魔王の娘に転生したので学園生活楽しみたい!
第3話「魔力と魔法」
昼食を済ませ、セバスと共に魔王城から出る。
転生してから外に出るのは初めての事で、緊張してしまう。
別に出たくないわけではないのだが、知らない世界の土地に足を踏み入れるのは怖いものだ。
「どうされました? もし体調が優れないのでしたら後日改めても良いのですが──」
少したじろいでいた私に疑問を持ったのか、セバスから心配されてしまった。
心配かけまいとセバスの言葉を遮る様に「だ、大丈夫、問題ないよ!」と返答する。
それを聞いたセバスは安心したように笑顔になる。
この様子だと中止にはならないだろう。
「ここがいいですね。では早速始めましょうか」
芝生や木などが生えており、ドッヂボールが出来そうな広場に来た。
あまり歩いてもない距離だったので魔王城の庭園だろうか。
「まずリディア様の魔力量、魔力属性を確認したいのでこちらの水晶に手を触れて下さい。こちらは魔力測定晶といって、こちらに触った魔力を光の色や強さで確認することが出来る道具です。御自分の魔力を知っていて損は有りませんし、私も確認したいので」
セバスは見た目は只の透明な水晶をスーツの内ポケットから取り出す。
バスケットボール程の大きさなのにどうやって取り出したのだろうか。
まるでド◯えもんの様な四次元ポケットを持ってるのかな?
「ではどうぞ」
「わかったよドラ◯もん」
「はい?」
「あ、えっと、こっちの話だから気にしないで」
変なこと考えてたから間違えて呼んでしまった。
とりあえずそれは置いといて、自分の事だ。
私に魔力という物は本当にあるのだろうか。
一応魔王の血筋が繋がってはいるが、前世では只の日本人だったのだ。
地球では魔力という言葉はあったのだが、作り話であり、存在しなかった。
もし自分に魔力がなかったとしたらどうなる。
魔族の落ちこぼれとして、虐められる。それとも追い出されるかも知れない。最悪、殺される可能性もある。
「大丈夫ですよ、リディア様の魔力はとても強力なのですから」
セバスに心を読まれた。
“強力”という言葉が気になるが私の事を気遣ってくれた様だ。
実際、セバスの言葉で少し安心した。
差し出された水晶に手を触れる。
すると水晶の中で眩しいぐらいに光りだす。
水晶の中では赤、青、茶、緑、紫の光の玉が水晶の中心を軸に回っていた。
触ってる自分でも眩しすぎて水晶を見づらい。
するとピシッと水晶から音がし、反射的に手を離す。
離したと同時に光は止み、只の水晶になる。
「これは⋯⋯」
それを見たセバスは何やら考え込んでしまう。
何かまずい事でもしたのかな⋯⋯。
セバスの考え込んだ顔を見て、水晶に触る前の魔力がなかった時の想像が頭によぎる。
どうしたのか聞くのを躊躇っても仕方がないので聞くことにする。
「どうしたの、セバス」
「⋯⋯いえ、なんでもありません。進めましょうか」
私の質問にセバスは言葉を濁して返答した。
何かあるというのは間違いないだろう。
セバスの言葉に不安を覚えるが、よく考えたら、水晶が光りだしたのは魔力が少しでもあるという事なので気にしない事にした。
「水晶の光の色によるとリディア様は火属性、水属性、土属性、風属性、闇属性に適正を持っておられます。練習すればこれらの属性魔法が使用可能になるでしょう。五属性もお持ちとは流石リディア様です」
「普通は何属性持ってるのが一般的なの?」
「人族は一つの属性だけが殆どです。我ら魔族は二つの属性が限界って所でしょうね。魔王様や召喚勇者とやらは例外ですが」
それらを聞いて自分が規格外なのを理解した。
やはり魔王の娘だからだろうか。
興味本位で一応父親の属性数を聞いてみる。
「魔王様も五つでございます」
「⋯⋯あはは⋯⋯さいですか」
まさか一緒だとは思わなかったが、魔王の血筋という事にしとこう。
「では確認も済ませましたので、次の段階に行きましょうか」
「次の段階? もう魔法出せるの!?」
「いえ、まだです。 まずは“魔力の流れ”を感覚で覚えていただきます」
次の段階とか言うから早くも魔法の実技をやるのかと思った。どうやらまだらしい。
セバスによると“魔力の流れ”とは魔法を発動する準備段階で特に重要な事らしい。
「これからリディア様の背中から魔力を強制的に流れるよう操作しますので私に背中を向けてくださいませ」
「う、うん。 わかった」
セバスが何を言ってるのかいまいち分からなかったが、とりあえずそれに従い、後ろへ振り向く。
それを確認したセバスは身長が違い過ぎるからか片膝を地面に付き姿勢を低くし、私の背中を右手で触る。
「はうっ⋯⋯」
すると私の身体に異変が起こり、変な声が出てしまった。
セバスが魔力を操作してるのだろう。
うまく説明できないけど身体の中で血液が高速で流れている感覚で、全身が温かい。
これが“魔力の流れ”って事か。
ある程度操作したセバスは手を背中から離す。
「どうですか?」
「まあ⋯⋯なんとなく?」
「そうですか、取り敢えず自分だけで試してみましょうか」
んな無茶振りな。それ以上の説明もないし自信はないが試してみる。
全身の血液が流れる感じ──⋯⋯
⋯⋯血が流れる感覚──
「おお、出来てます! まだ不慣れでぎこちないですが上手く流れてます!」
「へ?」
そう言えば少し身体が温かい。先程セバスから教えてもらった感覚と似ている。
いつの間にか出来ていたようだ。案外簡単なのかも知れない。
「通常は1年程かけて習得する技術なんですが流石ですね」
「い、1年!?」
セバスによると、この感覚を覚えるのが難しい為、そのぐらいの月日が必要らしい。
やってみた感じそこまで難しいとは思わなかったけどなぁ。
「まだ完璧とは言えませんがそれは魔法を使用してれば慣れるでしょう。疲れてなければこれから魔法を教えますがどうします?」
「やろう! 今すぐやろう!!」
全く疲れてないし気分も悪くない。早く魔法を使いたいのだ。
「では、まず魔法の原理を説明しましょう」
魔法とは、大きく分けて3つに分けることができる。属性魔法、回復魔法、生活魔法である。
属性魔法は、火系統、水系統、土系統、風系統、光系統、闇系統と分けれる。
だが、光系統は勇者・天使のみ、闇系統は一部の魔族のみでしか使うことが出来ない。
例外で無系統があり、此方は属性がない為、魔力があるものであれば誰でも使うことができる。だが習得は難しい。
回復魔法は、属性の概念がないが、原理を理解してないと習得するのはほぼ不可能な魔法で、扱いが難しい為、使用者が殆どいない。
生活魔法は、比較的覚えるのは簡単だが戦闘には向いていない。
「ですので、リディア様は光系統の魔法以外、使用できる可能性があるという事です」
「成る程」
魔法の種類を話した後、セバスは一息つき、次の段階へと移行する。
「では早速、属性魔法を教えましょう。 魔力の流れがコントロール出来るリディア様なら比較的簡単ですよ」
セバスは私に魔法を伝授するのが面白いのか、とても楽しそうにしていた。
やっと魔法が使えるのだ。とても楽しみである。
転生してから外に出るのは初めての事で、緊張してしまう。
別に出たくないわけではないのだが、知らない世界の土地に足を踏み入れるのは怖いものだ。
「どうされました? もし体調が優れないのでしたら後日改めても良いのですが──」
少したじろいでいた私に疑問を持ったのか、セバスから心配されてしまった。
心配かけまいとセバスの言葉を遮る様に「だ、大丈夫、問題ないよ!」と返答する。
それを聞いたセバスは安心したように笑顔になる。
この様子だと中止にはならないだろう。
「ここがいいですね。では早速始めましょうか」
芝生や木などが生えており、ドッヂボールが出来そうな広場に来た。
あまり歩いてもない距離だったので魔王城の庭園だろうか。
「まずリディア様の魔力量、魔力属性を確認したいのでこちらの水晶に手を触れて下さい。こちらは魔力測定晶といって、こちらに触った魔力を光の色や強さで確認することが出来る道具です。御自分の魔力を知っていて損は有りませんし、私も確認したいので」
セバスは見た目は只の透明な水晶をスーツの内ポケットから取り出す。
バスケットボール程の大きさなのにどうやって取り出したのだろうか。
まるでド◯えもんの様な四次元ポケットを持ってるのかな?
「ではどうぞ」
「わかったよドラ◯もん」
「はい?」
「あ、えっと、こっちの話だから気にしないで」
変なこと考えてたから間違えて呼んでしまった。
とりあえずそれは置いといて、自分の事だ。
私に魔力という物は本当にあるのだろうか。
一応魔王の血筋が繋がってはいるが、前世では只の日本人だったのだ。
地球では魔力という言葉はあったのだが、作り話であり、存在しなかった。
もし自分に魔力がなかったとしたらどうなる。
魔族の落ちこぼれとして、虐められる。それとも追い出されるかも知れない。最悪、殺される可能性もある。
「大丈夫ですよ、リディア様の魔力はとても強力なのですから」
セバスに心を読まれた。
“強力”という言葉が気になるが私の事を気遣ってくれた様だ。
実際、セバスの言葉で少し安心した。
差し出された水晶に手を触れる。
すると水晶の中で眩しいぐらいに光りだす。
水晶の中では赤、青、茶、緑、紫の光の玉が水晶の中心を軸に回っていた。
触ってる自分でも眩しすぎて水晶を見づらい。
するとピシッと水晶から音がし、反射的に手を離す。
離したと同時に光は止み、只の水晶になる。
「これは⋯⋯」
それを見たセバスは何やら考え込んでしまう。
何かまずい事でもしたのかな⋯⋯。
セバスの考え込んだ顔を見て、水晶に触る前の魔力がなかった時の想像が頭によぎる。
どうしたのか聞くのを躊躇っても仕方がないので聞くことにする。
「どうしたの、セバス」
「⋯⋯いえ、なんでもありません。進めましょうか」
私の質問にセバスは言葉を濁して返答した。
何かあるというのは間違いないだろう。
セバスの言葉に不安を覚えるが、よく考えたら、水晶が光りだしたのは魔力が少しでもあるという事なので気にしない事にした。
「水晶の光の色によるとリディア様は火属性、水属性、土属性、風属性、闇属性に適正を持っておられます。練習すればこれらの属性魔法が使用可能になるでしょう。五属性もお持ちとは流石リディア様です」
「普通は何属性持ってるのが一般的なの?」
「人族は一つの属性だけが殆どです。我ら魔族は二つの属性が限界って所でしょうね。魔王様や召喚勇者とやらは例外ですが」
それらを聞いて自分が規格外なのを理解した。
やはり魔王の娘だからだろうか。
興味本位で一応父親の属性数を聞いてみる。
「魔王様も五つでございます」
「⋯⋯あはは⋯⋯さいですか」
まさか一緒だとは思わなかったが、魔王の血筋という事にしとこう。
「では確認も済ませましたので、次の段階に行きましょうか」
「次の段階? もう魔法出せるの!?」
「いえ、まだです。 まずは“魔力の流れ”を感覚で覚えていただきます」
次の段階とか言うから早くも魔法の実技をやるのかと思った。どうやらまだらしい。
セバスによると“魔力の流れ”とは魔法を発動する準備段階で特に重要な事らしい。
「これからリディア様の背中から魔力を強制的に流れるよう操作しますので私に背中を向けてくださいませ」
「う、うん。 わかった」
セバスが何を言ってるのかいまいち分からなかったが、とりあえずそれに従い、後ろへ振り向く。
それを確認したセバスは身長が違い過ぎるからか片膝を地面に付き姿勢を低くし、私の背中を右手で触る。
「はうっ⋯⋯」
すると私の身体に異変が起こり、変な声が出てしまった。
セバスが魔力を操作してるのだろう。
うまく説明できないけど身体の中で血液が高速で流れている感覚で、全身が温かい。
これが“魔力の流れ”って事か。
ある程度操作したセバスは手を背中から離す。
「どうですか?」
「まあ⋯⋯なんとなく?」
「そうですか、取り敢えず自分だけで試してみましょうか」
んな無茶振りな。それ以上の説明もないし自信はないが試してみる。
全身の血液が流れる感じ──⋯⋯
⋯⋯血が流れる感覚──
「おお、出来てます! まだ不慣れでぎこちないですが上手く流れてます!」
「へ?」
そう言えば少し身体が温かい。先程セバスから教えてもらった感覚と似ている。
いつの間にか出来ていたようだ。案外簡単なのかも知れない。
「通常は1年程かけて習得する技術なんですが流石ですね」
「い、1年!?」
セバスによると、この感覚を覚えるのが難しい為、そのぐらいの月日が必要らしい。
やってみた感じそこまで難しいとは思わなかったけどなぁ。
「まだ完璧とは言えませんがそれは魔法を使用してれば慣れるでしょう。疲れてなければこれから魔法を教えますがどうします?」
「やろう! 今すぐやろう!!」
全く疲れてないし気分も悪くない。早く魔法を使いたいのだ。
「では、まず魔法の原理を説明しましょう」
魔法とは、大きく分けて3つに分けることができる。属性魔法、回復魔法、生活魔法である。
属性魔法は、火系統、水系統、土系統、風系統、光系統、闇系統と分けれる。
だが、光系統は勇者・天使のみ、闇系統は一部の魔族のみでしか使うことが出来ない。
例外で無系統があり、此方は属性がない為、魔力があるものであれば誰でも使うことができる。だが習得は難しい。
回復魔法は、属性の概念がないが、原理を理解してないと習得するのはほぼ不可能な魔法で、扱いが難しい為、使用者が殆どいない。
生活魔法は、比較的覚えるのは簡単だが戦闘には向いていない。
「ですので、リディア様は光系統の魔法以外、使用できる可能性があるという事です」
「成る程」
魔法の種類を話した後、セバスは一息つき、次の段階へと移行する。
「では早速、属性魔法を教えましょう。 魔力の流れがコントロール出来るリディア様なら比較的簡単ですよ」
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