異能バトルの絶対王者が異世界落ち
魔王軍四獣将軍 『ヒラ』
1000を超える剣が実体化してキョウジの体をズタズタに切り裂いた……
そうなるはずだった。
「最悪、俺の異能『カルマ吸収』で消してやるつもりだったが……」
刃は地面に突き刺さっていた。
キョウジの姿はない。
「こう言うのを男の勝負に水を差すと言うのでしょうか?
しかし、我が軍にとってキョウジは貴重な戦力でして、殺されるわけにはいかなかったのであります」
女性の声。
刃がキョウジに刺さるよりも速く飛び出し、彼を抱えて飛び去った女性がいた。
長い髪。整った顔立ち。
装備は、飾りのない板状の盾。妙に短い槍。
上半身は露出の高い鎧――――ビキニアーマ―と言うのか?
しかし、その体は————
「……ケンタウロス」
彼女の下半身は馬だった。
「えぇ、えぇ、その通りです。私は『魔王軍四獣将軍』の1人、『ケンタウロスのヒラ』です」
「キョウジの後はお前の相手をしてくれのかい?」
「いえいえ、とんでもありません。私が受けた命令は、キョウジの敗北した場合の救出ですので……」
「逃がすと思うか? ソイツの『瞬間移動』と『異能の剣』に『白朧剣』……そうするにソイツの異能力は全部、要人暗殺向きだ。逃がせば、また暗殺してくるだろ?」
「私は聞いてますよ。異能戦争での勝者がカルマ値というのですか? それを奪って、相手の異能を低下させるのでしょ? 彼にそこまでの暗殺能力は残っていませんよ」
「ふん……」と俺はキョウジとヒラを見逃す事を考え始めた。
「1つ借りだ。……行って良いぞ」
「はい」とヒラは背中を見せて————いや、止まった。
「貸しと言うのであれば、端におられる姫に礼を忘れぬ事ですね」
「? アスカに?」
「やはり、異能力者は『魔法』に疎いのですね。彼女、私が乱入しようとするのを牽制していたのですよ」
俺はアスカの方を見た。
今まで気づかなかったが、大量の汗。それに疲労が見えた。
ヒラはその隙に「では、失礼」と言って駆け出した。
「ちっ……」と舌打ちをした。
(逃げれば背後から一撃くらいは放つつもりだったが隙をつかれたか)
それよりも、アスカの様子がおかしい。
「すまない。気づかなかった」
「いや、異世界殺しさまのお役に立てればと、出過ぎた真似をしてしまいました」
「――――っ!?」
俺はアスカを抱きかかえ、駆けだした。
この城は落ちた。戦いは終わった。
だが、それを全ての者に伝えなければ戦闘は終わらない。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「守ってやると言ったはずが守られていた」
「いえ、そんな!」
ライスと合流した俺たちは、国に戻り姫を自室で休ませた。
「何か、俺にできる事はないか?」
「でしたら」とアスカは、頬を赤く染めながら、布団で顔の半分を隠して―――
「頭を撫でてください」
「そんな事でいいのか?」
俺はアスカの頭を手で振れた。
暫くしてアスカの目が濡れているの気づく。
「アスカ……」
「はい、異能殺しさま……」
俺たちは見つめ合い。そして―———
そうなるはずだった。
「最悪、俺の異能『カルマ吸収』で消してやるつもりだったが……」
刃は地面に突き刺さっていた。
キョウジの姿はない。
「こう言うのを男の勝負に水を差すと言うのでしょうか?
しかし、我が軍にとってキョウジは貴重な戦力でして、殺されるわけにはいかなかったのであります」
女性の声。
刃がキョウジに刺さるよりも速く飛び出し、彼を抱えて飛び去った女性がいた。
長い髪。整った顔立ち。
装備は、飾りのない板状の盾。妙に短い槍。
上半身は露出の高い鎧――――ビキニアーマ―と言うのか?
しかし、その体は————
「……ケンタウロス」
彼女の下半身は馬だった。
「えぇ、えぇ、その通りです。私は『魔王軍四獣将軍』の1人、『ケンタウロスのヒラ』です」
「キョウジの後はお前の相手をしてくれのかい?」
「いえいえ、とんでもありません。私が受けた命令は、キョウジの敗北した場合の救出ですので……」
「逃がすと思うか? ソイツの『瞬間移動』と『異能の剣』に『白朧剣』……そうするにソイツの異能力は全部、要人暗殺向きだ。逃がせば、また暗殺してくるだろ?」
「私は聞いてますよ。異能戦争での勝者がカルマ値というのですか? それを奪って、相手の異能を低下させるのでしょ? 彼にそこまでの暗殺能力は残っていませんよ」
「ふん……」と俺はキョウジとヒラを見逃す事を考え始めた。
「1つ借りだ。……行って良いぞ」
「はい」とヒラは背中を見せて————いや、止まった。
「貸しと言うのであれば、端におられる姫に礼を忘れぬ事ですね」
「? アスカに?」
「やはり、異能力者は『魔法』に疎いのですね。彼女、私が乱入しようとするのを牽制していたのですよ」
俺はアスカの方を見た。
今まで気づかなかったが、大量の汗。それに疲労が見えた。
ヒラはその隙に「では、失礼」と言って駆け出した。
「ちっ……」と舌打ちをした。
(逃げれば背後から一撃くらいは放つつもりだったが隙をつかれたか)
それよりも、アスカの様子がおかしい。
「すまない。気づかなかった」
「いや、異世界殺しさまのお役に立てればと、出過ぎた真似をしてしまいました」
「――――っ!?」
俺はアスカを抱きかかえ、駆けだした。
この城は落ちた。戦いは終わった。
だが、それを全ての者に伝えなければ戦闘は終わらない。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「守ってやると言ったはずが守られていた」
「いえ、そんな!」
ライスと合流した俺たちは、国に戻り姫を自室で休ませた。
「何か、俺にできる事はないか?」
「でしたら」とアスカは、頬を赤く染めながら、布団で顔の半分を隠して―――
「頭を撫でてください」
「そんな事でいいのか?」
俺はアスカの頭を手で振れた。
暫くしてアスカの目が濡れているの気づく。
「アスカ……」
「はい、異能殺しさま……」
俺たちは見つめ合い。そして―———
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