私の世界〜「部活の後輩と付き合ってみた」スピンオフ〜

きりんのつばさ

黒幕









その人物は私が来るよりも先にその場所に来ていた。
「やぁ」
私が声をかけると驚いた表情をした。
「な、何で翔子がここに……」
「そりゃ私が貴方をここに呼んだに決まっているじゃん」
「翔子が……どうして?」
「私が今まで呼び出したクラスメイトは1人以外
全員似たような意味の言葉を言っていたよ」
そうだ。
ここに至るまで何人かのクラスメイトを呼び出して
同じように聞いてきた。
そいつらは自分が何をしてきたのか全く分かって
いなかった。ただ宮沢だけは私をみた瞬間に察した。
そして、目の前にいる今回の黒幕も何故呼ばれたのか
分かっていないようだ。
「まぁ私がこのセリフを聞くのも今回で最後に
なるだろうけど」
「だから翔子は何を言っているの……?
しかもクラスメイトを呼び出したって……」
「そう、その言葉の通り、元クラスメイトを呼び出して
色々な事を聞いたよ」
「まさか、最近の元クラスメイトの子達が呼び出された
のって貴方が犯人なの?」
「うん、そうだよ」
「何で貴方がそんな事を……」
「何でって……貴方まだ分からないの?」
「いやだって私が何で呼ばれるかわからなくて……」
「いい加減さ、本性を表したら?
ーー三浦亜紀ちゃん」
と目の前の元クラスメイトであり、広樹の元彼女である
三浦亜紀は驚いた表情をした。
「私の本性……? 翔子は何を言っているの?」
「私さ、ずっと引っかかっていたんだ。
あの例のヒーロー気取りのクズの常村が退学になった際に
何で貴方は糾弾されなかったのかって……」
「だ、だって私は捨てられたんだよ?
私は被害者なんだよ?」
「そうだね。確かにそうだね。でもさ……
ーー貴方って本当に被害者なの?」
「えっ……」
「そもそも私にとって広樹が女子に、ましてや彼女に
暴力振るうなんておかしかった。そしてその滅多に
ない瞬間に運良く常村が通るのか?って」
「それはたまたまだよ」
「本当かな? それにしては出来すぎているんじゃない?
そしてここで1つの考えが思いつく。
ーーもしも貴方が常村とグルだったら?
もしグルだったら偶然を装って、広樹を怒らせて
手を出したところに常村がカッコよく登場する。
そうすれば広樹が暴力を振るっている場面が完成」
「ま、待って!? 何であんな奴とグルなの?」
(よし、少し慌て始めたな……)
私はここで少し畳み掛ける事にした。


「実は常村って中学校時代から黒い噂があったんだ。
実際それは彼の父親が潰していたんだけど、貴方なら
その秘密を知ることが出来るよね?
ーーだって、常村の父親の秘書が貴方の父親なんだから」
「っ!?」
「貴方の父親は常村の父親に恨みがあった。
だけど表向きは忠実なフリをしているから父親から
常村の後始末を任されていた。その仕事をしている中で
貴方の父親はその証拠を残していた。
大方、貴方はそれをたまたま家で見たんじゃないの?」
「……」
「沈黙かな? なら肯定でとらせていただくね。
そしてその内容を見て貴方は常村を脅した。
“これがバレたくなければ私に従ってって”
そして常村を言う事を聞かせるようになると
貴方は広樹に例の事を仕組んだ」
「だから私が何でそんな事をする必要があるの?」
「それは簡単だよ。
ーー自分がクラスの中心でみんなから愛されたかった」
「……その根拠は?」
「当時のクラスって大体が貴方をクラスの中心でみんなが
貴方に好意を持っていて、みんながちやほやしていた。
だけど例外がいた。
ーーそれが私と広樹だった」
当時クラスメイト達は三浦亜紀を中心にしていて
全員が彼女に興味を持っていた。
だが私と広樹は違った。
いやもしかしたら広樹は違うのかもしれないけど
私達はあまり彼女に興味が無かった。
……私はそもそも広樹しか興味が無かった。
「それで貴方は自分をちやほやしてくれない
私達にイライラし始めた。
そして貴方はとある事に気づく。
私が広樹に好意を持っている事に」
「……それがどんな風にあの事件に繋がるの?」
「ーー私から広樹を取りたかった。
だから貴方はクラスメイト達の応援をつけ
広樹の彼女になった」
後に聞いたのだが、アタックは三浦亜紀からしたらしい。
その時にクラスの女子とかを色々と使っていた。
「どうだった? 私が1人で悲しんでいる姿を見てさ
嬉しかった? 楽しかった? 満足した?」
私がわざと人をイライラさせる口調で話しかけて
いると、突如三浦亜紀は
「さっきから言わないでおけば一体何!?
私が貴方を泣かせる為に付き合っただって?
いい加減にしてよ!? 証拠無いじゃない!!」
と叫んできた。何となくだが徐々に化けの皮が
剥がれ始めてきたみたいだ。
「テンプレ発言乙〜まぁ証拠はありますよ?」
「じゃあ今すぐ出しなよ!!」
「はいはい、分かりましたよ。
では、こちらをどうぞ」
と私は私自信のテンプレであるスマホを取り出した。
「スマホ?」
「そう、スマホ。確かこれでしょ」
と私はスマホを操作して、中にあるファイルを再生した。

“ねぇ、本当に大丈夫なの?”

“大丈夫だって、心配しないで。
貴方はたた澁澤に殴られている私を
見たって言えばいいんだから”

“でも。、それってまずいんじゃ……”

“……拒否するなら構わないけど、その場合は
クラスや学校でどうなるか分かるよね?”

“それは……”

“嫌なら、私の命令を聞きなさい”

“うん……”


そこには三浦亜紀とクラスメイトの会話が
録音されていた。
なお、この相手の女子生徒だが、最初はこんな風に
拒否していたのだが、徐々に自分から参加するようになり
最後に至っては率先して悪評を広めていた。
……まぁそんな彼女は私が大分前に裁いたが。
「こんな証拠があるけど、まだ否定する?」
と試しに三浦亜紀を見てみると、彼女は……
「……いや、しないわ」
と答えていた。











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