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劣等魔法の黙示録

雨草ハルタ

P.6 速達

毎朝行うのは森の中での障害物ランニング。初めの頃は、距離も短く、障害物も簡単なものだった。
今では、距離も長くなり、障害物も様々なバリエーションがある。

朝食を食べ、昼食までの時間は座学。午後からは実技。

そして、夕食を食べる。その後、就寝するまでは自由だ。

ミルディンが居なくなって、もうすぐ1年が経とうとしている。
ショウとの2人暮しにもだいぶ慣れてきた。
手紙は時折送られてくるが、いつ帰ってくるかはまだ分からない。

「ただいま戻りました。」

ショウから教えて貰っているのは、中には、礼儀作法なども含まれている。言葉遣いから、普段の行動までミッチリ指導された。
正直言って、それらがかなり過酷だった。

「おはようございます。汗を流しましたら、朝食にしましょう」

「分かりました。」

汗や汚れを手早く落とし、ショウと朝食を摂る。いつもの静かな朝の筈だった。

刹那、テーブルに何かが突き刺さった。当然、ミルディンからの手紙だ。

「こんな時間に、この速さ...」

ショウがそう呟いて、突き刺さった物体を手に取る。

ミルディンから送られる手紙は、様々な形をしている。大抵は鳥型で、目的の人物の手に渡ると大人しく、手紙に戻る。

今回のは、速達で鏃のような形をしている。
シュルシュルと鏃状から、1枚の紙へと姿を変えた。

「何と書かれているんですか?」

僕は、紙の内容を覗き込んで見た。そこには、短い文が1文、書かれているだけだった。

「今日中に帰る。と、書かれています...」

ミルディン...帰ってくるんだ...。でも、今日って、突然すぎません?

「突然ですね...」

「はぁ...まあ、いつもの事です...」

ミルディンからの手紙で、乱れたテーブル上を手早く片ずける。そして、朝食を済ませた。

「それでは、私は準備する事がありますので、失礼しますね」

お辞儀をすると、ショウは足早にその場を離れた。

「僕は何をしよう...」

家の事などは、ショウが全てやるだろうし、手伝って欲しいことがあるなら言ってくれる。

「...あ、そうだ。彼等の所に行こう」

ミルディンが居ない間、ここの住人が少しばかり増えた。

彼等は少し臆病だから、前もって伝えておこう。

僕は汚れてもいい服に着替え、外へと出た。


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