叶えば所詮、夢物語
緋 ー 偽り
「……この野郎ッ!!」
先生が拳を上げ、Aに襲いかかろとした時、おちゃらけた雰囲気が一転、嫌な雰囲気を纏い、Aが教室に入って来た時に聞こえた低い声で一言
「はぁ……これだから、熱血馬鹿は……」
そう言うと、ピエロマスクから微かに見えていたA  の瞳が一瞬で青くなったと思いきや、いつの間にか先生は力が抜けたように床に座り込んでいた。
それはあまりに一瞬で、僕たちは目の前で起こった異常事態に、ただ唖然とするだけだった。
しかしそんな疑問はすぐに解消される。A  がダルそうにしながらもこの現象について教えてくれたからだ
「はぁ〜、本当は使う予定じゃなかったんだけどな〜  しょうがないか、少しだけこの瞳について教えてやる。まぁ、わかってると思うが、これが目が持つ力だ。人それぞれ、瞳の色が違うのは個々の能力が違うからだ。赤い色なら〜〜、青い色なら〜〜て具合に。
ここまで来たら 色の説明もしなくちゃいけないじゃんか、感謝しろよ。簡単に言うと色が濃いと自身や仲間に対しプラスを与えられ、薄いとマイナス効果が発動する、そんな感じで、要は色が濃い方が強いって訳だ。まぁ、結局のところ、濃くても薄くても使い手  次第だが………まぁ、こんなところか。後は自分達で模索するなり、先輩方に聞け。以上、質問は受け付けない」
さっきのおちゃらけた雰囲気は消え、言葉使いも荒らくなっている。さっきのおちゃらけた雰囲気は演技だったと知る
だが委員長は、Aに纏う雰囲気の変化やさっきの言葉を聞いてもなお、Aに質問をぶつける
「すいません、本当に最後、1つ聞いてもいいですか?このゲームの目的はなんなのですか?それで教えてください!!お願いします」
委員長は深々と頭を下げる。委員長の気持ちが伝わったのか、A  はガリガリと頭を掻きながらも委員長の質問に答えた
「七色神はこの世界に退屈しているだよ。だからお前達みたいな異世界人をよんで、成長を楽しくみているんだよ。だだそれだけ」
それを聞いた瞬間、僕の中になにか黒い感情が湧き上がってくる。それは僕以外の生徒も同じようで、教室が殺伐とした雰囲気に包まれている。
そんな誰がいつ怒り出してもおかしくない状態で、誰よりも先に机を叩きつけ立ち上がる者が1人、
「ふざけんじゃねぇーぞ!!  さっさと帰らせろや!!」
我がクラスのヤンキーである。
いつもなら周りの生徒が『落ち着けよ』とヤンキーをなだめるのだが、今回に限ってはヤンキーにかっかされ周囲の人間もヤンキーに便乗する。
「そうだそうだ、かえらせろ!!」
するとA  は、やれやらといった表情で困っており、クラス内でも  もしかしたら帰らされてもらえるかもと、少し顔が緩みはじめた頃、その顔は一瞬で絶望の表情に変わる
「うるせぇーぞ、ガキ共。調子にのるな」
それは先生を相手にした時の顔より険しく、さっきと比べ物にならない程の殺意が僕たちの体を包み込んだ。
僕たちはこの殺意にやられ、大人しく座る事しか出来なかった。寧ろ逆らうとゆう選択肢は存在せず、どうすれば助かるか  その事しか頭に浮かんでこなかった。
そんな静まり返った教室に、またもAの声だけが響いた。
「じゃあ、大人しくなった所で、チームを作ってもらう。メンバーは多くても、少なくてもいい。ただし、それぞれのメリット、デメリットを考えろ。以上」
それを言い終えると近くの椅子に座り、足を組み寝始めた。
僕たちはどうするべきか考え教室内が静まり返る。そんな静寂が続くなか、クラスで委員長よりも発言力のあるイケメンが、ある提案をしてきた
「まずさぁ、みんなの色を知る必要があると思うんだけど、そのためには見えた色をありのまま言った方が早いと思うだ。もし仮に、薄い色のだったとしても、それぞれのチームメンバーで補えばいいと思うけど……どうかな?」
このイケメンは、いつもそうだ。意見を出し、それをクラスの案として1つにまとめる。確かに彼は顔がいい事に加え、性格がいいと学校でも評判だった
  うわべ上では
僕は彼の裏の顔を知っている。彼が出す意見は一見すると、良さげな事を言っているが、そんなことはない。立場の弱い人に辛い思いさせ、自分は楽をする。そんな事をする人間だ。
そんな彼が考える事だ、この宣告で格付けをするつもりなのだろう。このデスゲームを生き延びる上で、誰が必要で不要か。そんな身勝手な理由に大切な友を巻き込まれたくない。
僕は大丈夫だろうが、もし  メガネ君やアホ子が薄い色だったら、酷い扱いをされるに決まってる。じゃあどうする、この流れをどうやって断ち切る、どうやったら幼馴染たちを救える
……………そうか………
……………僕が強い立場になればいいんだ
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