私の世界〜「部活の後輩と付き合ってみた」スピンオフ〜

きりんのつばさ

ツイセキ?

「さぁ~行くぞ~ワトソン君」

「ワトソン君って僕かい?」

「君、以外に誰がいるというのかね? 私は1人で会話をする趣味はないけどね」

「……僕、個人的にはそっちの方が助かるんだけどね
とりあえず、七海に連絡させて」

「いいよ~“樋口とデート”って感じで!!」

「帰ったあと七海がジト目で尋問を始めてくる予感しかないから送らないよ……普通に帰るのが遅れるって連絡するだけだよ」

確かに見てて分かるけど平塚はかなり嫉妬する。それぐらい、平塚は国木田の事が好きなのだろうけどそれと同じぐらい国木田も平塚の事が好きなのが雰囲気で分かる。私が見ていて気持ちが良いカップルだ。
……まぁそれをひっかきまわすの楽しいけどね!!

「ねぇ国木田」

「何だい?」

「--今夜は寝かせないぜ?」

「帰るぞ」

「まぁまぁワトソン君、そんなにイライラしてはいけない」

「誰のせいでイライラしていると思っているのさ……」

という彼からのまっとうなツッコミをされたが私はそんなの無視で話を進める事にした。

「で、今日の広樹は……」

私のスマホに入っている自作のアプリを起動した。これは広樹を追跡するために私が2日ほどで作ったアプリで出来ることと言えば彼がいる場所を他の地図のアプリに反映するだけというシンプルなものであり、そのため2日ほどで済んだ。

「何で“今日の犬は~”って毎朝ニュースの1コーナーと同じノリで彼の場所が分かるのかな……」

「うむ、今日は広樹の大学の近くだね」

「そして判明するの早いし……そんなの部活とかじゃないの?」

「広樹、部活やサークル何も入ってないよ。大学は講義を受けるだけで、それ以外の時間は殆ど私と一緒だよ? 私と再会する前は殆どバイトだったらしいけど」

広樹は私と会う前は大学に講義を受けに行き、そのあとバイトに行くという一日をほぼ3年間繰り返していたのだが、ただその中でもちょくちょく私には秘密で私を見守ってくれたらしい。あの事件が起きる前は明るくて積極的な性格だったのにここまで変わってしまったことに私は悲しんだ。

「……極端だなぁおい」

「まぁまぁ国木田だって広樹のバイトの部分を平塚の世話に置き換えたら殆ど同じでしょ?」

「そうか……?
ーー確かにそうかもしれないね……」

と自分でツッコミをした直後に自分で納得する国木田。というかほとんどが七海の世話をしていることは彼以外の人間は誰もが知っていることであり、意外と本人はきづかなかったりするのだろうか。

「自覚あるんだね。
ということでさぁ行こうワトソン君」

「……その呼び名は変わらないのね」



私と国木田は私たちが通っている大学の最寄り駅から電車に乗り、広樹が通っている大学の最寄駅に向かった。2つの大学は電車で乗り換えなしで20分ぐらいで着く、その間も私は広樹の位置が記載されているアプリから目を離さなかった。

「まだ広樹動かない」

「何か用事でもあったんじゃないの?」

「でも用事があるなら私に必ず一言くれるはずだし……」

「そりゃ秘密にしたいことだってあるんじゃないの?」

「秘密にしたいことって例えば?」

「……それ僕に聞くよりもご自分の胸に聞いた方がいいのでは?」

「あぁ? 私の胸が薄くて何も聞こえないって?」

「誰もそんなこと言ってないわ!!」

「巨乳の彼女持ちの彼氏さんは言うことは違いますねぇ~」

「言ってない言ってない……それは君の誇大妄想では?」

「でも平塚って大きいよね?」

前に平塚の着替えの際に彼女の胸を見たことがあるけど、結構大きい。私が胸が小さいほうなのであの大きさは羨ましいというよりも妬ましい。そしてそれ以上に大きいのが森の彼女さんだ。平塚よりも背は小さいくせに平塚よりも大きな胸はおかしい。
……夏、海行ったとき見に行かなきゃ!!なんていう決意を私はするのであった。

「……」

「あっ、黙った」

「うるさいな……」

「触った時どうだった? ねえどうだった?」

「ほら降りるよ?」

気が付いたら広樹の大学の最寄り駅に着いていた。

「あっ、着いたか……ちっ、誤魔化したね」

「降りないと広樹を見逃すよ」

「しょうがないな」

と私たちは電車から降りて、スマホで広樹の場所を確認した。

「近くの旅行代理店にいるみたいだね」

「へぇ……旅行か。どこか行きたい場所でもあるんじゃないの?」

「旅行ね……。
ーー不倫旅行の匂いがする!!」

「……なんでこうも僕の周りの女性陣はこうも疑り深い性格ばっかりなんだろうかね」

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