君と僕と壊れた日常
悩みの種は夢に出てくる黒髪少女。 予期せぬ出会いは無邪気な笑顔の黒髪少女。
今日は金曜日。 と言っても、既に四時限目の前の休み時間である。
未だに妹の新奈や海斗から報告はない。
しかし、僕は悩んでいない。 一時は彼等のせいで揉め事や悩み事ばかりだったが、彼等自身が答えに向かって邁進している。 わざわざ僕がなにか心配する必要はもうないだろう。
問題は僕のことである。
僕が見る夢、それはなにかとても大切なものな気がしてならない。
トラック事故の夢から数日経っても、僕にはあの夢がなんなのかよくわかっていなかった。
夢とは言わば記憶の整理である。 その夢で僕は知らない少女と、その少女とトラックが衝突する事故を見たのである。 ならばそれは僕の脳内に記憶として保存されている何かなのは確かである。 果たしてそれはなんなのか。
僕は昨日からずっとそんなことばかり考えていた。
昨日同様に唸りながら考えていることも多々あったように思う。 そのためか、やはり最近周りの視線を感じる。気が散ってしまって考えられない。 答えが見つからず授業にも集中できない。 結果として空見華月に怒られる。 相当な悪循環だ。
テスト週間だというのにこのままでいいのだろうか。
「ねえ、さっきから何難しい顔してるの?  ていうかここ最近ずっとだけど。  まだ夢のことで悩んでるの?」
隣の席に座っている空見華月は僕の顔を覗き込みながらそう言った。
正直こういうシチュエーションは素晴らしいと思う。僕も男の子である。 容姿なら間違いなく空見華月はトップレベルだ。 成績も優秀なので文句はないだろう。しかし、僕からしたらそれは大間違いである。 こんなにも失礼極まりない人はそういない。 容姿このまま中身別人なら僕は、彼女が転校してきてからのやり取りで落ちていただろう。 もしかしたら、先程の一瞬のやり取りでも落ちていたかもしれない。
だが、空見華月である。
(容姿このまま中身別人なら良かったのに……)
言ってやりたい。 直接、言葉に出して言ってやりたい。 しかし、それはできない。 怖いから。
これまでの葛藤は一旦置いておいて、空見華月に返答する。
「まあ、そんなところだな」
「授業の邪魔だから、やめて。 …と言っても聞かないものね」
空見華月は諦めているようだった。
それもそうだろう。 昨日、警告をくらった回数は1回に留まらない。 それなのに今日も同じことをしている。 呆れもするし、諦めもするだろう。
「僕も授業はきちんと受けたいよ。 テストも近いし。 でも気になって気になって。」
「あなたのせいで土日にするテスト勉強が多くなった」
この嫌味には流石に反論できない。
迷惑をかけているのは僕なのだから。
しかし、疑問に思った。
空見華月は土日にテスト勉強をするつもりなのだろうか。
「空見さん、もしかしてサッカーの大会行かないの?」
そう、土日はサッカーの試合がある。
うちの学校の女子は海斗見たさに毎大会見に行っている。 それに今回は三年生の引退がかかった大会だ。 海斗というのを差し引いても注目度は高い。
「逆に、なんで私が行かなければならないの?」
「え、だってかくかくしかじかだし」
我ながら理由をうまく説明できたと思う。
「……今回は言いたいことはだいたい分かったわ」
かくかくしかじかで通じたようだ。 この前見たいに怒られると思い、覚悟はしていた。 いい意味で無駄に終わった。
「私はね、蒼井海斗に興味はない。 それに彼、彼女持ちよ? この学校の女子生徒は何を期待してるの?」
僕以外のことでこんなにも毒づくのは初めてではないだろうか。
やはり空見華月は酷い性格をしている。
「行かないのか……。 なら勉強頑張れよ」
「言われなくてもそのつもり」
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴った。 午前最後の授業の始まりである。
キーンコーンカーンコーン
「終わった。 いろんな意味で」
そう、終わったのだ。 先程の教科のテストも、午前の授業も。 そして始まるのだ。 昼休み。 そう、至福のときが。
「さっきは考えごとしてなかったみたいね。 おかげで授業に集中できたわ」
先程の授業は考えごとはしていなかった。 休み時間に空見華月と別の話題で盛り上がったおかげか、はたまた空腹のせいか。
どちらにせよ怒られずにすんだのは良かったと思う。
「そりゃどーも」
「別に感謝してない。 それが当たり前なの」
「お兄ちゃん!」
突然、妹の新奈が大声で呼んできた。
「うわ! びっくりした! で、何の用?」
「すごいね、テンションがジェットコースターだよ」
新奈は何をいっているのだろうか。 さてはアホか。
「要件は?」
「その前に、こっちの美人さんどなた? お兄ちゃん、さっきまで仲良さそうに話してたけど。 アオハルか? アオハルなのか?」
なんだろう。 うちの妹のテンションがいつもより高い。 高すぎてキャラ崩壊してる気がする。
「新奈さん、だったかな? はじめまして。 空見華月と言います。 この前は大変だったね」
空見華月、こいつはとんだ猫かぶりだ。
どうしてこんなにもすぐに切り替えれるのだろうか。
「あー! あなたが空見さんなんですね! 美人という噂は本当だったんだ!」
一瞬で打ち解けたようだ。
「自己紹介もういい? で、要件は?」
「お兄ちゃんせっかちだなぁ」
違うんだよ新奈さん。
妹の新奈はこの前の一件の当事者だ。 このクラスだとどうしても周りの目がすごい。
一応交際関係にあるはずの海斗が微妙な笑みでのちらを見ている。 何度か目が合ったが海斗もなんとなく気まずそうだ。
「いいから。 早く」
「……分かったよ。 じゃあ。 入ってきていいよー!」
新奈は教室入口に向かってそう叫んだ。
すると、一人の女子生徒が入ってきた。 その女子生徒は黒髪のボブで、小柄だがとても締まっている。 そして美人だ。 黒髪ロングでモデルばりのスタイル、容姿の空見華月とはまた違った美人だ。
「こんにちは! 和泉沙奈(イズミ サナ)です!」
少女はとても明るく、無邪気な笑顔で自己紹介をした。
「アラタく……アラタ先輩! お久しぶりです!」
「お久しぶり!? おい新奈、どういうことだ?」
僕の記憶ではこんな子とは知り合っていない。
謎だ。
「え、お兄ちゃん、昔一緒に遊んでたじゃん。 って言ってもたまにだけど」
果たしてそんな子いたであろうか。
僕にはさっぱり理解できない。
和泉沙奈と名乗った少女はニコニコしながら僕を見ている。 本当に思い出せない。
僕の記憶になにか欠落してるものでもあるのだろうか。
僕は色々と質問してみることにした。
未だに妹の新奈や海斗から報告はない。
しかし、僕は悩んでいない。 一時は彼等のせいで揉め事や悩み事ばかりだったが、彼等自身が答えに向かって邁進している。 わざわざ僕がなにか心配する必要はもうないだろう。
問題は僕のことである。
僕が見る夢、それはなにかとても大切なものな気がしてならない。
トラック事故の夢から数日経っても、僕にはあの夢がなんなのかよくわかっていなかった。
夢とは言わば記憶の整理である。 その夢で僕は知らない少女と、その少女とトラックが衝突する事故を見たのである。 ならばそれは僕の脳内に記憶として保存されている何かなのは確かである。 果たしてそれはなんなのか。
僕は昨日からずっとそんなことばかり考えていた。
昨日同様に唸りながら考えていることも多々あったように思う。 そのためか、やはり最近周りの視線を感じる。気が散ってしまって考えられない。 答えが見つからず授業にも集中できない。 結果として空見華月に怒られる。 相当な悪循環だ。
テスト週間だというのにこのままでいいのだろうか。
「ねえ、さっきから何難しい顔してるの?  ていうかここ最近ずっとだけど。  まだ夢のことで悩んでるの?」
隣の席に座っている空見華月は僕の顔を覗き込みながらそう言った。
正直こういうシチュエーションは素晴らしいと思う。僕も男の子である。 容姿なら間違いなく空見華月はトップレベルだ。 成績も優秀なので文句はないだろう。しかし、僕からしたらそれは大間違いである。 こんなにも失礼極まりない人はそういない。 容姿このまま中身別人なら僕は、彼女が転校してきてからのやり取りで落ちていただろう。 もしかしたら、先程の一瞬のやり取りでも落ちていたかもしれない。
だが、空見華月である。
(容姿このまま中身別人なら良かったのに……)
言ってやりたい。 直接、言葉に出して言ってやりたい。 しかし、それはできない。 怖いから。
これまでの葛藤は一旦置いておいて、空見華月に返答する。
「まあ、そんなところだな」
「授業の邪魔だから、やめて。 …と言っても聞かないものね」
空見華月は諦めているようだった。
それもそうだろう。 昨日、警告をくらった回数は1回に留まらない。 それなのに今日も同じことをしている。 呆れもするし、諦めもするだろう。
「僕も授業はきちんと受けたいよ。 テストも近いし。 でも気になって気になって。」
「あなたのせいで土日にするテスト勉強が多くなった」
この嫌味には流石に反論できない。
迷惑をかけているのは僕なのだから。
しかし、疑問に思った。
空見華月は土日にテスト勉強をするつもりなのだろうか。
「空見さん、もしかしてサッカーの大会行かないの?」
そう、土日はサッカーの試合がある。
うちの学校の女子は海斗見たさに毎大会見に行っている。 それに今回は三年生の引退がかかった大会だ。 海斗というのを差し引いても注目度は高い。
「逆に、なんで私が行かなければならないの?」
「え、だってかくかくしかじかだし」
我ながら理由をうまく説明できたと思う。
「……今回は言いたいことはだいたい分かったわ」
かくかくしかじかで通じたようだ。 この前見たいに怒られると思い、覚悟はしていた。 いい意味で無駄に終わった。
「私はね、蒼井海斗に興味はない。 それに彼、彼女持ちよ? この学校の女子生徒は何を期待してるの?」
僕以外のことでこんなにも毒づくのは初めてではないだろうか。
やはり空見華月は酷い性格をしている。
「行かないのか……。 なら勉強頑張れよ」
「言われなくてもそのつもり」
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴った。 午前最後の授業の始まりである。
キーンコーンカーンコーン
「終わった。 いろんな意味で」
そう、終わったのだ。 先程の教科のテストも、午前の授業も。 そして始まるのだ。 昼休み。 そう、至福のときが。
「さっきは考えごとしてなかったみたいね。 おかげで授業に集中できたわ」
先程の授業は考えごとはしていなかった。 休み時間に空見華月と別の話題で盛り上がったおかげか、はたまた空腹のせいか。
どちらにせよ怒られずにすんだのは良かったと思う。
「そりゃどーも」
「別に感謝してない。 それが当たり前なの」
「お兄ちゃん!」
突然、妹の新奈が大声で呼んできた。
「うわ! びっくりした! で、何の用?」
「すごいね、テンションがジェットコースターだよ」
新奈は何をいっているのだろうか。 さてはアホか。
「要件は?」
「その前に、こっちの美人さんどなた? お兄ちゃん、さっきまで仲良さそうに話してたけど。 アオハルか? アオハルなのか?」
なんだろう。 うちの妹のテンションがいつもより高い。 高すぎてキャラ崩壊してる気がする。
「新奈さん、だったかな? はじめまして。 空見華月と言います。 この前は大変だったね」
空見華月、こいつはとんだ猫かぶりだ。
どうしてこんなにもすぐに切り替えれるのだろうか。
「あー! あなたが空見さんなんですね! 美人という噂は本当だったんだ!」
一瞬で打ち解けたようだ。
「自己紹介もういい? で、要件は?」
「お兄ちゃんせっかちだなぁ」
違うんだよ新奈さん。
妹の新奈はこの前の一件の当事者だ。 このクラスだとどうしても周りの目がすごい。
一応交際関係にあるはずの海斗が微妙な笑みでのちらを見ている。 何度か目が合ったが海斗もなんとなく気まずそうだ。
「いいから。 早く」
「……分かったよ。 じゃあ。 入ってきていいよー!」
新奈は教室入口に向かってそう叫んだ。
すると、一人の女子生徒が入ってきた。 その女子生徒は黒髪のボブで、小柄だがとても締まっている。 そして美人だ。 黒髪ロングでモデルばりのスタイル、容姿の空見華月とはまた違った美人だ。
「こんにちは! 和泉沙奈(イズミ サナ)です!」
少女はとても明るく、無邪気な笑顔で自己紹介をした。
「アラタく……アラタ先輩! お久しぶりです!」
「お久しぶり!? おい新奈、どういうことだ?」
僕の記憶ではこんな子とは知り合っていない。
謎だ。
「え、お兄ちゃん、昔一緒に遊んでたじゃん。 って言ってもたまにだけど」
果たしてそんな子いたであろうか。
僕にはさっぱり理解できない。
和泉沙奈と名乗った少女はニコニコしながら僕を見ている。 本当に思い出せない。
僕の記憶になにか欠落してるものでもあるのだろうか。
僕は色々と質問してみることにした。
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