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異能バトルの絶対王者が異世界落ち

チョーカー

出陣 機械化部隊の戦車

 「兵は神速を好む……我が部隊の戦闘教義ドクトリンは速度による一撃。我らが王の命を狙った事を敵に悔い改めさせるぞ!」

 ライスの号令によって騎士たちは馬に乗る。そう思ったが違っていた。
 シルエットは馬にソックリだが、メタリックボディの機械化された乗り物だ。
 バイクのような二輪車。だが、まるで大型トラックのように巨大なタイヤが2本。
 簡単に跨ぐような大きさではなく、皆、駆け上がるように騎乗していく。

 「まさに電撃戦向けの機械化部隊じゃないか。俺も……」と飛び乗った。

 下からは「おい、お前は運転できないだろ!」とライスが怒鳴った。
 だが、どこの世界でも、考える事の基本は変わらないらしい。

 「いや、なめるなよっと!」 

 脚を乗せる場所から少し後ろにある箇所へ蹴りを入れる。
 爆音がエンジンに火が灯る合図になる。手元を捻り————

 「コイツがアクセルで、こっちがブレーキ。やっぱりクラッチ操作は足でやるのか……もう操作は覚えたぞ」
 「おいおい、コイツは戦車だぞ。訓練もなく運転しようとするな」
 「戦車? あぁタンクじゃなくてチャリオットの方の戦車か」

 戦車という言葉に、大砲つきの車両を連想したが、戦闘用の馬車の事だろう。

 「問題ない。俺の目的は軍隊行動で敵の軍隊を倒す事じゃなく、異能力者を倒すためだけの別動隊だろ?」
 「だから、初搭乗で戦場に出る奴が……仕方ない。死ぬなよ」
 「誰に言ってんだ? 俺が心配してるのはお前の方だぜ?」

 「それを人は減らず口って言うのですよ」とライスは苦笑して「そろそろ出発だ。幸運を祈る」と自身の戦車に飛び乗った。
 そのままライスの部隊は全軍が前進を開始した。
 誰もいなくなり、1人残された俺は―――

 「それじゃ、行くか」とクラッチをニュートラルからローへ―――

 「待ってください」

 止められた。
 誰だ? その人物を見るとアスカだった。

 「私もお連れください」
 「おいおい、俺の役割は単独突入だぜ?」

 ライス本体が敵軍と衝突している間に敵陣単独突入で敵異能力者を倒す。
 そんな作戦とも言えない作戦だった。

 「貴方はいつでも私を守ってくださる言いました」

 「……言ったかな?そんな事……」と誤魔化してみたが……

 「どこにいるよりも貴方の後ろが一番安全だと信じています」
 「あーもう乗りな! 絶対に守り切ってやるからよ!」

 「はい」とこれから戦場に向かうには相応しくない返事と笑顔だった。

 「しっかり、俺の腰に手を回して……いまさら抱き付く事に抵抗がある間柄か?」

 アスカが後ろに乗り体勢を整えると、今度こそ俺はアクセルを回した。 

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