最強の種族が人間だった件 ~ エルフ嫁と始める異世界スローライフ ~
侵入者
「敵の数は1人のようですね。足跡から分析すると、性別は男で間違いないと思います」
「それで……相手は強そうなのか?」
「いいえ。まるで話にならないほど弱いです。この程度の相手ならば主さまの出る幕もなく小指1つで倒せてしまいそうですね」
ふむふむ。
初めての防衛戦の経験を積むにはおあつらえむきの相手というわけか。
「主さまの存在を知られた以上は生かしておくわけにいきません。後のことは全て私にお任せて下さい」
リアはアジトの物置の中から巨大な武器を取り出して鼻息を荒くしていた。
いわゆるモーニングスターというやつだろうか?
棘付きの鉄球を遠心力で回す仕組みの武器であった。
「おいおい。どうしてそんな物騒なものがあるんだ?」
「このアジトは元々、人類学者である祖父が人族の力を悪用しようとする組織と戦うために作ったものですからね。侵入者を撃退するための武器には事欠きませんよ」
「…………」
そういう事情があったのか。
けどまあ、そこでモーニングスターをチョイスするお前が頼もしくもあり、恐ろしくもあるよ。
「ふふふ。神聖なるアジトに土足で上がり込んでくる痴れ者よ! 自らの犯した罪を思い知ることです!」
初めての戦闘を手柄をチャンスと考えたのだろうか?
ブンブンとモーニングスターを振り回しているリアは、必要以上に張り切っている感じだった。
「なあ。リア。この戦闘は俺に任せてくれないか?」
「……主さまがですか?」
「ちょっとばかり自分の力がどんなものか確かめてみたいんだ」
「……承知いたしました。しかし、くれぐれも無理をなさらぬようお願いします」
「了解」
リアに任せたら本気で侵入者を殺しかねない。
相手も強くないようだし、ここは俺が頑張ってみることにしよう。
「へぇ……。お前さんがこの洞窟の家主ってわけかい」
足跡のする方に向かっていくと、そこにいたのは頭から獣耳を生やした大柄な男であった。
体はでかい。
180センチを優に超えているだろう。
右手には大きな体格に相応しい大振り剣を携えている。
おいおい。
話にならないほど弱いんじゃなかったのかよ!?
掘りの深い顔立ちをした大男は……めちゃくちゃ武闘派な雰囲気であった。
「今すぐ金目のモノを置いて立ち去りな。そうすれば命だけは助けてやろう」
「……い、いやだ!」
この家は俺の居場所だ。
アジトの奥にはリアもいる!
みすみすとこの男の言うことを聞くわけにはいかない。
「そうかい……。なるべく手荒な真似はしたくなかったんだけどな」
男は俺を見下すような冷酷な目をしたかと思うと、勢いを付けて剣を振り下ろす。
「ひいっ」
退却! 退却!
ここは距離を取って体勢を立て直そう!
いや。
我ながら情けないとは思っているよ?
けれども、仕方がないだろう?
刃物を持った人間に攻撃されるのがこんなに怖いとは思わなかったんだから。
「ハハハッ! いつまで逃げられるかな?」
「あわわわ……」
何か……何か反撃の手段はないのか!?
魔法で攻撃することも考えたが、今の俺が魔法を打てば家ごと破壊しかねない。
あれ。もしかして俺……詰んでるんじゃね?
「主さま! 頑張って下さい!」
声のした方を見ると、不安気な表情に駆られたリアがいた。
「ほう。エルフ族とは珍しい……。しかも、これほどの上玉は見たことがねえぜ!」
リアの姿を見た男は、下卑た笑みを浮かべる。
「奴隷商館で売り払えば大金が手に入るか……? いや、これほどの美しさだ。きっと貴族と直接取引をした方が……」
この男は何を自分勝手なことを言っているんだ?
リアを奴隷になんて……そんなことは断じて許すわけにはいかない。
頭の中でプツンと何かがは弾けるような音を聞いたような気がした。
「リアに……手を出すなぁぁぁ!」
刀が怖いなら目を瞑ればいい!
そう考えた俺は、両目を閉じて男に向かってタックルした。
「……ゴバァッ!」
おかしいな。
手応えとしては服の先にカスっただけだったのだが、それでも威力は十分なものだったらしい。
目を開けると、そこには壁に激突して吐血をした男の姿があった。
「主さまっ!」
勝負に決着がついたことを悟ったリアは俺の体に飛びついた。
「……主さま。この度は……私のことをお守り頂きありがとうございます」
あまりに強く抱き付いているので、リアの大きな胸が俺の腹の上のあたりのところでむにゅりと形を変えていた。
……この感触を味わえるだけでも、進んで戦闘に参加した甲斐があったというものだろう。
こうして俺の異世界デビュー戦は、辛くも勝利という結果で幕を下ろすのであった。
「それで……相手は強そうなのか?」
「いいえ。まるで話にならないほど弱いです。この程度の相手ならば主さまの出る幕もなく小指1つで倒せてしまいそうですね」
ふむふむ。
初めての防衛戦の経験を積むにはおあつらえむきの相手というわけか。
「主さまの存在を知られた以上は生かしておくわけにいきません。後のことは全て私にお任せて下さい」
リアはアジトの物置の中から巨大な武器を取り出して鼻息を荒くしていた。
いわゆるモーニングスターというやつだろうか?
棘付きの鉄球を遠心力で回す仕組みの武器であった。
「おいおい。どうしてそんな物騒なものがあるんだ?」
「このアジトは元々、人類学者である祖父が人族の力を悪用しようとする組織と戦うために作ったものですからね。侵入者を撃退するための武器には事欠きませんよ」
「…………」
そういう事情があったのか。
けどまあ、そこでモーニングスターをチョイスするお前が頼もしくもあり、恐ろしくもあるよ。
「ふふふ。神聖なるアジトに土足で上がり込んでくる痴れ者よ! 自らの犯した罪を思い知ることです!」
初めての戦闘を手柄をチャンスと考えたのだろうか?
ブンブンとモーニングスターを振り回しているリアは、必要以上に張り切っている感じだった。
「なあ。リア。この戦闘は俺に任せてくれないか?」
「……主さまがですか?」
「ちょっとばかり自分の力がどんなものか確かめてみたいんだ」
「……承知いたしました。しかし、くれぐれも無理をなさらぬようお願いします」
「了解」
リアに任せたら本気で侵入者を殺しかねない。
相手も強くないようだし、ここは俺が頑張ってみることにしよう。
「へぇ……。お前さんがこの洞窟の家主ってわけかい」
足跡のする方に向かっていくと、そこにいたのは頭から獣耳を生やした大柄な男であった。
体はでかい。
180センチを優に超えているだろう。
右手には大きな体格に相応しい大振り剣を携えている。
おいおい。
話にならないほど弱いんじゃなかったのかよ!?
掘りの深い顔立ちをした大男は……めちゃくちゃ武闘派な雰囲気であった。
「今すぐ金目のモノを置いて立ち去りな。そうすれば命だけは助けてやろう」
「……い、いやだ!」
この家は俺の居場所だ。
アジトの奥にはリアもいる!
みすみすとこの男の言うことを聞くわけにはいかない。
「そうかい……。なるべく手荒な真似はしたくなかったんだけどな」
男は俺を見下すような冷酷な目をしたかと思うと、勢いを付けて剣を振り下ろす。
「ひいっ」
退却! 退却!
ここは距離を取って体勢を立て直そう!
いや。
我ながら情けないとは思っているよ?
けれども、仕方がないだろう?
刃物を持った人間に攻撃されるのがこんなに怖いとは思わなかったんだから。
「ハハハッ! いつまで逃げられるかな?」
「あわわわ……」
何か……何か反撃の手段はないのか!?
魔法で攻撃することも考えたが、今の俺が魔法を打てば家ごと破壊しかねない。
あれ。もしかして俺……詰んでるんじゃね?
「主さま! 頑張って下さい!」
声のした方を見ると、不安気な表情に駆られたリアがいた。
「ほう。エルフ族とは珍しい……。しかも、これほどの上玉は見たことがねえぜ!」
リアの姿を見た男は、下卑た笑みを浮かべる。
「奴隷商館で売り払えば大金が手に入るか……? いや、これほどの美しさだ。きっと貴族と直接取引をした方が……」
この男は何を自分勝手なことを言っているんだ?
リアを奴隷になんて……そんなことは断じて許すわけにはいかない。
頭の中でプツンと何かがは弾けるような音を聞いたような気がした。
「リアに……手を出すなぁぁぁ!」
刀が怖いなら目を瞑ればいい!
そう考えた俺は、両目を閉じて男に向かってタックルした。
「……ゴバァッ!」
おかしいな。
手応えとしては服の先にカスっただけだったのだが、それでも威力は十分なものだったらしい。
目を開けると、そこには壁に激突して吐血をした男の姿があった。
「主さまっ!」
勝負に決着がついたことを悟ったリアは俺の体に飛びついた。
「……主さま。この度は……私のことをお守り頂きありがとうございます」
あまりに強く抱き付いているので、リアの大きな胸が俺の腹の上のあたりのところでむにゅりと形を変えていた。
……この感触を味わえるだけでも、進んで戦闘に参加した甲斐があったというものだろう。
こうして俺の異世界デビュー戦は、辛くも勝利という結果で幕を下ろすのであった。
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コメント
ノベルバユーザー337795
こういうのは良いですね〜
ノベルバユーザー282904
こういうの大好き!