ」
「はい!行きます!」
入校の許可が出たらしい、貴族の学校なのに入れるのは流石勇者と言える
「行ってらしゃい、楽しんできてね」
メリーは学校に行くのは初めてだろう
ぜひ楽しんできてほしい
「え?ラト様も行くんですよ?ほら!行きますよ」
、
、
、
「ここの学校は学力の向上、以外にも魔法や剣も教わることが出来るんだよ」
「へーじゃあ貴族様は魔法も剣も使えるんですね」
「まぁ嗜み程度じゃないかな…、でも教師は凄腕だから目指そうと思えば魔法使いにも剣士にもなれると思うよ」
「へー私も魔法使ってみたいです……」
「なら授業でも受けてみる?見学なら出来ると思うし」
「はい!受けてみたいです!」
という事で授業を見に行く、僕は空気だ、下級の精霊になった気分
授業は魔法じゃなくて歴史だった、それでもメメは真面目に聞いてる
「まずこの神聖国は歴史深く千三百年程前から存在します、今回教えるのは三百年ほど前に起きた、死神と神聖国が争った歴史です」
へー三百年前に僕は神聖国と争ったのか、全く覚えてない、どうでもよかったのかな
「皆さんは死神について何を知っていますか?」
そんな教師の声に生徒たちが答える
「出会った人に死を与える悪い神です!」
「生き物を憎んでいて魂を喰らう悪魔です!」
「人の力を奪う汚い神です!」
「その通りです、そして死神は神聖国を襲ってきました、しかし神に守られているこの国は……」
僕ってそんなに酷いの?って思っていたらメリーが悲しそうな顔で小声で勇者に言った
「サフィアさん、もう、いいです」
「あ、ああ…すまない…」
「いえ…」
「……」
静かだ…メリーは何が悲しかったのかな、分からない、とりあえず元気を出させよう
「メリー、帰ったら魔法でも学ぶかい?」
「はい、ありがとうございます…メルです…」
「メリー、元気ないね、大丈夫?」
「ラト様は…ラト様はなんとも思わないんですか?」
「え?何が?」
「さっきの…」
「ああ、僕が酷い言われようだったの?、まぁ酷いなぁとは思ったよ?」
「どうして、どうしてそれだけなんですか…」
よく分からない、僕には理解出来ない感情が彼女にはある、女心って難しいね
宿に帰ったらメリーにもう帰りたいと言われた
勇者ちゃんに帰るとだけ言って転移魔法で帰った
その夜は夢を見た
気がする
、
、
、
ああ、頭が痛い…壊れそうだ
忘れればいいよ、全部忘れないなんて無理な話だったんだよ、ほら今もどんどん記憶が流れてくるでしょ?
いやだ、忘れたくないよ…
感情を一つ捨てよう?捨てた分だけ記憶が入る
なら、怒りとか憎しみとか要らない感情は捨てるよ
あとは『箱』を作ろう、本当に忘れたくない人だけを入れる箱を
『箱』か…なら、仲間の……の分と幼馴染の……分、親友の……の分、あとは……の分、他にも……や……、あ、……も忘れちゃいけない、好きな人も忘れちゃいけない
大丈夫、大切なものは失わない
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