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叶えば所詮、夢物語

4.1 1.2 4.2

異変

 
「………なんだよ……これ」

 目を開くと僕の写す世界は見る物 全てが輪郭だけを残し赤くなっていた。例えるなら、白黒テレビの白の部分を赤にしたようなそんな感じ。

そもそも、今いる場所すらわからない。おそらく学校だと思うが、外の風景が全く異なっていた。クラス内に目をやると、僕と同じように辺りを見渡しているクラスメートが確認できる

 だが、異変はそれだけではなく

「ねえ、どうなってるの?ねぇ、  あ……あ……?  名前が……思い出せない」
「やっぱりお前もか。俺も名前だけ思い出せないんだ。恐らく、これも視覚異変と関係があるのだろう」

 どうやら記憶にも異変が出ているようで、僕も含め 男子の幼馴染も今までの記憶は残っているのにもかかわらず、自分を含めたクラスメートの名前が頭からすっぽり抜けてしまっている。

「そうか、記憶にも異変が………!!  そういえば、もう1人の幼馴染みは!?」
「あぁ、あいつなら  あそこで跳ねてるぞ」

 僕は男子の幼馴染みが指す方向へ視線を向けると

「なんか、凄くない!!  視界が緑だよ、緑!!  ウチ、植物にでもなっちゃったのかなぁ?  あはははは」

 女の子の幼馴染みの方は、こんな状況でも元気に跳ねていた。まぁ、昔からそうだ、どんな状況でも笑っていたし、それがあの子のいいところでもある

 しかし、ここでもう1つの疑問が生まれた。それはあの子が''緑''と言っていたこと。これは一体どういう事なのだ。

「ちょっといい?  あの子は''緑''って言ってたけど、メガネ君にはどんな風に見えてるの?」
「!? メガ……… まぁ、今はどうでもいいか。俺には視界が''青''く見える。あと、少し視界がぼやけてる・・・・・てる。隠キャはどんな風に見えてる?」

「隠キャって……はぁー    僕は赤だよ………なるほど、だからメガネ君の瞳が紫に見えるという訳か。納得した」
「赤と青で紫ねぇ………一体どうなってるだ」

 少しずつではあるが、今起きている異変について分かってきた。今、確認出来たのは  この3つ。

 ・名前の記憶だけ抜けている事。

 ・視界が変化している事。

 ・人それぞれ目の色が違う事。

 恐らく他にも、僕たちの知らない事があると思うが、今の現状で把握できるのはこの範囲までだ。

 その頃になると少しずつではあるが、いつも通りの色取り取りの世界に戻りつつあり、それと同じ頃、何故かメガネ君がメガネを外していた。

 僕たちは新たな情報を求めようと、席を立とうとした瞬間、バーーンと教室の扉が勢いよく開けられ  教室が静まり返り、視線が一気に扉の方へ向けられる。

 そこに立っていたのは、黒スーツに身を包み、目元の部分をピエロのマスクで覆った、怪しい男だった

 そのピエロマスクは僕たちの視線など気にも留めず、コツコツと革靴の音が響かせながら教壇に立ち  クラス全員を観察するように見渡していった。そして一通り見渡したし終えると、溜め息混じりにボソッと、でも確実に僕の耳には低い声が届いた

 《今回もハズレ・・・か》って

 しかし、他の人には聞こえていないようで僕だけが反応している。ピエロマスクも僕の挙動不審な行動を察知したのか、俺の方を見て  ニコリと微笑み  人差し指を口の前に持ってきた

 僕はこの不気味な笑みに恐怖を感じたのと同時に、人差し指の意味を考えていた。一般的に考えらは『大人しくしろ』だが、さっきの言葉が  どうも引っかかる。どうゆうことなんだ

 訳も分からず自問自答を繰り返していると、さっき聞こえた  少し低めの声とは正反対に甲高く、ピエロのような少し気持ち悪い声でこう言うのだ

「さぁー!!これから異世界の授業をはーじめーるよー!!」

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