春夏秋冬〈シーズン〉〜異世界を翻弄する最強4人兄弟〜

もちあ

第7話 〜ギルド〜

「私…覚えているよ」
「さっすが冬華!俺は全く覚えてない!」
「嫌、そこはもっと申し訳なさそうに……はぁ、まぁいいか……」
「それと……ずっと思って、だけど。‘マナ’についての説明……聞いた?あと,魔法も」
「……聞いてないな」
「まぁ、ギルドに行ったら聞こうぜ」

こうして4人はギルドに向かって歩いて行った。途中で気づいたことだが、この世界で黒目黒髪は珍しいらしい。悪い印象がないだけましだが、夏美と秋也は髪の毛が茶色がかっているが目は黒で,春斗と冬華に関しては黒目黒髪だ。視線が痛い。

それにこの世界の住民は,常に武器を持ち歩いている。常識として、子供でもナイフの一本くらいは持っておくというものなのだが、何も知らない4人はギルドへ向かう。

「……あれだな」
「わかりやっすいねー」

冬華のナビゲーションが終わると目の前に見えたのは他の建物より一回りも、二回りも大きい建物だった。

『カララン』

ギルドの中は外で見ていたよりも、奥行きがあるからかものすごく広く感じた。受付までは直線に10メートルほど有り、左右には机と椅子が並べてあり、大人達が昼間っから酒を飲んでいる。

運が良かったのか知らないが、受付の周りには誰もいない。
4人は受付に向かってスタスタと歩いて行った。左右から聞こえる雑音を無視しながら……

「すいませーん」
「はい!何でしょう?」

流石の営業スマイル。秋也は今の挨拶のみで、この仕事をやっている年数がわかっていた。ざっと6年だそうだ。


「ステータスカードと、あと冒険者になりたいんだけど」
「かしこまりました!少々お待ち下さい」

その言葉から1分ほどで、受付嬢が戻ってきた。

「お待たせしました。こちらがステータスカードと、こちらが、冒険者になるために必要なギルドカードを発行するための用紙です。こちらに 名前、年齢、出身地、をお書き下さい」
「分かりました」

秋也が、元気よく答えた。

その後春斗は「ちょっと失礼」と言い、夏美 秋也 冬華 の4人で極々小さな声で話し合いをした。

「どうするんだ秋也。俺ら出身地とかないぞ…」
「まぁ、俺に任しとけ」
「大丈夫?ここは異世界やで?」

夏美が言った。

「世界が変わっただけで俺の話術が変わりゃしないさ」
「……だな」

3人はニヤリと笑った。冬華は黙ってそれを聞いていたが、3人のニヤリ顔を見てやや苦笑いだ……

「すいません。少し話し合いをしていました」
「大丈夫です」
「それで、実は僕たちずっと遠くの村に住んでいたのです。それはそれは、貧しい村で、総人口が50人もいなくて、字も書けないんですよ。それで、そこに書いてある出身地って所をこの街にしてもらっていいですか?」
「はい、一応そう言うケースも稀に有ります。ただ、どうやってここにきたかと、どの方角かだけ教えてもらっていいですか?」
「1週間ほど歩いた後、魔物に襲われている馬車を見つけまして、助けたお詫びとして、馬車にお邪魔しました。丁度目的地も一緒だったんでね、後、方角ですが、北門から来たので、恐らく北方向でしょう」
「かしこまりました。それでは出身地は“ショーラン”という事で」
「ありがとうございます」
「そして、こちらがステータスカードとなります。
こちらのカードにマナを流し込んでもらうと、自分のマナの量、生命力などが見れます」

こうゆうとこはゲームと似ていると春斗は思った。
それと、一つ疑問が出て来た。

「あの、マナってどうやって使うんですか?」
「はい?」

受付嬢が驚いたのは当然である。マナを使うというのはこの世界の住民にとっては、誰でも知っている事なので驚いて当然だ。地球でも、『食事の仕方ってどうするんですか?』と聞かれたら、驚くしかないだろう。

春斗はマナと聞いた瞬間大体は予想がついた。ただ、
使い方が分からなければ意味がない」
「えっ、えーとし……知らないん、ですか?」
「はい」
「……じゃあ、誰でも知っているような事ですが、マナを使うには体の中にあるマナを一点に集める必要があります。その場所に、魔法が出たりマナを流したりするのです」

そこまで聞いて秋也が……

「あっ、マナって魔力の事だったんですね!」
「まりょく?」
「はい。僕たちがいた村にはマナという言葉ではなく、魔力という言葉で、知れ渡っていたんです。なので僕たちは、最初に聞いた時に使い方を聞いたんです」
「そうだったんですか。魔力…そんな言葉初めて聞きました」
「僕も、マナなんて初めてですよ。まぁ、とりあえず、ステータスを見ますか」
「あっ、はい!」

そして、受付嬢………“ティーナ”からステータスカードを貰った。
しかし問題は、マナの使い方を聞いたのはいえ、それを使いこなせるかだ。そもそも地球から来たはずの4人がマナを持っているかすら分からない。4人はすこしずつ緊張してきた。

「よしっ!」

春斗が意を決してマナをステータスカードを持っている、右手の人差し指と親指。それと中指に集めた。

「おっ、なんか変な感じ」

10秒ほど黙り込んだあと、春斗がそんなことを呟いた。そのあとステータスカードが光り出した。

光が収まったステータスカードには……何も書いていなかった。

「ありゃ?失敗かこりゃあ」
「いえ、その状態でもう一度マナを流し込んでください」
「分かった……それッ」

今度は2秒もしないでマナを使いこなせた。4人は知らないが、マナを使いこなすには大人でも1週間はかかるのだ。それを15秒程度で出来たのは春斗のセンスがすごいとしか言いようがない。当然他の3人も同様にステータスカードが光り、もう一度マナを注ぎ込んだ。

4人の目の前には、薄い水色っぽい色をした透明の板が浮かんでいる。というより頭の中に見えている?と言ったこれまでにない不思議な感じだったのだ。ただ、なんとなくわかる。『これは、他の人に見えてないな……』と。

そして待ちに待った。4人のステータスが……………

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品