私の世界〜「部活の後輩と付き合ってみた」スピンオフ〜

きりんのつばさ

私の世界、再び


遂に2人の思いに決着!!

いつもより長めになってしまいましたが

どうか2人の思いを最後まで

見届けてください!!

では、どうぞ!!







「……こ」
「すぅ……」
「……うこ」
「すにゃ……」
「……ょうこ」
「あと、ごふん……」
「ーー抹茶ラテとポテト食べるぞ」
「ダメぇぇぇぇーー!!」
私は一気に覚醒した。
「あ、あれ……? 抹茶ラテは……ポテト……?」
「そんなもの病院にある訳ないだろう……」
「広樹……広樹!?」
「そうだ広樹だ」
「……広樹っ!!」
私は広樹に抱き着いた。
「おっとと……」
そんな私を広樹は優しく抱きしめた。
「広樹……無事なんだね……本当だよね?
生きているんだよね?」
「勝手に殺すなよ。まぁ生きているな。
迷惑かけたな翔子」
「ううん……迷惑なんて……私は……広樹なら
迷惑……なんて……思わない……」
「ははっ、でも良かった。まだ生きているみたいだ」
「本当……良かった……もし……広樹が死んだら
……私……また1人に……なっちゃう……」
「翔子……」
「でも……広樹……生きている……それで……いい
それだけで……私は幸せ」
一度は本当に覚悟したのだが今は目の前で話をしている。
触って体温を感じる事が出来る。
それだけ、それだけで幸せと感じる。
「というか翔子、話し方変わってないか?」
「ん? あ、あれ……?本当だ……」
今まで国木田達と話していた話し方が何故か出来ない。
今の話し方は広樹がいなくなる前の話し方だ。
「試しにやってみたら?」
と広樹に促されてやってはみるものも……
「は、はろ〜……ど、どうかな……?」
「……すげぇぎこちない」
「うぐっ……」
「でも……何でだ?」
「あ……もしかしたら……」
「どうした何か思いついたか?」
「広樹の……前だから……?」
「……? なんだそりゃ?」
広樹は頭を傾げた。
そりゃそうだろう。
私もいきなり言われたら同じ反応をすると思う。
「多分……国木田とかには……演技できる
でも……広樹には……無理……いつもの……
私知っているから……」
「……簡単に言うと俺の前では演技が出来ないから?
ってことか?」
「うん……あ、あ……でも……広樹が……嫌なら……
が、頑張って……変えていく……」
復讐の為に性格や話し方を変えたんだ。
好きな人の前で話し方を変えるぐらい楽だと
……思いたい。だがそんな事で広樹に嫌われたくないから
頑張るしかないけど。
「いや、いい」
「えっ……」
「翔子……お前はそのままでいい。
もう変に演技をしなくていいんだ」
「ど、どうしたの……?」
「いや素のお前がそれなら俺はいい。
無理に自分を変えなくていい」
「うん……広樹が……言うなら……これで……いる」
私の好きな人がそれで良いというのなら私は
無理に変えなくて良いのだろう。
「ならこの問題は解決だな。だが俺らにはもう一つ
重大な問題がある」
と広樹は真剣な表情をした。
「問題……? な、なんか……あったっけ?」
私は振り返ってみるけど何も思いつかない。
広樹が刺された事のインパクトが強くて
他の事があまり思い出せない。
「ここまで来てそれかよ……」
見るからに落ち込む広樹。
「ご、ごめん……なさい」
「い、いや良いって……大丈夫だ
あぁ大丈夫だ……」
「そ、それって……全然……大丈夫……
じゃない?」
「まぁな……まぁいいや。なぁ翔子」
「な、なに……?」
「俺はお前が好きだ。
もしよければ付き合ってほしい」
「……ッ!?」
自分で顔が赤くなるのが分かった。
あんなに好きだった広樹から
告白されたのだから
顔が赤くならないはずがない。
「ち、ちょ……な、な、な、なんで……
わ、私なの?
わ、私以外に……良い人は……一杯いる……」
「俺はお前が好きなんだ。他の人じゃなくて
樋口翔子、お前がいいんだ」
「ひ、ひぇ……ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、夢?
あ、明日……目が覚めたら……夢……っていうオチ
……ないよね……」
「それはない」
「で、でも……なんで……私?」
「翔子って美人でスタイル良いだろ」
「美人……!? スタイル……良い!?」
今まで色んな人に言われてきたけど広樹に言われるのでは
天と地の差がある。
この2つの単語だけど私の心臓は破裂寸前だった。
「あとさ……翔子といると落ち着くんだ。
気兼ねなく話せてさ、そして一緒にいて楽しい」
「落ち着く……!? 楽しい……!?
ほ、本当!? う、嘘……行ってない……?
私に……気を使ってない……?」
「だからさっきも言ったろ。
お前とは気兼ねなく話せるって。
ここで嘘ついてどうするんだよ……」
「そ、そうだよね……ごめん……なさい」
「というか俺、刺される前に告白したよな……?」
「あっ……」
そう言えば広樹から刺される前に告白されていたんだ。
あの時は刺されたからパニックってしまったが
告白の返事をしてなかった。
「だからさ告白の返事が欲しい。
誰の言葉でも無く、翔子の言葉で」
「私は……」
確かに広樹の告白は嬉しい。いや、嬉しいなんかじゃ
表現しきれないぐらいの気持ちだ。
「私はね……広樹が……思うような……人じゃないよ」
「話してもらえるか?」
「私は……広樹が……罠に嵌められたのを……知って
許せなくて……復讐の為に……色々としちゃったんだよ?
人には言えない事も……沢山……国木田にも……」
私は広樹があんな目にあったのが許せなくて
嵌めた奴はとことん痛い目を合わせた。
そんな女が広樹の隣にいる資格は無い。
「ーーだからどうした」
「えっ……?」
「だからどうしたって言ったんだ。俺はそれぐらいで
お前の気持ちを諦めるなら今回わざわざ翔子を
助けにここまで来なかった」
「で、でも……」
「翔子は俺の隣にいる資格が無いって思っているようだが
その資格とやらは誰が決めるんだ?
別に俺が決めてもいいのだろ?」
「わ、私……広樹の……隣……いて……いい?」
「あぁ、そんな資格は翔子にならいくらでも
出してやるよ」
「で、でも……私は……本当に……」
広樹からは許可が下りたが、まだ私自身が
戸惑っている部分があった。
「じゃあさ。翔子が心配に思っている事さ
全部言ってみな? 全部答えるから」
そう広樹に言われたのでやってみる事にした。


「私……悪い事……したよ?」
「だからどうした? 一緒に背負ってやるよ」
「私を……信じてくれた……人を裏切った」
「なら一緒に謝りに行こう?
許してくれるまでさ」
「私……広樹が……知っている頃と……かなり変わった」
「あぁ知っている。前だろうが今だろうが
どっちの翔子も好きだ」
「前に……広樹の……プリン……食べた」
「それは初耳だ。あとで話し合いだな」
「私……結構……面倒くさいよ?」
「知ってる」
「嫉妬深いし……ワガママ」
「分かってる。それでも好きになったんだ」
「今……髪……ショートカット」
「個人的にロングが好きだが翔子なら
ショートカットでも構わない」
「……貧乳」
「そ、それに関しては別に気にしてない」
「嘘……今……目が泳いだ」
「……すまん、大きい方がいいです」
「私……ショック……よよよ」
と泣くフリをしてみる。
胸は色々と試したのだがあまり効果は無かった。
「す、すまん!! デリカシーが無かった」
「……許す」
「あ、ありがとう?」
「ふふふ」
「ハハッ」
とお互いの久しぶりの掛け合いに懐かしみ
思わず笑ってしまう私達。
「で、翔子。他に質問あるか?」
「ううん……もう……ない
私は広樹をしっかりと見つめて、深呼吸をした。
そして……
「私も……広樹が……好き……いや大好きです。
広樹が……よければ……彼女にして……ください」
「あぁ俺の彼女でよければなってください」
「うん……いいよ」
「……ッ!! 翔子!!」
「えっ……きゃっ!!」
私はいきなり広樹に抱きしめられた。
「い、い、い、い、い、い、い、いきなり!?
ど、ど、ど、ど、どうしたの……!?」
私はいきなりのことに頭が追いつかずに
目を白黒させていた。
「す、すまん!! つい嬉しくて、な。
なんか抱きしめたくなって……」
「そ、そう……なんだ……だ、大丈夫。
私は……平気……」
「そうか……もう少しこのままでいいか?」
「うん……許可する……もう少し……このままで」
「ハハッ、許可ありがとう」
と私達はしばらく抱きしめあった。
そして何分間この体勢でいただろうか不意に
「キス……」
「キス……? キス!? キスってあのキスか!?」
「どのキス……分からない……けど……
唇を……合わせる……行為の……キス」
「そのキスか……当たっていたか」
「正解の……ご褒美として……私とキスする権利
授けよう……」
「分かった。じゃぁ翔子、こっち向いてもらえるか?」
「うん……いいよ……」
と私は広樹の方を向いて、目を閉じた。
そして徐々に2人の唇が近づいていき……




「樋口先輩〜差し入れ持ってきました〜
ーーってあ、あれ?」
「「あっ」」
そこには手にビニール袋を持っている森がいた。
「……」
「……」
「 ……」
「すいませんでした〜あとは2人でごゆっくりと……」
「森ーーーー!! あんたっていうバカはぁぁぁ!!」
「げっ、樋口先輩がキレた、ヤベェ!!」
森が慌て出すが私の怒りは収まらない。
「し、翔子……? 口調が……」
広樹が何か言っているがここは無視する事にする。
「前から言おうと思っていたんだけどねぇ森……」
「な、な、なんでしょうか……?」
「あんたはなんでこういう空気を読まないといけない
場所で空気読めないの!? 空気読みなさいよ!!」
「い、いやあれは不可抗力って奴で……」
「ーーどうした森、そんなに慌てて
……って樋口さんに広樹?」
「あっ国木田ぁ……あんたさもう少し後輩の手綱
しっかり握りなさいよ……!!」
「あ、あれ……なんで僕もヤバイ感じ……」
「私の気持ちを勝手に広樹に話すし……!!
お節介にも程があるんじゃないのかなぁ……!!
というかまず後輩の手綱引けよ……!!」
「あっ、これって本当にマズイ奴だ……」
「マジっすか先輩?」
「あぁ、大マジだ。
ーー逃げるぞ、僕らの命の為に!!」
「分かりましたーー!!」
と走って病室から逃げていく2人。
「待ちなさいよぉーー!!
私の甘い雰囲気かえせぇーー!!」
私も走って捕まえようとしたのだが手を引かれた。
「翔子、翔子ってば、口調が……」
「あ。広樹……ごめん……なさい」
「ここまで変わるとは……ま、まぁ彼らを許して
あげようぜ? 彼らに悪気はないんだから、な?」
「許さない……とことん……追い詰めて……
いじって……いじめてやる……!!」
「うん、決めた。俺、翔子怒らせないようにするわ」
「せっかくの……甘い雰囲気が……」
「まぁそんなに急がなくていいだろ」
「でも……」
「俺らには時間がまだあるんだ。2人でゆっくりさ
色々とやっていこうぜ?」
「そうだね……うん、そうだね……!! ねぇ広樹」
「うん? なんだ?」
「もう……いなくならない……?
私の前から……いなくならない?」
「あぁ、俺はいなくならない」
「信じていい?」
「あぁ信じてくれ」
「……指切り」
「分かった、しようか」
と私達はお互いの指を重ねて
「「指切りげんまん〜嘘ついたら、針千本の〜ます
指切った」」
と約束をした。
「広樹……」
「ん? どうした?」
「これから……末永く……よろしくねっ!!」
「あぁ!!こちらこそよろしくなっ!!」


すれ違いにすれ違いを重ねて私達の人生は

今、やっとここで再び交わる事になった。






遂に78話目でここまできました!!

そしてこのスピンオフもあと数話で

完結します。

もしよろしければ最後までお付き合い

してくださると嬉しいです!!

コメント

  • サク. ap

    いつもよりさらに面白い!
    てか、最終話だと思ってた。
    …でもよく考えれば、「ヒトコトモ言ってオリマセ~ン」の伏線がまだ回収されてないもんね。

    2
  • Qual

    これぞ森スタイル(笑)

    2
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