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劣等魔法の黙示録

雨草ハルタ

P.2 記憶

「目覚めたかい?少年」

「あ、貴方は...?!」

ぬっと、僕の事を真上から覗き込んで来た。

「驚かせて悪いねぇ...やはり、いい反応だ。言葉も通じるよだねぇ」

楽しそうにニヤリと笑いながら女性は椅子へと座り直した。

スレンダーな体躯に、黒紫色のウルフカット。そして、切れ長の僕と同じ赤い目。

「アタシの名前は、ミルディン・アステ=セルヴェード。まあ、長いしミルディンでいい」

「ミルディン...ここはどこ? なぜ僕はここに? 僕は...誰?」

「今説明してもいいが、まずは昼食を食べないかね?何分、眠っていて何も食べてないからねぇ」

腕には何かが刺さっていた後があった。なるほど...血管から直接、栄養などを取っていたみたいだ。

グゥ〜

お腹の虫は素直で、にも食べていないことを自覚したら鳴き始めた。

「ふははっ! 少年それでは行こうか」

お腹がなって笑われた。なんか、ムッとしたが、背に腹はかえられないので、大人しくミルディンの後をついて行った。

廊下には赤いカーペット。発光する石のランプ。木製の壁、床、天井。所々に絵が飾ってある。

進むにつれていい匂いを鼻がとらえた。

階段を降りると、銀髪の少年が待っていた。テーブルの上には料理が並んでいた。

「さ、座りな」

僕の背では椅子は低いし、テーブルは高いので、椅子の上に台を乗せて座った。

「フォークとナイフの使い方は分かりますか?」

目の前に出された銀色の物体。何となく使い方は分かるがぎこちない。きっと使い慣れてないんだ。

料理と格闘しながら黙々と食べる僕をミルディンは観察するようにじっと見ていた。

「日常生活には支障はなさそうだねぇ」

確かに、拙いながらも、日常生活はこなせている。分からないのは自分の事だけのようだ。

「心因性記憶障害...」

自分の口から零れた単語に少し驚いた。

「なるほどねぇ...原因は分かるかい?」

フルフルと首を振る。
自分の今の状態を整理・分析出来ても、過去の事は分からない。

「まあ、無理には思い出さなくていい。ある程度の常識がある それが、分かっただけでも前進さね。」

そう言うと、ミルディンは上品に料理を食べ始めた。

僕もナイフとフォークを握り締めて、ぎこちなくも、料理の残りを食べ始めた。

食べ終わると、ぷよぷよした緑色の物体を手渡された。心做しか動いているように見える...

「これは...?」

「使い方、知らないのかね?それは、歯の掃除用スライムさね。口に入れてごらん」

言われた通り、口に入れると、たちまちスライムは口に広がり、一瞬にして元の大きさに戻った。

「?! こえでおわりでふか?」

口に入れたまま噛まないように話した。すごく話しにくい...

「ふはは!本当に使うの初めてのようだねぇ...! ますます、分からないくなった!アンタのこと」

楽しそうに笑い始めたミルディン。それを見かねたのかショウがコップを持ってきた。

「ココにスライムを出してください。繰り返し使えますので、捨てないように」

僕は口からスライムを取り出し、コップのに入れた。スライムは満足そうに、コップの底で動いている。

それから、僕はいくつかの質問をミルディンからされた。

自分に関する記憶以外で、分からなかった事と分かった事をハッキリさせる為だ。

その結果、僕はある一定の時期以降の事を知らなかった。

それは、空白の時代の後に興った、文明開化以降の事だった。



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コメント

  • ノベルバユーザー335245

    このまま連載していけば伸びるぞ、これ

    0
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