私の世界〜「部活の後輩と付き合ってみた」スピンオフ〜
隠し事
久しぶりにこちらの方での追加エピソードを投稿します!!
短編ではなく、数話にわたって続きますのでお付き合いください!!
年が明けて数日後……
「ねぇ国木田~暇だよね?」
「……人を読んでおいて今それを聞くのかな樋口さん」
と見るからに不機嫌な国木田。
それもそうだろう、なんせせっかくの休日に私からの呼び出しで大学近くの喫茶店に呼ばれたのだから。
「ノンノン国木田。樋口じゃなくて“澁澤”。間違えちゃダメだぞ?」
国木田にはそう言うけど、実は私も広樹と結婚して名字が“澁澤”に変わってしばらく経つけど、まだ名字を書き間違えたりするのであまり人の事を言えない。生まれてきてから21年ずっと“樋口”という名字で暮らしてきたので、まだ慣れていない。
「いつも面倒だけど、彼と結婚してから何かいつも以上に面倒になった気がする……とりあえず僕帰っていいかな? 帰って七海の面倒見なきゃいけないんだけど」
「まぁまぁ国木田、話ぐらいは聞いてよ~
ーーでないと平塚にあること無いこと言っちゃうぞ?」
「……チッ、早く要件言え」
と上げた腰を再び下ろして座る国木田。
「ありがとう国木田。さすが部内一優しい部員って呼ばれるのが分かるよ~」
「脅しておいてよく言うよ、君は……面倒な同期を持ったなぁ僕は」
「褒めても何も出ないって~もう国木田って本当に私の事好きなんだから~!!」
「僕本当に帰っていいかな!?」
「もう怒らないの~そんなに怒るなんて国木田ってカルシウム不足なんじゃなの?」
「君がいたらどんなにカルシウムとってもすぐ不足するわ!!」
「で本題なんだけどさ」
私はそろそろ飽きてきたので本題を進めることにした。
「僕の意見はスルーか!? 散々僕の事をからかっておいて飽きたらスルーするのか!?」
「だって飽きたし」
「言いやがったよこいつ……で、本題って何?」
なんやかんやで話は聞く国木田なのである。そういうところは国木田は偉いと思う。
「いや実はね……」
「実は?」
「--広樹が何か隠し事をしているみたいなんだ」
「広樹が? なんでそう思うの?」
「最近さ、帰りが遅かったり、私に隠れてこそこそ何かをしているみたいで。聞いても誤魔化されるし」
最近、夫である広樹が少し変なのである。
なんか私にこそこそと隠し事をしているみたいで、その証拠はないので問い詰めることは出来ないけど、女の直感というものが何かあると言っている。
「へぇ……あの広樹がね……」
「国木田は何か知らない?」
「いや知らないよ。というか何故それを僕に聞く?」
「だって広樹が親しいのって国木田ぐらいだし……広樹ってば親しい人を作らないようにしてるみたい」
あの事件が起こる前は地元に友達がいた広樹だけど、あの事件が起きたあと地元の友達は1人以外とは縁が切れて、引っ越した先でも親しい友人を作らなかったらしい。それぐらいあの事件は彼の心に深い傷を負わせた。そのため私は今でも地元の同級生は許さないし、勿論これからも許すつもりはない。
「……そうなんだ」
国木田も広樹が親しい人を作らない理由が想像出来たためか、あまり良い反応をしなかった。
「ということで広樹の親友である国木田に聞いてみようと今日呼んだんだ」
そんな中でも広樹は今目の前にいる国木田は信頼しているらしく、ちょくちょく連絡を取っているらしい。私としても好きな人に信頼できる人が出来たというのはとても嬉しい。そしてその信頼できる人物というのが私が信頼できる人というのが尚更嬉しいのである。
「……“呼んだ”じゃなくて“脅した”の間違いじゃなくて?」
「そんなの小さな差でしょ? 気にしない気にしない」
「結構違うけどな!? まぁとりあえず僕から言えるのは何も知らないってことだけ」
「えぇ~本当? 私に隠していることない?
ーー例えば愛人がいるとか?」
「いないわ!! 第一、いたとしても君には言わないな!!」
「よし、いるんだね。平塚に言っておこう」
「やめろよ!? 七海って結構冗談きかないんだから僕帰ったら尋問が始まるじゃないか!!」
確かに国木田が平塚に尋問されている場面が容易に想像出来る。彼は私と同じように策士タイプの人間だけど彼女の平塚には頭が上がらない。
「尋問だって……?
ーー楽しいじゃんか!!」
「君はドSか!?」
「知ってる国木田?
ーー他人の不幸は蜜の味って言葉を……!!」
「本当に君って性格悪いよね!?」
「ということで平塚にあることないこと言われたくなきゃ私の手伝いをしたまえ~」
「……相変わらずやることがゲスというかクズというかもうド畜生の極みだよ」
「なお国木田には拒否権はございませんよ~」
「じゃあ何故聞いたんだよ!?
ーーはぁ……分かった手伝えばいいんでしょ」
「よし!! そうと決まれば早速広樹の後を尾行しよう!!」
「いやいやいきなり言われても彼の場所分かるの?」
「そんなの簡単だよ
ーー広樹のスマホに秘密裏にGPSを仕込んだからねっ!!」
「自慢げに言わないの!!」
と私と国木田は広樹の後を追うことにしたのであった。
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