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異能バトルの絶対王者が異世界落ち

チョーカー

『異能の剣』

 キョウジが剣を抜く。

 (やはり普通の剣ではない。異能によって強化……付加されている異能の剣! ならば――――)

 異能『アリアドネの赤い糸』

 キョウジの体に巻きつけていた不可視の糸が拘束を開始する。
 だが――――巻きついていたはずの糸はキョウジの体から切り落とされた。

 (なっ! 糸が切断された? まだ異能を隠していたのか!)

 『異能の剣』の効果ではない。
 おそらくは、キョウジが元から持っていた異能。
 なぜなら、あれは――――『異能の剣』から測定されるカルマ値は異常だ。
 俺の糸を切断する程度の異能では収まらない。

 だったら、異能を発動するより早く『異能の剣』を破壊する!

 俺に向かって振り下ろされる『異能の剣』。

 「物理バンカーあぁぁぁ」

 それは袈裟切りの軌道で――――

 「破壊バスターあああああぁぁぁ!?」

 無機物なら触れるだけで破壊する異能が『異能の剣』に触れ――――
 ――――否。
 触れる直前でキョウジの姿は消えた。

 (このタイミングで瞬間移動! 糸を断ち切ったのも、それが本命か!)

 だが、どこに? あの剣を抜いて見せて逃げたわけでも……
 いた。
 ナナとアスカの前―――いや、狙いは国王かっ!

 「こんだけ血で濡らしておいてなんだが、俺の目的は王の命のみ」

 間に合わない。
 ナナを突き飛ばしてアスカが王の前に出る。

 「はっ、親をかばう子供か、美談だ」とキョウジは笑い――――

 「貴様の肉盾ごと貫き、王を刺せば同じこと」

 剣を―――

 『アンタを戦場で誰にも触れさせねぇ。誰からにも傷つけさせない。安心しろ。例え戦場でも、この城の玉座程度の安全は保障してやる』

 俺は自分の声を聞いた。それはあの日、俺がアスカに言った――――いや、あれは誓いだ。
 俺が俺自身に課した誓い。

 「だったらやるしかねぇだろが!」

 異能『赤き閃光』

 高速移動と共に俺の拳がキョウジを捕らえた。
 スピードの乗った一撃はキョウジの体を吹き飛ばすに十分な威力だ。
 しかし――――

 「愚かな……防げないとわかっていたはずでしょ……」

 立ち上がったキョウジの言葉には、憐憫すら込められていた。なぜなら――――
 異能を使い、アスカを庇うように移動した俺の胸には――――

「守るって約束をしたからな……それだけだ。約束を違えるのと背から倒れるのは戦士の恥だ。早くとどめをさせ」

 俺の胸には『異能の剣』が突き刺さっていた。

 貫かれたのは胸部。
 剣は胸骨を貫通して、心臓にも達しているはずだった。
 間違いなく致命傷。それなのに――――

 (それなのに、どうして俺は死なない。それどころが痛みすらない)

 「死なないことが不思議か」
 「……っ!」
 「ふん、教えてやろう。その剣ですぐ死ぬことはない。だが、定められた死の期限まで地獄の苦痛がお前を襲うのだ」
 「なん……だと…?」
 「この世界でいう呪詛カースが込められている。王の命を人質にするために作られた剣だからな。すぐに殺すのではなく3日苦しめて殺す――――馬鹿な奴だ。解除する方法は俺を殺す事だけだが……俺を殺せる可能性があるのはお前だけなのだからな」

 最後に「殺すには惜しい男だった」と言い残してキョウジは姿を消した。


  

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