サピエンス

暇魔神

ホモ

気がつけばそこにいた。

広い空、思えば電線がない空を見た事があっただろうか。とても広かった。そして気持ちいほどの風が草原を駆け抜けて行く。

(ここはどこだ。)
周りを見ると凄く視界が良い、遠くがよく見える。立ち上がるとフラつく。上手く足が伸ばせない。中腰の姿勢で周りを見る。何もない。サバンナかな。何故サバンナ。
遠くで獣の気配がする。本能が危険信号を発する。とりあえずそこを動く。
本来は動くべきではない。遭難、行方不明は救助が来るまで動かない方が先決だ。しかし、動いてしまった。動かなきゃいけないと思った。
歩く、歩く、キツイ。疲れてんのかな。
四つん這いになってハイハイする。楽になった。森に入っていく。木に登る。そして登って初めてきずく。

自分の両手を見て

(なんじゃ!こりゃー!)
「ウホホッー!」
ゴツゴツした手に毛ボウボウに生えていて立毛筋収縮したら暖かそう。
そいじゃなくて尻尾があって大猿化しそう。
どうしても現実逃避をしてしまった。

その間ずっと1匹の猿がウホホッ言っていた。

何故か一人でボケていたら落ち着いた。
猿になってもサバイバルでする事は一緒。飯、寝床だ。移動は猿の身体を使い木を渡る。
「ウホホッ。ウホホッ。」
木をこんな風に移動した事がなかった。彼は意外に楽しくなっていった。
そして彼は野生に帰っていった。

訳でもない。
移動中他の猿の群れにあった。
(今の外見なら行ける。)

「ウホッ。」
1匹が近寄ってきて匂いを嗅ぐ。
「ウホホッー!」
「「「キー!キー!キー!」」」
猿が臨戦体制に入った。犬歯を剥き出しに威嚇してくる。
(臭いが余所者で受け入れられなかったのだろう。)
彼は威嚇されながら冷静に状況を考えた。
(しかしだなエテ公供、私に歯向かうなど千年早いは!)
「ウホホッウホッ、ウホホッウホッウホホッキー!」
決め台詞が猿語に同時通訳された。意味は伝わらない。
その決め台詞とともに立ち上がった。2本の両足で立った。

これが2足歩行をしたホモ・サピエンスであったと後に言われる。

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