探偵は事件に巡り会う。
探偵は事件に巡り会う。
「あ~!」
 大きな声を上げながら、両腕を上に突き上げるのは月岡零だ。
 彼は警察お墨付きの『探偵』をしている。
 何でこんなことをしているかって?
 楽しいからに決まっているじゃないか。
 事件が僕を呼んでいるのさ。
「事件よ~あってくれー!!!」
 今の日本は平和すぎる。僕が解明する事件が無いじゃないか。誰も彼も完全犯罪を起こさない。
 まあ、完全犯罪なんて実質不可能だけどね。
 
「月岡先生。事件を起こってくれなんて不躾すぎますよ。」
「だってしょうがないじゃないか、三浦くーん。僕は探偵なんだよ。事件がなくちゃ存在意義がないよー。」
「事件がない方がへ、い、わなんです!」
「わざわざ平和の部分を強調する意味も分からないけど、警察なのにこんな所にいていいの?三浦くーん。」
 警察に所属する刑事・三浦春奈は月岡零の監視役だ。
 こいつを自由にさせておくと何をしでかすか分からない。
 零の一族は代々警察関係者であり、零の父親、母親も警察に所属している。因みに零の母親は春奈の上司だ。
 
「先生が何をしでかすか分からないから私が監視役に選ばれてるんですよ!警察はいつでも人材不足なんです!あなたがじっとしてくれれば『あの事件』にいけるのに!」
「ん?三浦くん。『あの事件』とは何かな?」
「あ!言ってしまったぁー。やらかしたな私。まあいいや。教えません!先生には。」
「い、い、た、ま、え!」
「い、や、で、す!」
「……じゃあ!こうなったら母さんに三浦くんがサボってるって電話してやる!」
「そ、それだけは!!先生のお母さん怖いんですよ!」
「知ってるもーん。だからだよー。」
 プルプルプルと電話の音が部屋に響く。
 あー。これは面倒な事になりそうだ。
 ガチャという音ともに零の母親が電話に出た。
「どうしたの?零。」
「あ、母さん。あのさー三浦くんが……」
 最後まで言葉は続かなかった。零の母親が大き声を出したのだ。
「零!春奈にまた迷惑をかけたの?謝りなさい。」
「お前……誰だ?」
 
 零が不思議なことを言った。
 先生が電話しているのは先生のお母さんのはずだ。お母さんに知らない人呼ばわりするなんて……。
 すると零は固定電話の受話器をこちらの声が聞こえないように手で塞ぐと、小さな声で春奈に言った。
「三浦くん!君の携帯で僕の母さんの職場に電話してくれ!そして母さんに変わってくれ!この電話の相手が母さんなら、僕に言うだろう。」
「分かりました!」
 春奈は急いで零の母親の職場……自分の職場に電話をかけた。少しして電話が繋がった。
「こちら、○×警察署……」
「月岡警部補ですか?」
「あら、春奈さん?」
「やっぱりそうでしたか……警部補、今携帯持っていますか?」
「え?いえ、今朝無くしてしまったみたいで……。」
「……警部補の携帯から先生の携帯に電話を掛けている人がいるみたいです。そしてその人は警部補になりきっているみたいです。先生が気付いたみたいですが。」
「そうなの!?分かったわ。携帯の場所をGPSで確認してみるわ。」
「ありがとうございます。」
 春奈が電話をしていた間も零は、相手に電話を切らせないように話を続けていた。
 10分ほど零が通話し続けていると「うわぁ!」という声が聞こえた。おそらく警部補が犯人を捕らえたのだろう。
「零?」
「ああ、母さん。取り返したんだね。」
「ええ、よく気付いたわね。」
「まず、その犯人の口調が母さんと少し違ったというのも気付いた理由の1つなんだけど、もう1つは周囲の音かな。」
「……ああ、電車ね。」
「うん、電車が通過する音がしたからね。母さんは今日電車が通る場所の近くに行かないことを知っていたから。」
「そうなの。零、春奈さんに感謝するのよ?」
「りょーかい。」
 零は電話を切った。
「零さん……どうしてそんな簡単に分かるんですか?」
「……三浦くん。1ついい事を教えてあげよう。探偵は日常から周囲の注意を怠らないんだよ。」
 私の名前は三浦春菜。冴えない刑事だ。そして、私立探偵・月岡零を母親で私の上司の月岡翠警部補から監視することを頼まれている。
 
 そして、私は探偵の弟子だ。
 大きな声を上げながら、両腕を上に突き上げるのは月岡零だ。
 彼は警察お墨付きの『探偵』をしている。
 何でこんなことをしているかって?
 楽しいからに決まっているじゃないか。
 事件が僕を呼んでいるのさ。
「事件よ~あってくれー!!!」
 今の日本は平和すぎる。僕が解明する事件が無いじゃないか。誰も彼も完全犯罪を起こさない。
 まあ、完全犯罪なんて実質不可能だけどね。
 
「月岡先生。事件を起こってくれなんて不躾すぎますよ。」
「だってしょうがないじゃないか、三浦くーん。僕は探偵なんだよ。事件がなくちゃ存在意義がないよー。」
「事件がない方がへ、い、わなんです!」
「わざわざ平和の部分を強調する意味も分からないけど、警察なのにこんな所にいていいの?三浦くーん。」
 警察に所属する刑事・三浦春奈は月岡零の監視役だ。
 こいつを自由にさせておくと何をしでかすか分からない。
 零の一族は代々警察関係者であり、零の父親、母親も警察に所属している。因みに零の母親は春奈の上司だ。
 
「先生が何をしでかすか分からないから私が監視役に選ばれてるんですよ!警察はいつでも人材不足なんです!あなたがじっとしてくれれば『あの事件』にいけるのに!」
「ん?三浦くん。『あの事件』とは何かな?」
「あ!言ってしまったぁー。やらかしたな私。まあいいや。教えません!先生には。」
「い、い、た、ま、え!」
「い、や、で、す!」
「……じゃあ!こうなったら母さんに三浦くんがサボってるって電話してやる!」
「そ、それだけは!!先生のお母さん怖いんですよ!」
「知ってるもーん。だからだよー。」
 プルプルプルと電話の音が部屋に響く。
 あー。これは面倒な事になりそうだ。
 ガチャという音ともに零の母親が電話に出た。
「どうしたの?零。」
「あ、母さん。あのさー三浦くんが……」
 最後まで言葉は続かなかった。零の母親が大き声を出したのだ。
「零!春奈にまた迷惑をかけたの?謝りなさい。」
「お前……誰だ?」
 
 零が不思議なことを言った。
 先生が電話しているのは先生のお母さんのはずだ。お母さんに知らない人呼ばわりするなんて……。
 すると零は固定電話の受話器をこちらの声が聞こえないように手で塞ぐと、小さな声で春奈に言った。
「三浦くん!君の携帯で僕の母さんの職場に電話してくれ!そして母さんに変わってくれ!この電話の相手が母さんなら、僕に言うだろう。」
「分かりました!」
 春奈は急いで零の母親の職場……自分の職場に電話をかけた。少しして電話が繋がった。
「こちら、○×警察署……」
「月岡警部補ですか?」
「あら、春奈さん?」
「やっぱりそうでしたか……警部補、今携帯持っていますか?」
「え?いえ、今朝無くしてしまったみたいで……。」
「……警部補の携帯から先生の携帯に電話を掛けている人がいるみたいです。そしてその人は警部補になりきっているみたいです。先生が気付いたみたいですが。」
「そうなの!?分かったわ。携帯の場所をGPSで確認してみるわ。」
「ありがとうございます。」
 春奈が電話をしていた間も零は、相手に電話を切らせないように話を続けていた。
 10分ほど零が通話し続けていると「うわぁ!」という声が聞こえた。おそらく警部補が犯人を捕らえたのだろう。
「零?」
「ああ、母さん。取り返したんだね。」
「ええ、よく気付いたわね。」
「まず、その犯人の口調が母さんと少し違ったというのも気付いた理由の1つなんだけど、もう1つは周囲の音かな。」
「……ああ、電車ね。」
「うん、電車が通過する音がしたからね。母さんは今日電車が通る場所の近くに行かないことを知っていたから。」
「そうなの。零、春奈さんに感謝するのよ?」
「りょーかい。」
 零は電話を切った。
「零さん……どうしてそんな簡単に分かるんですか?」
「……三浦くん。1ついい事を教えてあげよう。探偵は日常から周囲の注意を怠らないんだよ。」
 私の名前は三浦春菜。冴えない刑事だ。そして、私立探偵・月岡零を母親で私の上司の月岡翠警部補から監視することを頼まれている。
 
 そして、私は探偵の弟子だ。
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