春夏秋冬〈シーズン〉〜異世界を翻弄する最強4人兄弟〜

もちあ

第9話 〜スキル〜

「「「「ありがとうございました」」」」

4人は長々と説明してくれたティーナに挨拶をして、ギルドを出た。一応スキルを使うときには頭の中でそのスキルの名前を言わないといけないらしい。

そして、4人に新しい課題があった。それは……

!!!!!オカネガナイ!!!!!

そう、4人はお金を持っていなかった。なので、魔物を狩り、ギルドに換金して貰うつもりだ。
4人は元来た道をナビ(冬華)通りに戻り、北門を出た。目標は5000ラド!宿代が1人10007ラドとして、もう1000ラド取っておきたい。

4人は草原を歩いていた。今日の昼頃に転移して来た草原だ。てくてくトコトコ歩いていると、今日二体目の魔物に出会った。今日の魔物は赤目の狼だったが、今回の魔物は、恐らくゴブリンだ。そして、4人の心境は……

(キモッッッッ!)

つり上がった目。むき出しの牙。口から溢れ出る涎。ゴツゴツの緑の体。『グギャャッ!』と気持ち悪い鳴き声。右手にはゴブリンに必須アイテム、棍棒を持っている。ゴブリン棒と名付けよう。
正直あれを素手で倒すのは少々度胸がいる。

すると、

「“創造武器《クリエイティブ》”!!!」

夏美が近くにあった木を触りながらそう言った。

その瞬間、木はみるみるうちに刀の形に変わってゆく。
これがスキルの力だ。ティーナも言っていたが、スキルを使うのに慣れるまでは、言葉に発したほうがいいらしい。

「夏美。サンキュな」
「いいわよ。それと、マナが使われたらほんの少しだけど身体がだるくなったわ」

普通は、魔法 (スキル)を使っただけで体のだるみなど感じない。スキルを初めて使った事と、夏美自身。体のだるみなど、風邪などに敏感なのだ。

木刀を受け取った春斗は……

「“武術の達人バトルマスター”!!!」

と叫んだ。

武術の達人バトルマスター”とは、その名の通り剣術、槍術、格闘術などの、全ての武術を極めた者にしか手に入らないエクストラスキルだ。つまり冒険者、闘うことが目的の人達には憧れのスキルなのだ。

春斗は、スキルを叫んだ後 体がいつもより、素早く、正確に動いていることがわかった。恐らくこれがスキルの力なのだろう。明らかに前より強くなっている。

あっという間にゴブリンを倒した春斗は次のを探し出す。
すると今度はゴブリンの群れが見えた。春斗は次に

「“身体強化スーパーアップ”!!!」

と叫んだ。

身体強化スーパーアップ”は、その名の通り自分の身体能力を強化するスキルだ。“身体強化Ⅱグレイトアップ” “身体強化Ⅲウルトラアップ”になるにつれ効果は上がる代わりに、消費するMPと体の疲労量は増える。

「オリャャア!!!」

戦闘狂春斗がゴブリンの群れに突っ込んだ。

そして2秒でゴブリン一行はその生涯を終えた。

「ス、スキルの力ってすごいね…」
「春兄…ナイスっ」
「やっぱスキル使ったらめっちゃ強くなるんだな!」

夏、冬、秋、の順番で絶賛する。春斗もはじめてのスキルには大満足だ。

しっかりとゴブリンの討伐達成品である左耳を取った後、また、新しい獲物を探しに行くのであった。
ゴブリンやブラックウルフなど会った時は5秒以内には視界の中にはいない状態だ。嫌……いるにはいるのだが、死体の状態で……春斗は罪悪感など感じなかった。秋也は余裕そうだが、やはり夏美と冬華だ。
いくら殺意を向けている相手で会っても、ブラックウルフは100歩譲って犬だし、ゴブリンなんか10000歩譲って人だ。まぁ、無理はあるが……

ゴブリンはともかく、ブラックウルフの時は、少し罪悪感を覚えている。

「今日はこの辺にするか」
「そーだねー」

時は既に夕方。空の色がオレンジになっていた。

すると春斗が、

「ん?なんか気配が感じるんだけど……」
「え?気配?」
「ああ、恐らくゴブリンでもブラックウルフでもない気配だ」

春斗は何体もの魔物との戦闘の末、等々新しいスキルを手に入れたのだ。“気配察知”というスキルを……

4人は春斗の後について行った。そこには、これまでのブラックウルフよりも一回り大きく、色もより黒になっている狼がいた。おでこにあるツノが特徴的だ。【ダークウルフ】という魔物だ。一般冒険者が五人集まって余裕で勝てるくらいの敵だ。

しかし、このダークウルフの強いところは、統率力だ。ダークウルフは、冒険者を翻弄する連携力が特徴だ。一人が囮になって後ろからかみつく。全員で冒険者を囲い、ジリジリと殺していく。そんな戦い方なのだ。

実際、【気配察知】で捉えたダークウルフの数は20匹を超えていた。20匹中視界に写っているのは5匹だけだ。後の15匹は恐らく木の上だ。5匹が注意を引いてる隙に上から「バクリ!」という感じだろうか。

そこまで考えた春斗は、その事をみんなに知らせた。
すると…

「わっ、わたしに……まか、せて」
「分かった」
「……“完全なる計画パーフェクトプラン”!」


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