私の世界〜「部活の後輩と付き合ってみた」スピンオフ〜

きりんのつばさ

ごめんな・・・








「さて、僕らは帰ろうかな」
「賛成っす〜!!」
と国木田達は帰ろうとしていた。
「あ、あれ? 国木田帰るの……?」
「そりゃ、僕の仕事は終わったし。
ーー早く帰って七海とイチャイチャしたい」
「実に国木田らしいよ、理由が……」
彼にとって平塚は何よりも優先することであり
大体の行動理由が平塚の為だ。
「俺も帰って凛子に色々と話したいことありますし
帰ります〜!!」
最近やや国木田みたいになってきた森も同じ理由だった。
「って事であとは2人でよろしくやってね〜」
「ま、待って!! この状況で広樹と2人きりって
色々と辛」
「さて森、何食って帰る?」
「そうですね……無難に焼肉とかどうでしょうか?」
「……お前っていつも肉だよな。まぁいいか
よし、肉食べて帰ろうか」
「じゃ店調べておくっす〜」
と2人はこの後のご飯の話をしながら去っていった。
「……」
「……」
そして取り残された私達。
さっきお互いの気持ちを半ば口喧嘩の様に言った為か
尚更気まずい。
私としては広樹が私の事を好きだったというのが未だに
頭の中で処理できていない。
(まさか広樹が私の事を好きだったなんて……
これって現実!? 現実だよね!?
あぁ〜幸せ過ぎるよ〜!!)
私の片思いだったと思っていた相手から好きだと言われ
頭の中がパニクる反面、幸せな思いが頭の中だけではなく
身体全体に広がっていた。
「……なぁ翔子」
「ひゃい!? な、な、な、な、なんでしょうか!?」
いきなり広樹に話しかけられた事もあり
変な声で返事した上に吃ってしまった。
「あのさ……」
「うん?」
「……返事」
「返事?」
「ここでも鈍感か……まぁ翔子らしいな」
「何? なんかバカにされている気がするんだけど」
「ハハっ、いや翔子とこういう掛け合いするのも
本当に久しぶりだからさ、ついな」
「だね、本当だ」
広樹が転校してからこんな掛け合いするのも数年ぶりだ。
だからだろうか、こんなに広樹と会話するのが
とても楽しい。妙にバカにされている様な言い方を
されてもあまり嫌に思わない。
「さっきさ俺、自分の気持ち言ったよな?」
「あっ……」
「だからさ俺の気持ちに対する返事、くれないか?
先に知ってしまったけど、翔子の口から直接
聞きたいんだ」
そうだ。
どっかの同期が先にバラしたせいで広樹が私の気持ちを
知ってしまったがまだ私は広樹に直接言っていない。
「う、うん。いいよ」
と私は一度深呼吸し、真っ直ぐ広樹を見た。
広樹も私の様子を見て、私にしっかり目線を合わせた。
そして……
「私も広樹の事がーー」


































「ッ!? 翔子!? 危ない!!」
「へっ……?」
「死ねぇぇぇ!!」
ザクッ
何かが刺さった音がした。
「このッ!!」
と広樹が何かを振り払った。
「な、な、な、何?」
私は心配になり、自分の身体を触ってみた。
だがどこにも異変は無かった。
では何故さっきの音がしたのか?
それはとても簡単だ。
た。
では何に刺さったのか?
「痛てて……翔子大丈夫か?」
「私は大丈夫だけど……
ーーえっ、ひ、ひ、ひ、ひ、広樹……?」
「はは、俺なら大丈夫……とは言えないな……」
広樹の脇腹に何かが刺さっていた。
それは私達はよく料理をする際に使う物だった。
「広樹!?何で!?」
「ーーはははははは!! ザマァないわね!? 」
広樹の後ろには私達がさっきまで対決していた
三浦亜紀がいた。
「三浦ぁ!! お前ぇぇぇぇ!!」
「私に陰キャラの癖に
刃向かうからこうなるのよ!!自業自得よ!!」
というと三浦は広樹の身体に刺さっていたナイフを
勢いよく引き抜いた。
「うぐっ……!!」
そしてその場にうずくまる広樹。
その周りには徐々に血が広がってきた。
「ねぇ広樹しっかりして!!ねぇってば!!」
「次はあんたよ樋口翔子!!
あんたさえ、あんたさえいなければ!!
あの時、急に口調や性格を変えた際にせっかく見逃して
あげたのに私のせっかくの厚意を台無しにして!!」
「ねぇ広樹!!ねぇって!!」
「……翔子、逃げろ。ここは俺が何とかする……」
「その傷じゃ無理だって!!」
「ねぇ何で私を無視して話をしているの?
ねぇ陰キャラのあんた達がこの私を無視していいはずが
ないじゃなの!!こっち見なさいよ!!」
と再びナイフをこちらに振りかぶる三浦。
「くそッ!!
広樹は私の上に覆いかぶさる様に広樹の身体の下に
私の身体を入れた。
「仲良く死になさいよーー!!」
「ーーさせるかぁ!!」
「グッ……!!」
カランッ
三浦の手に握られていたナイフは何者かの手によって
地面に落ちた。
「あんた何し」
「黙れ!!」
とその人物は三浦の腹に力強くボディブローを決めていた。
それを受けた彼女はその場に倒れた。
「大丈夫2人とも!?」
「国木田ぁぁ……!!」
そこにはさっき帰ったはずの同期国木田がいた。
「な、な、な、何でここにいるの!?」
「帰りに試しに三浦どうしているかなって思って
さっきの場所行ったんだけどいなくて
嫌な予感がしたから大急ぎで戻ってきた。
ーーおい森!! 救急車呼んで!! 早く!!」
「は、は、はい!! 今呼びます!!」
と慌てた様にスマホを取り出す森。
「……翔子、無事か……?」
「広樹!? 話さないで!! 私なら大丈夫だから!!
もう少しで救急車来るから大丈夫!! だから……」
「そうか……良かった……良かった」
「広樹……?」
広樹は急に優しい顔になった。
「俺は守れたのか……自分の大好きな幼馴染を……」
「ねぇ広樹もういいって!!話さないで!!」
「ごめんな……翔子。寂しい思いをさせてさ……」
「えっ……?」
「俺は……三浦の……俺がいなくなれば……翔子は
いじめないっていう……言葉に乗せられて
転校したんだ……でも間違いだった」
「そうだったの?」
「翔子のお母さんがさ……話してくれたんだ……
毎日部屋で泣いている……翔子の姿を……」
「ッ!?」
「あの時は何が何でもお前の近くに
いてやるべきだった……いやいなければならなかった」
「そんなの今はどうでもいいよ!!
お願いだから喋らないで!!」
「なぁ翔子……」
と息も絶え絶えになりながらも広樹は話すのをやめない。
「もういいから!!お願い静かにしていてよ!!
ねぇってば!!」
「俺さ……心残りが1つあったんだ……」
「そんなの治った後ならいくらでも
一緒に叶えようって!!だから」
「翔子に……お前にさ……俺の思いを告げなかったこと
それが唯一の心残りだった……
だけどそれも今叶った……」
「嫌!! まだ私が返事してないって!!
だからさ!!」
「ハハ……そういえば返事聞いて……無かったな……
まぁだけどそれもありか……」
「ねぇもう1人にしないでって!!
また1人になるのは耐えられないよ!!
嫌なの!! あんな思いをするのはもう嫌!!」
「心配するなって……もう1人じゃないって
あの頃の翔子とは違って……国木田達がいるだろ
……心から信頼出来る連中が……」
「私は広樹さえいれないいの!!
他の人なんてどうでもいいの!!」
「ハハ……やっぱり……翔子は……変わらないな……
だけど……そんな……翔子……可愛い……な」
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!
お願いだからそんなお別れみたいな言葉言わないで!!」
「なぁ……翔子……」
「嫌だ聞きたくない!!」
「俺の幼馴染でいてくれてありがとう……
そして……大好きだ……」
「ねぇ広樹……? ねえって……?ねえってば!!
嫌……嫌……嫌ぁぁぁぁぁーー!!」










次回か広樹の視点に入っていきます。

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品