叶えば所詮、夢物語

4.1 1.2 4.2

トレーニング〜2〜

 
 トレーニング開始  12日目

 ここに来て1週間と5日程経つが衣食住、全く困っていない。この雑木林の中には川が流れており、その水を飲み水として利用したり、服の洗濯や、体を洗ったりと様々な事に利用している。食べ物は魔物以外にも普通の動物がいたり果物もなっているため、それらを狩ったり採ったりして腹を満たしている。


 一方トレーニングの方はと言うと、少しずつではあるが、体力や筋力がついてきた気がする。

 トレーニングを始めた当初はランニングだけで、バテバテだったのに対し、今では走り終えた後でも多少の余裕がある。筋トレに関しても同じ事が言える。辛かった筋トレも回数を追うにつれ、余裕ができてくる。そろそろ、回数を増やしても良いかもしれない

 それが終わると休憩を兼ねて座禅を組む。これも良い感じだ。寧ろ学校でやる時よりも集中できている。学校は静かすぎて逆に周りが気になり集中出来ないが、外は風によって生まれる、葉と葉が触れ合う音が心地よく真紅としては外の方が集中しやすかったりする

 今度は座禅の応用、集中して物をみる。それぞれ、目の色を変えることは出来るようになったが、集中力の持続と色を維持したまま物を見るのが上手くいかない。その日の集中具合によって出来る日とできない日が生まれる。

 そんな中、順調に発動出来ているのは蜜柑と瑠璃だ。蜜柑は2日目に目の発動をコントロール出来るようになり、7日目にはほとんどの確率で能力が発動できるようになった。瑠璃は3日目にコントロールでき、9日目に蜜柑には劣るが、それなりに安定して発動出来ている。

 それとは反対に翡翠と若紫はあまり上手くいっていない。目の発動はできたものの、2人の倍の日数かかっている。そして能力は何度か発動しているが真紅の半分以下の回数だ。2人は安定するまで時間がかかりそうだ。

 目の発動トレーニングが終わり一旦お昼ご飯を食べる。今日は川で獲れる魚と林檎のような果物だ。魚は白身で淡白、それに加え身がふわふわしておりとても美味しい。林檎的な果物は地球の林檎に比べると甘さより酸味が目立つが、酸味の中のほのかな甘さが癖になる。

 お昼ご飯が終了すると、今度は魔物を意識したトレーニングに変わる。いかに周りをよく見、瞬時に判断出来るか  それを鍛えるためだ。

 最初は棒しか見てなく、死界から足が急に飛んできたら避けられなかった。しかし、常に周りに注意しながらやる事によってだいぶ避けれるようになった。それでもたまに避けれない時があるが……

 このトレーニングにおいて群を抜いているのはBチーム2人だ。正直言うとあの2人には勝てる気がしない。翡翠は筋力こそないもの尋常なく速く、その速さで相手を翻弄する。それに加え女子特有の柔軟性のある体と、天性の反射神経で体操選手のようなかわし方する。俊敏、柔軟性、反射神経を持ち合わせておりとても強い

 若紫の方は、俊敏性は翡翠に劣るが反射神経は負けていない。翡翠の俊敏な動きを活かした攻撃をかわしたり、棒でさばいたりしている。そしてなんといても彼の最大の武器は高い攻撃力にある。

 訓練中、翡翠は若紫の攻撃を棒で受け止めようとするが、受け止めた棒が先に折れてしまうという事が何度かあった。決して棒が細いわけではない。ただ単に若紫の力が強すぎるのだ。

 それに対し、瑠璃と蜜柑はあまり動けていない。そもそも2人は外で過ごすよりも家で過ごしたがる、インドア派なのだ。

 特に蜜柑はこのトレーニングが苦手だ。確かに始めた当初よりは動けるようになっている。しかし蜜柑は女の子だ。女の子ならチャンバラごっこなんてしない故  当然だ。

 しかし何かあった時、自身を救えるのは自分自身しかいない。何かあった時のために、チームのメンバーとして強くなってほしい。

 そして、今日最後の銃を使ったトレーニング。これに関しては誰が特に優れているとかはない。大体みな同じくらいの確率で命中する。スナイパーの瑠璃は50メートル先の的に当てれるようようになっている。高い集中力のおかげだろう。マシンガンを使う蜜柑は的に当たるようになったので、次のステージとして、色々な体制から撃てるようにトレーニングしている。例えば、移動しながらだとか、一回転した後に撃つだとかそんな感じの事をしている。ハンドガン組みも両手撃ちが当たるようになったので、片手で撃てるよう頑張ってる最中だ。


 こんな感じで、真紅たちの1日のトレーニングメニューが終わる。その頃には日が沈みかけ、熱を持った体を冷ますにはちょうどいい風が真紅たちの間を駆け抜けるのだった。


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