強大すぎる死神は静かに暮らしたい

犬飼ゆかり

死神は働きたくない


それはとある朝

「ラト様!貯蓄が無くなってきました、ちょっと冒険者ギルドで火竜とか狩って来てもらっていいですか?」

と、うちの子に言われた



から半年ぶりに人の町に下りてきた

「うわぁ、メラ、人がいっぱいいるよぅ…」

「ラト様!人くらい慣れてください!あとメルです」

町は人が沢山いる、もうそれだけで死にそう

死神死ぬ

あ、でも屋台の匂いはお腹が空く
ちょっと食べたいなぁ

チラッとメラの方を向く

「少しだけならいいですよ、あと多分メルです…」

うわーい、ありがとメルさん
串に肉ぶっ刺したやつは美味しかったよ







ギルドに着いた
から帰ろうか
よし、そうしよう

踵を返す

襟を掴まれる

ギルドに入る


「こんにちは!メルさん!今日はレト・・さんも一緒なんですね!」

ギルドに入ると受付の娘が挨拶してきた
レトというのは僕が二秒で考えた偽名だ

ラトは禁忌される名だからね 

「今日は火竜でも倒しに行ってもらおうかなって」

そんなおつかいみたいな感じなの…

「かしこまりました、火竜ですね、ああ、ちょうどありました、ではS級冒険者のレトさん、気を付けて!」

僕は一応S級だ、半年に一回しか依頼受けないからS級だけど知名度は低い

「じゃあメラ、行ってくるよ」

「はい!待ってる間に買い物しておきますね、あとメルです」







古き時代、魔を極めようとした者がいた

魔を極める者を人は賢者と呼んだ

賢者は夢を実現させようとした

時を遡る魔法、転移する魔法

理論は出来た、が魔力が足りなかった

そして賢者は老い死んだ



僕はその名も知らない賢者に感謝してる
その知恵に感謝してる
だって僕には力もあるからね



火竜がいる山に転移する
歩いたら一週間はかかる所だ

転移するついでに魔力を当てる
それだけで火竜は死ぬ、一応A級の魔物だ


ごめんね

既に死んだ火竜に謝る

僕は魂を導く神なのに
彼には死を与えてしまった


僕は火竜とは戦えない
蟻を剣で切らないだろう?
踏み潰せばいいから

例え人からの神でも神は神だ
生き物と戦う、殺す事は弱いものいじめだ
土俵が違う、けどまぁ許して?







火竜を収納魔法でしまって街に戻る
ちなみに火竜を売るのは一週間後だ
じゃないと変に思われるからね
だってまだ五分も経ってない

から、買い物に付き合う事になった

「ラト様!このワンピースとかどうですか!?」

「かわいいよ」

「ラト様!こういう帽子と合わせたら可愛くないですか!?」

「そうだね」

僕は服とかに興味が無い
いや、そこに頭を使えないだけか

「そう言えば黒の服しか持ってないな」

そんな独り言にメラが反応する

「あ!じゃあ、ラト様の服も買いましょう!!」

楽しそうだ、一緒に買い物して良かった
良かった?良かったのかも?

「ラト様はこういう白い服も似合うと思いますよ!」

「じゃあ今度着てみようかな」

「はい!」

彼女が幸せそうなら何よりだ
人の命は短いからね
幸せは多い方がいい







火竜の出オチ感がやばい(確信)

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