君と僕と壊れた日常

天野カエル

閑話休題 海斗の気持ち

 この気持ちに気づいたのはいつだっただろうか。

 ああそうだ。彼女が同じ高校に入学してきてすぐだ。

 昔からずっと一緒にいた。

 それが当たり前になっていた。

 実際は違った。

 幼馴染のアラタとは入学してからも一緒にいたけれど、彼女とはそうはいかなかった。

 今まではこの2人が当たり前に側に居てくれていたおかげで、周りからの面倒な声を無視することができた。

 幼少期から、やれ美形だの神童だのととてもうるさかった。

 そんな当時の安らぎは駿河兄妹だと言っても過言ではないだろう。

 その関係に依存していたのかもしれない。




 小学生のある日、いつものように駿河兄妹と遊んでいた。
 
 おままごとが当時の彼女の流行りだったようで毎日のようにやっていた。

 その日もおままごとをした。

 そのときの設定は、彼女と夫婦役を演じ、アラタは彼女のお兄ちゃん、つまりお義兄ちゃんだ。

 流行っていたドラマの影響か、彼女はやたらと「好きです」とか「愛してます」と言ってきた。

 小学生にしてそういうセリフは聞き飽きていた。言われて嫌なセリフではないのだが、正直うんざりだった。

 でも、何故だろう。彼女に言われると嫌な気はしなかった。というか、普通に嬉しかった。

 いつもは「俺」だとか「僕」のような自分を示す言葉はあまり使っていなかったのだが、カッコつけようとして「俺もだよ」と言った。

 慣れない事だったのに加え、恥ずかしかったので照れてしまった。

 それでも、彼女は嬉しそうに微笑んでくれた。

 思えばこれが始まりだったのだろう。

 それからも3人の関係は続いていった。もちろん、周りからの黄色い歓声も。

 しかし、年を重ねる事に遊ぶ機会は少なくなっていった。これはしょうがないことである。

 高校に入学した。その時点で遊ぶこともなくなっていた。

 彼女はまだ中三、会う機会もなかった。

 高校生になってからというもの、気苦労の連続だった。

 今までと比較できないくらいチヤホヤされた。

 部活にまで影響が出るほどに。

 同じ学校にアラタがいるのだが、心は休まるのだが昔感じていた程ではなかった。

 そんなこんなで一年。

 進級し、後輩ができた。

 部活には新入部員が入ってきた。

 その中には彼女がいた。マネージャー志望らしい。

 進路を知らなかったので、まさか同じ学校だとは思いもしなかった。

 しかし、驚きより先に安心感を感じた。

 それから言葉を交わすたびにすごく安らぎを感じれた。

 依存だと思った。

 しかし、ふとしたときに彼女のことを考えてはドキドキしている自分がいる。

 安らぎだけではなく、もっと何か別のものを求めているのではないだろうか。

 ああ、これが恋なのか。

 幼馴染に恋をする。すごくありきたりで、なのにロマンチックなこと。

 もしこれが依存だったとしても関係ない。

 気持ちを伝えたい。

 今度は変にかっこつけなくていい、今の自分をありのままぶつける。

 人生で初めての恋。

 「好きです」

 昔、彼女に言われたセリフ。

 新奈ちゃんはなんと返してくるだろうか。
 
 何が返ってきたとしても受け止める。

 それが今まで依存させてくれたお礼で、これからのためと信じて…
 
 

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