異能バトルの絶対王者が異世界落ち
燃える竹ほうき使い
———修練場———
城内に作られた広場。
「おい、あれ」と半裸の肉体で格闘術の訓練をしている兵士たちは俺が来た事に気づいて動きを止めた。
敵意を隠さない者、俺の実力を疑う者、鋭い眼光だ。
プライドが高いように見えるのは、正規兵ゆえのエリート意識だろうか?
「どいつもこいつも隙があったら噛み付いて来ようとする魂胆が見え見えだな」
俺は苦笑した。
挑戦を受けても良いが、俺の目的は兵士の矜持を叩き折ることじゃない。
俺には『魔法』の知識がない。 どうも『魔法』の説明を聞く限り、『異能力』とは性質が根本から異なっている印象を受けた。
無理を言って、『魔法』の熟練者を呼んでもらったわけだが……
「完全に迷っちまったなぁ」
周りには兵士がいっぱいいるわけだが、ピリピリと張り詰めた空気を醸し出していて、気軽に道を尋ねる雰囲気じゃない。
そのまま、迷っていると、この場所に似つかわしくない少女が立っていた。————いや、おそらく少女だ。
大きな帽子のつばが邪魔で顔はハッキリ見えない。
彼女は、顔が隠れるほど大きな黒い帽子。とんがり帽子って呼べばいいのだろうか。
帽子に合わせたようなローブ。そして、手には竹ぼうき。
「そっちに行けって事か?」
少女は「……」と無言でわき道を指差していた。
それ以上、何も言わない。
「そうか、ありがとう」
礼を言い、彼女が指差した方向に歩き出すと、なぜか、少女も俺の後ろをついてきた。
まぁ見た目は魔女のイメージ通りの服装なのだから、『魔法』の熟練者とやらの関係者という事はわかる。もしかしたら、俺の案内役なのかもしれない。最も、俺が前を歩いている時点で案内も何も……
「ん?」
俺は足を止めた。背後からベルトを掴まれたからだ。
振り向けば少女が地面に向けて指を指している。
「ここで待てって意味か?」
しかし、彼女は首を横に振った。
「……ここ……今」
彼女は初めて声を出した。
しかし、小さな呟きだったため、聞き取れなかった。
「えっと、すまないが聞き取れなかった」
俺が聞き返しても少女は「……」と無言を貫く。
しかし、次の瞬間―———彼女から戦いの気配を感じた。
「熱気? 炎か!?」
突如として彼女が手にしていた竹ほうきが炎上。
少女は、燃え盛る竹ほうきで俺に殴りかかってきた。
不意をつかれて避けきれない。だからって燃え盛る凶器を素手で受け止めたくはない。
『赤き閃光』
超スピードの異能を使用。
迫る攻撃を回避と同時に距離を取ろうとする。
だが、それはできなかった。
「————っ!結界か!」
空中に出現した透明な壁が俺の体を止める。
異能力の結界とは異質な感覚。 咄嗟に結界破壊を躊躇する。
その躊躇が隙になった。 間合いを詰めてきた少女がほうきを振るう。
(ちっ仕方がない)
俺は、腰を落として彼女の一撃を避ける。
ギリギリ頭頂部から通り過ぎていく熱気を感じた。
そのまま、無防備になった彼女の腰に飛びついた。
タックル
「……ッ!?」
そのまま、彼女の腹部に膝を乗せ、片腕で竹ほうきを上から抑える。
「なるほど。アンタが『魔法』の熟練者ってわけか」
しかし、またもや少女は「……」と無言で首を横に振った。
「違うのか? それじゃ……」
「ソイツは弟子じゃよ」
年老いた女性の声。
俺は声の方向に視線を向ける。 しかし、そこには誰もいなかった。
「ホッホッホッ……姿を見せないのは失礼かもしないが、見せれない理由もあるんだ。すまないね」
「では、貴方が『魔法』の熟練者というわけですか?」
「そう、アンタらの世界でいう所の『魔女』ってやつさ」
姿を見せぬ女性は自身を魔女と名乗った。
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